4-5.強敵

文字数 808文字

その夜、沖津と美羽はその旅館に泊まることにした。



(清美叔母さんが・・・お母さんを殺した?
そして、私をも殺そうとしている・・・?)



混乱した美羽は眠れず、旅館の外に出て夜風にあたった。



月と星空が綺麗だった。

母と暮らした実家の沖縄で見上げた、満天の星空の夜空を思い出した。都会では見れない夜空だ。



(会ったこともないおじいちゃんの遺産なんかいらない。全部清美叔母さんに相続させたっていい。話せばきっとわかってくれる。そうだ、話し合おう!)



そう決めて旅館に戻ろうとしたその時、何か異様な気配が美羽を襲った。



目の前から1人の大男が近づいてくる。
暗い道をひたひたと、ゆっくり、だが確実に、こちらに歩いてくる。


背筋がゾッとした。



月夜に照らされて、左瞼から左頬にかけて一本の傷がある無表情な1人の大男の顔が見えた。

異様な気配は明らかにその男から発せられている。

美羽は後退りした。男はジリジリと近づいてくる。



圧倒的な恐怖が美羽を襲った。



大男がベルトから何かを取り出した。大型のナイフだ。
真っ直ぐ歩いてくる。



怖い、怖い、怖い、怖い、、、!



どんどん大男は近づいてくる。

気がついたら美羽の眼前だ。

大男がナイフを振り上げた。



(・・・殺される!)



バキン!
突如大男のナイフが折れた。



「美羽!逃げろ!!」



大男の後ろからナイフに向けて銃を放った沖津が叫ぶ。

美羽の腰が抜けて立てない。
身体が震えて言う事を聞かなかった。



大男が沖津の方向をゆっくり振り向く。



沖津は大男に向かってダッシュ。



丸太のような大男のラリアートを走りつつ仰け反って躱すと、美羽のもとに行き、美羽を抱き抱えて走った。

大男が走り去る2人を無表情に見つめる。


「・・・鬼頭隊長、これを」

道横の

林から現れた部下の特殊機動部隊の戦闘員に渡されたライフルを、鬼頭と呼ばれた大男は無言で掴んだ。
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