第11話 戦闘開始 悠vs艮

文字数 2,123文字

艮は発生させた黒い霧から何体もの人獣型、キメラ型を呼び出した。

 艮:
 「お前との戦いを楽しみたいからな。周りのやつはいらないだろう。」

艮が召喚した魔物たちは一斉に四方八方に飛び散り、団員や各国の重鎮たちを襲い始めた。

 艮:
 「さぁ俺との戦いに集中しろ。悠。」

 氷室:
 「おい悠。こいつらなんかいつもよりしつこいぞ。」

魔物と対峙していた氷室がそう言った。普段は氷漬けにすれば倒せていたはずの魔物が氷を突き破って襲ってきたのだ。

 艮:
 「そうだろう。こいつらは俺の同僚によって改造された特別製だ。師団長であってもそう簡単に死なねえよ。」

 悠:
 「おいで『桜』」

悠は2メートル近くある両端に刃のついた薙刀のような武器を呼び出した。そして、技を出すために構えるとそれを察知した氷室が

 氷室:
 「全員伏せろ!」

と呼びかけ全員伏せた。

 悠:
 『桜刃流双身術 こぼれ桜』

悠の繰り出した技によりその場にいた艮以外の魔物は一瞬にして切り伏せられ全滅した。

 艮:
 「なんだと。悠お前何をした?」

 悠:
 「別にただ切っただけだよ。」

 翔:
 「氷室師団長!」

その頃、2階席にいた翔たちが1階に降りてきていた。

 氷室:
 「!翔なんで降りてきた?」

 翔:
 「すみません。何があったのか近くで見たくて。悠は今何をしたんですか?」

 氷室:
「何ってさっき悠も言ってただろ。切ったんだよ。」

 翔:
 「それだけですか?」

 氷室:
 「まぁ、強いて言うならあの双身刀を使った剣術によるものだろう。『桜刃流双身術』それが双身刀を使う時に悠が使う剣術の名前だ。」

 氷室:
 「この剣術の特徴は捌きと柳を得意としそして、相手が複数の場合の特に力を発揮する剣術だ。」

 翔:
 「どういうことですか?」

 氷室:
 「まぁ見たほうが早いな。悠を見ていろ。」

翔たちが見たのは艮のかぎ爪や噛みつき攻撃を双身刀の刃を使ってを使って捌く悠の姿だった。だが、翔はそんな悠の姿を見てある違和感を抱いた。

 翔:
 「なんか悠、次の攻撃がわかっているように捌いてませんか?」

 向日葵:
 「!本当?そんなことできるの?」

 氷室:
 「まぁ、普通は出来ないだろうな。悠は普通の人に比べて感覚器官が鋭いからな。その感覚器官を駆使して相手の次の攻撃を何パターンか予測し合わせる。それが桜刃流双身術の捌き技『流し桜』だ。」

それを聞いた翔たちは悠に目線をやると、捌き続ける悠の太刀筋はより洗礼されていき、やがて艮の攻撃は当たらなくなっていった。

 第4師団長:
 「相変わらず悠坊の太刀筋は美しいわね。」

 スターク:
 「あぁ、一片の迷いのないいい太刀筋だ。」

 マキシム:
 「若いっていいのう。」

 第9師団長:
 「流石悠君ね。私が認めてあげてるだけはあるわ。」

翔らが気づくとそこには全師団長が揃って悠の戦闘を観察していた。

 スターク:
 「相手も決して弱くはねえな。的確に隙を突こうとしている。」

 氷室:
 「あぁ、だが相手が悪かったな。相性も良くない。」

艮の攻撃も一撃一撃が当たれば致命傷になるほどの威力がある。両手から発生させる黒い霧からの魔物の召喚も厄介であることに変わりはない。だが、感覚が洗礼された悠に対しては当たることはない。

 艮:
 「クソっ!当たらねぇ。おい悠、このまま守り続けるだけか。第1師団長も大したことないな。」

艮はそう言って再び黒い霧を発生させようとしたとき、ある異変に気付いた。

 艮:
 「なんでだ、霧が出ねぇ。」

 悠:
 「自分の掌をしてみろ。」

艮が自身の掌を見ると小指の付け根から親指の付け根にかけて一太刀入れられていた。

 悠:
 「お前の黒い霧の発生させれていたのはその紋様があるからだろ。その掌の陰陽の紋から 発生させてたのがわかったから捌いてる最中に一太刀入れた。」

 艮:
 「!あの攻防の最中にそんなことができるわけ。」

 悠:
 「実際できたから切られてるんだろ。ちなみに守っているだけだと思ったら大間違いだぞ。」

 悠:
 「まぁお前にはいろいろ聞きたいことがあるからな殺しはしない。人語を話すだけで貴重だし。さてと、まだやるかい。」

圧倒的だった。敵幹部それも陸王の眷属にほとんど傷を負わず勝つなんてその場にいた誰もが思いもしなかった。各師団長や東部の重鎮を除いては。

 艮:
 「霧が出せなくなった程度で勝ったつもりか、お前のその剣術は捌きや柳は見事なものだが決定打はないだろう!」

艮は、構えていなかった悠に勢いよく飛びかかっていった。

 悠:
 「まるで獣に戻ったみたいだな。知性のかけらも感じない。」

悠は一呼吸置いて

 悠:
 『桜刃流双身術 乱れ桜』

見えない速度で連撃を艮に叩き込み、艮は後ろへ吹き飛んで致命傷を負った。

 悠:
 「確かに『桜刃流双身術』は捌きや柳が得意だが決定打がないとは一言も言ってないぞ。むしろ、決定打くらい用意するだろ。」

艮はピクリとも動かない。

 悠:
 「彩音、こいつを拘束するから手配してくれ。」

 彩音:
 「わかりました。すぐに。」

拘束しようと艮に近づいたとき、発生するはずのない黒い霧が発生した。

 謎の魔物:
 「あれー?なんで艮ちゃん死にかけてるの?」

発生した霧から見知らぬ人語を話す人獣型が現れた。
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