第一幕(8)

文字数 312文字

なぜ、あなたは、たった一人でこの世界に送り込まれたのですか?
(会話ができて嬉しい)未知の世界へ送られる第一陣は、一人と決まっているのです。大勢で来れば、圧迫感を与える。侵略とみなされる。(快活に)自分で志願したわけですから。たしか、あなたがたのことわざにもありましたよね、ええと、危険にこそ――

危険にこそ、名誉あり。(微笑む)

七十日後には私たち、名誉に満ち満ちていますね。

七十日後。全行程を七十日とエストラヴェンは言った。彼にそう言われると、本当に、国境を越えて隣国オーゴレインに入れるような気がしてきた、この過酷な冬を耐え抜いて、1,200キロの氷河と火山を突破して。
よし。そうと決まれば、あとはしっかり眠るだけだ。

音楽。

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登場人物紹介

ゲンリー・アイ

地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。

セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン


ゲセン出身。帝国カーハイドにおける《王の耳》(宰相に相当する最高実力者)。ゲンリーの使命の重要性をただ一人理解する。やや小柄(ゲセン人の平均的体躯)。性格は慎重かつ大胆。推定される容貌はアジアあるいはエスキモー系。中性(両性具有)。

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