第6話  金木犀とイチジク

文字数 7,258文字

「お母ちゃん!あったよ!」
 華子が、勢い良く山道を駆け上がって行った。
 朱実ちゃんはこの時期、あけびの籠を作って文化祭に出すのが唯一の楽しみだった。けれど、高齢の彼女には、この険しい山道を通って、アケビの枝を採りに行く事など不可能だった。だから私と華子で、その枝を毎年、採りに行くことにした。
 朱実ちゃんの指は細くて、繊細な作業をするには適していたが、年老いたたせいだろうか、彼女の根気は徐々に無くなってきていた。
 「目も見えなくなるし、肩は凝る。何より、根気がなくなってきたわ」
 そう言って朱実ちゃんは苦笑いをしていた。
 私達親子はは、大好きな彼女の生き甲斐を、何一つ、失いたくなかった。シワシワの細い指で、島唄を唄いながら、籠を編む彼女の姿をずっと見ていたかったから。
 
 私は金木犀の香りが好きだったけれど、体が金木犀に反応してアレルギーを起こしていた。。酷い時には、アナフィラキシーショックを発症し、身体中、世界地図のような気味の悪い蕁麻疹が現れたかと思うと、同時に呼吸困難に陥る事もあった。
 だから私は、その木に近寄ることをしなくなった。
 考えてみれば、金木犀だけではなかった。私が、好きなるものに近づくと、必ず何かが邪魔をした。
 華子の父親もそうだった。初めは子供を授かる為だけの道具だった相手だったが、付き合ううちに惹かれていった。けれど、好きになればなるほど、疎ましがられ、妊娠した事を告げると、女をつくって私の前から姿を消した。パニック障害になったのも、ちょうど、その頃からだ。
 けれど、この土地に来てからは、一度も発症しなかった。むしろ、体内が浄化され、墨のような黒い俗臭が流れ落ちていく感覚さえあった。
お陰で金木犀の側に行っても、前ほど反応は出なくなった。おまけに辛い事があっても、朱実ちゃんに背中を摩られると、どんな薬よりも効いた。
 「朱実ちゃん、山には金木犀の匂いでいっぱいやのに、私、全然、息苦しくないねんで!」
 以前、朱実ちゃんにそう言った事があった。
 「蝶子、あれは金木犀じゃないのよ。あの花は、コミノクロツグよ。橙色で香りも似ているけど、金木犀じゃないよ」
 朱実ちゃんは笑いながらそう言った。
 私はそのとき解放されたような気がした。
 本物がダメなら偽物を本物にすればいい。私は、この場所でもう一度、家族を作り直し、過去は無かった事にしよう。その時、そう決めた。
決めたけれど、一つだけ消すに消せないものがあった。
 それは、ヘソの横にあるJに似た傷だ。Jは十八センチの大きな傷だが、私には手術をした記憶も怪我をした覚えもなかった。その傷は、俗に言う古傷と言うのだろう。
 うちなーの災いでもある、台風が接近するごとにJはチクチクと痛んだ。
 一年に一度、漁港にやってくる特定健診の大型バスは私をブルーにさせていた。毎年、検診医に同じ質問をされるからだ。
 「これは、腎臓の手術の後ですよね」
 検診医が毎年、同じ事を言うのだ。そして、必ずこう付け加える。
 「分からないとはどういう?そんな古い傷ではないですよ、これ」
 そう言われても、身に覚えがないものは仕方がない。その度に、首をかしげる医師に忌避感があった。
 記憶にすらない、忌々しいJを消したくて、肌を浜辺で何度も焼いた。けれど、Jだけは本意ではないと言わんばかりに、その色に染まってはくれなかった。
 その傷を見る度、胸の奥が疼くのが分かった。だから私はそれを見ないようにしていた。
 けれど、台風がやってくる度、微かに痛むJの存在に怯えていた。
 
 その年の台風は、五十年に一度の大型で、うちなーに、なにかしらの爪痕を残すだろうと恐れられていた。
 案の定、私のJは、いつになく疼いた。
 その上、文化祭も中止になり、朱実ちゃんは嘆息を漏らしていた。
 「せっかく、お母ちゃんと山に行って、たくさん枝を採ってきたんになぁ。それに、屋台も楽しみにしてたんに」 
 華子も、頻繁にため息をつき、意気消沈していた。普段は、穏やかな場所だけに、文化祭は大規模な催しだった。
 台風のせいで休校となり、私と華子はエイショウおじぃと一緒に、一人暮らしの朱実ちゃんを心配し、一晩泊まる事にした。
 文化祭が中止になり、肩を落としていた朱実ちゃんも、私達が来る事で元気を取り戻し、張り切って夕食の支度をしていた。うちなー民謡を鼻歌に、時折、菜箸を持った手を揺らしながら踊っていた朱実ちゃんは子供のようで愛らしかった。
 そんな彼女を見ているうちに、血の繋がった家族以上に、強い絆のようなものを感じた。
 互いを心底、必要とし、慈しむ気持ちに縛りなどないと思った。
 風が徐々に強くなり、窓ガラスを叩く音や、庭の何かが転がって連れ去られたけれど、私は何も怖くなかった。
 むしろ、穏やかだった。
 外の荒れ狂う風に屈する事なく、私達は笑って、踊った。
 私が生きて、強くなれたのは、この場所を見つけたからだ。
人は、自由でいいという事を、この土地が教えてくれた。私は、水が滴るほど踊った。
体から、最後の汚れた何かが出ていった気がした。
 
 朝、目が覚めると華子の細い足が私のお腹の上に乗っていて、彼女の踵と、呼吸が一緒に動くのが分かった。その振動が懐かしくて、心強かった。
 その細い足を静かに持ち上げ、床につけると、私は静かに庭に向かった。
 台風一過は、有りと凡ゆるものものを壊していったけれど、私の心は平穏だった。
 フイリソシンカの花が散って、庭一面がピンク色の絨毯になっていた。
 エイコウおじぃは、ハシゴに登って、折れかかった枝を、丁寧に剪定をしながら、お気に入りの、うちなー民謡を唄っていた。それに合わせて、朱実ちゃんはピンクの絨毯の上でカチャーシーを陽気に踊っていて、その姿が私の最後に残っていた刺々しい部位を丸くしてくれ、とうとう無くなった。
 裸足のまま庭に降りた私は、その、ピンクの絨毯を踏むと、フイリソシンカの甘い香りは風に乗って、私の体を包んでくれた。
 そして踊った。
 どれくらい踊ったのか。私の体は火照って、額から流れる汗が目にしみて泣けた。
 そんな私を見て、剪定中のエイコウおじぃが言った。
 「ぬーんち泣いちょるみ?(どうして泣いている?)」
 「泣いてないんよ。汗が目に入ったんよぉ!」
 「みー(目)を洗って来よーさい」
 「うん」
 私はそう言って、台所に向かった。すると、玄関が開いた音と、誰かの声がした。庭にいた、朱実ちゃんとエイコウおじぃには聞こえないほど小さな声だったが、私には聞き覚えのある声だった。
 その声に、恐る恐る玄関へと向かうと、中年男性が何か紙袋のようなものを下げて立っていた。その男性は深々と帽子をかぶり、俯いていた。
そして、ピンクの花びらがついた私の足の指先を見て男性はこう言った。
 「綺麗やねぇ」
 そう言って、男性はやんわりと顔をあげて微笑んだ。
 「蝶子、元気そうで安心した」
 「お父ちゃん」
 私は、そう言うのが精一杯で、全身の力が抜けて足から床に崩れ落ちた。そして、立てずにいた私の後ろに向かって、父は丁寧なお辞儀をした。
 「はじめまして。華子」
 「誰?」
 私が後ろを振り向くと、髪に寝癖をつけた華子が立っていた。
 「お母ちゃん、誰なん?」
 言いよどむ私の後方から朱実ちゃんの声がした。
 「華子のおじぃよぉ」
 私は絶句した。何故、朱実ちゃんが私の父親を知っていたのか。それ以上に朱実ちゃんが、その事を隠していたことにショックを受けた。
 信じる。と、いう事に再び、疑いをを持ちはじめていた。
 私は子供の頃から、自分以外は全て、疑う癖があった。その悪い癖がここに来てからなくなったと思っていたが、まだ僅かに残っていた事に動揺した。
 「私のおじぃ?」
 「そうよぉ、華子のおじぃよ」
 朱実ちゃんは父の前に正座をしてお辞儀をした。彼女は、何もかも理解しているようだった。
 「めんそーれ、お越しシチャさなましちゃん(ようこそお越し下さいました)」
 そう言って、ゆっくりと頭をあげると、父に笑顔を見せた。
 そして、戸惑う私に朱美ちゃんが言った。
 「蝶子、お父さんをあなたの家にご案内しなさい」
 あなたのお家。
 私は、朱実ちゃんの言葉が理解できた。ここは、私の居場所で、築き上げてきた時間が確かにある。ここは、紛れもなく、私が私らしくいられる愛すべき場所。
 それを、伝えなさい。
 朱実ちゃんは、そう言っているのだと思った。
 「お父ちゃん、上がって」

 庭からは、来客を知らずに剪定をしているエイコウおじぃの唄声が聞こえていた。沖縄訛りの唄が心地よく響いた。
 「蝶子、幸せか?」
 「うん」
 「そうか」
 「うん」
 
つたないやり取りを聞いていた華子が父の手を握った。

 「ハジミティヤーサイ(初めまして)おじぃ」

  そう言った華子の笑顔に溢れ出す涙を止める事が出来ず、父はその場にひざまづいた。

 「なぁ、おじぃ、泣いてぇんと、家にあがり。なぁ」 
そう言って華子は手を差し出した。
 「ありがとう」
華子が差し出した小さな手を握り父は泣きながら立ち上がった。

 開けっぴろげの、沖縄の家に、グレーの背広をきちんと着た父は、この場所には似つかわしくなかったが、なぜか不自然ではなかった。
 琉球畳の上に正座をし、朱実ちゃんに挨拶した父の真っ直ぐ伸ばした指先や背筋が、真面目な性格を象徴していて、昔と何一つ変わってはいなかった。

 時間が経っても変わらない人間がいる事を私はそのとき知った。けれど、それが良否かどうか、そんな事はどうでもよかった。
 
 「お母ちゃんと、お姉ちゃんは元気?」
 私が躊躇しながら尋ねると、父の表情は一変して曇った。
 「どうしたん?」
 「あぁ、うん。お母ちゃんは元気や」
 「お姉ちゃんは?」
 そう尋ねると、父は言葉を詰まらせ、私の胸中はざわついた。数分の沈黙の後、父は意を決したように口を開いた。
 「砂月は、亡くなったんや」
 父の言った言葉を理解するまでに少し時間がかかった。
 亡くなる。
 その言葉の意味を知っているはずなのに、他国の言葉のように聞こえた。
 「死んだんや。砂月は」
 「いつ?」
 理解出来ぬまま、そう尋ねると、父は目を潤ませた。
 「先月の九日や。我慢してたんや。お姉ちゃん。可哀想な事をしてしもうた。父親なんに、体調が悪いんも気付いてもやらんと。僕は最低な父親やった」
 父の声は、ビブラートがかかったように震えていた。
 「どこが悪かったん?」
父は直ぐには答えなかった。
父が口を開くまでにどのくらい時間がかかっただろうか。しばらくして、えも言われぬ表情で話し出した。

 「蝶子、お父ちゃんが今から話す事をちゃんと受け止めて欲しいんや。えぇか?」
 そう言った父は諦観したように見えて、私は謂われのない静寂を取り戻した。
 「えぇよ。うちは、何を聞いても大丈夫やから」
 「そうか」
 「うん」
 「砂月はなぁ、腎硬化症やった」
 「どんな病気?」
 「腎硬化症は、腎臓が一つしかない人に起こりうる病気や。一つしかない事で心臓にも負担がかかる。結果、死因は心筋梗塞やった。急やったんや。僕らがもっと、気をつけてやっていたら、こんな死に方はしんかったんや。全部、お父ちゃんの責任や。もっと。あの子を気にかけてやっていたら、こんな事にはならんかったんや」
 そう言って拳を握りしめた父の腕には青白い血管が浮き出ていて、震えを必死に抑えている様に見えた。
けれど、これ以上感情を抑え込む事が出来なかっただろう、彼は、日に焼けて茶色くなった畳に顔を埋め、大声で泣き崩れた。
その泣き声に驚いたのか、剪定をしていたエイコウおじぃが慌てて家の中へ入ってきた。
 そして、その手には錆びていて切れにくそうな剪定ばさみを持ちながら只々、泣きじゃくる父を悲しげに見ていた。
 その時、私は気がついた。ヘソの横にあるJの傷がどうやって出来たものなのか、はっきりと理解出来た。
 「お父ちゃん。私が手術したのは、目だけじゃないんやね」

 「そうや」
 
私の心が今にも破裂しそうで、気が遠くなった。同時に私は、姉に抱いていた、汚れた依怙を呪った。
 「お父ちゃん、どういう事なん?」

 涙すら出なかった。泣いてはいけないと思ったのだ。自分には泣く事も許されないのだと思った。

 「あの時、蝶子が怪我をした時。手術したんは、目だけではなかったんや。ぶつかった衝撃で腹部を強く圧迫して、腎臓が破裂した。一つは辛うじて機能していたんやけどなぁ、病院に運ばれた時には既に腎不全の状態やった。その時、砂月が言うてくれたんや。私の腎臓を蝶子にやってほしいと。緊急やったから、細かな検査を省いて、そく移植したんや。血の繋がりは凄いなぁ思うたわ。ほんま言うたら、お父ちゃんは、お前の中にいる砂月に会いに来たんや。会って、謝りたかったんや。お前に会いに来た訳やない」
 それを聞いて、私はなぜか本当の意味で開放された気がした。本当は分かっていたのかもしれない。この傷の正体を分かった上で知らないふりをして逃げていたのかもしれない。
 父の口から出た十二年目の真実が、私を開放してくれた。
 姉への憎悪が全て私の幻影だとしたら、私は下衆の極みだ。
 「なぁ、お父ちゃん、あの事件、覚えてる?私がレイプされた」
 「あぁ、辛い出来事やった。お父ちゃんもお母ちゃんも。何より、砂月が苦しんだ」

 「私が病院で体内の精子を処理して家に帰った時、お姉ちゃん、私を見て笑うてた。それ以来、私はあの人を恨んでた。だから、腎臓もその償いと違うの?」
 私は、高圧的だった。本能が自分を守ろうとしていた。そして、出て行ったと思っていた黒いものが、体のあちらこちらに染み付いて、無自覚的に膨らんでいた事に驚愕した。
 「お父ちゃんの責任やったんや。僕が、砂月からも、蝶子からも、そして、母さんからも逃げていたから家族がバラバラになってしもうたんや」
 「意味が分からへん。どういうこと?」
 「砂月は、精神疾患やったんや。ほんまのお父ちゃんが自分の目の前でお母ちゃんに殺されて子供やった砂月の心は壊れてしもうてた。その上、お父ちゃんがお母ちゃんと一緒になって、砂月は僕に懐こうと努力した。そのせいで、あの子は意図しない所で笑うようになったんや。友達が先生に叱られている時、人が困っている時、笑うつもりはないのに。
気持ちと表情が逆になる病気になってしまっていたんや。だから、お前が病院から帰った時も笑うてしもうたんやろう。本当は悲しんでいたのに。あの時なぁ、強姦事件が立て続けにあって、お父ちゃんもたくさんの被害者から相談の依頼を受けてた。まさか、我が子も、同じ目に遭うとは思うてもみんかったんや。
砂月は、自分を責めとったんや。私が時間に遅れんとけば、妹をこんな酷い目に遭わせんですんだのにって。自分をずっと責め続けて。あの子は、お前を本当に愛していたんや。それだけは、信じてやって欲しい」
 私は正直、驚いた。父は元々、無口な人間で、弁護士を生業にしているとは思えないほどだった。
そんな父が、堰を切ったように喋り、血の繋がりのない姉の事をこんなにも理解していた。そして、過ごした時間と愛の重さは比例していく事を実感した。
 それは、私が朱実ちゃんやエイコウおじぃと過ごした時間の重さと同じなのだと思った。
 同時に、自分の罪科が、心を蝕む感覚が、私を怯えさせた。
 私は自分の罪に耐えられなくなり、床に落ちそうになった。けれど、その瞬間、肩を支え、脇を持ち上げてくれる優しい感覚に包まれた。
 私が、震えた顔を横に向けると、エイコウおじぃと朱実ちゃんが私を支えてくれていた。
 父ではなかった。けれど、私はそれに安心した。
 支えてくれていた人が、二人だった事に心から救われたのだ。その時、私の背中に温かいものが流れたのが分かった。振り返ると、そこには、優しく見守ってくれている華子がいて、彼女も私を支えてくれていた。
 その時、私の下半身から流れ出る液体が止まらなかった。壊れた蛇口のように、止めどなく流れる光る液体が、私には止める事など到底出来なかった。
 姉の腎臓がドクドクと、何か得体の知れない黒い蟠りを排出してくれているよに思えてならなかった。
 床に溜まった汚水から、朱実ちゃんとエイコウおじぃ、そして、華子が引き上げてくれた。琉球畳の上には湿った足跡が残ったが、朱実ちゃんはそっと、バスタオルの上にに私を座らせ、足を、指をお湯で洗ってくれた。
 チャポン。
 ブリキの塗装が剥げた洗面器にはったお湯の音が、傷ついてボロボロになった私の心を少しずつ治癒する感覚が確かにあった。
 そして、エイコウおじぃの唄が聞こえた。
 その唄、うたぬいじゅん(歌の泉)は、紛れもなく愛の唄だった。
 ふぃとぅぬちむいさみ。心の唄だ。酷く訛ったエイコウおじぃの島唄の意味を分かるはずもない父の目が光っていて、今にも何かが流れ出しそうだった。
 そして、愛の唄は、傷つき、罪深い私たちを許してくれた。
 
 父は、帰りしな、沖縄には似つかわしくない毛糸で編んだ、お世辞にも可愛いと言えない巾着を私に渡して、うちなーを後にした。
 毛糸の巾着には、私が子供の頃に、はまっていた滑稽な姿をした虫のキャラクターのワッペンが貼られていた。その中には、端々が折れ、古臭い絵柄の通帳と、象牙でできた印鑑が一本入っていた。
 印鑑には苗字ではなく、蝶の模様が彫られてあった。
 「きれいねぇ」
 朱実ちゃんが、ポツリと言った言葉が印鑑の蝶ではなく、私に言っているのだと分かった。
 私の腎臓に。
 きれいねぇ。
 朱実ちゃんは、美しい線が入った手の平で、私の右腰を丁寧に長い時間さすってくれた。
 にふぇーでーびる(ありがとう)にふぇーでーびる、蝶子を助けてくれて。
 朱実ちゃんは、何度もそう言って、砂月を優しく優しく長い時間さすってくれた。
 
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