2020年5月12日

文字数 2,946文字

2020年5月12日
 今日からちょうど200年前の1820年5月12日、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールが生まれる。彼女の誕生日にちなみ、1974年から国際看護師協会は5月12日を「国際看護師の日」に制定している。まさに今、看護師は国際的に過酷な状況で使命を果たすべく取り組んでいる。その中には消耗したり、倒れたり、感染したり、亡くなったりする人も少なくない。今年ほど世界がこの日をリスペクトしなければならない時は21世紀に入ってなかったように思われる。しかも、この状態がいつ収束するかのめども立たない。世界は毎日が監護の日と思わねばならない。

 新型コロナウイルス感染症の新たな予防・治療。の開発をめぐる報道をよく目にする。中にはいささか突飛と思われるものもある。ものになるのは数えられるくらいで、おそらく伝えられたニュースの多くはその後立ち消えになるだろう。しかし、イノベーションとはそういうものだ。

 AFPは、2020年5月11日 3:54更新「ラマ、コロナ治療の鍵握る ベルギー」において、そうしたユニークな開発例を次のように伝えている。

【5月11日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗ウイルス薬治療法をめぐり、世界の科学者らは一見独特な手法を取り入れて、先を争い開発に挑んでいる。
 ベルギーの一流科学者らは、アンデス山脈に生息し荷役用の動物として知られるラマの体内で作られた抗体の分離に着手。この取り組みは確かな先例に基づくものだと強調する。
 ベルギー・ヘント(Ghent)にあるフランドル生物工学研究所(VIB)のグザビエ・サエレン(Xavier Saelens)教授は、ラマはこれまでにもわれわれを救っているとしてAFPに成功への抱負を語った。同氏によると、ラマの抗体由来の薬剤はすでに市場に出回っており、血液疾患の一つ、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療薬「カプラシズマブ」を例に挙げた。
 研究では、雌のラマ「ウインター」に新型コロナウイルスの表面に存在するタンパク質を注射し、体内に抗体を作らせた。この抗体は、担体を遮断しウイルスの脅威を無効にする役割を果たす可能性があるとみられている。VIB研究員のドリアン・デフリーヘル(Dorien De Vlieger)氏は、「これらの抗体を患者に直接投与する抗ウイルス治療法を生み出すことがわれわれの目標だ」と話す。ヒトでの初の臨床試験は「今年末までに」始まる見通しだという。
 サエレン氏とベルギー人の共同研究者ニコ・カルワルト(Nico Callewaert)氏は、米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)のジェイソン・マクレラン(Jason McLellan)教授率いるチームと協力して研究を行っている。VIBはこの分野で世界的に知られ、ヘント大学傘下の学術機関として、製薬業界から独立して運営されている。
 ウイルスとの闘いの救世主になるかもしれないウインターは現在、ベルギー国内のとある場所で飼育されている。デフリーヘル氏は、「動物愛護団体を懸念」し、「彼女のストレス水準を低く抑えるよう、われわれは最善を尽くすこともしなければならない」と語った。

 未知の問題だから、何がどうなるかわからないけどとにかくアイデアが面白いと進めていく開発がうじゃうじゃしていて、大半がポシャッてほんの一握りだけが革新委成功する。けれども、その失敗が後から生きてくることもある。失敗は成功の母と言う。だが、その前に着手しないと、成功も失敗もない。結果を先読みして何もしなければ、失敗も成功もない。

 「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」は治療のイノベーションではその通りと納得できても、自身の感染に置き換えたらそうもいかないのが人情だろう。

 NHKは、2020年5月12日 13時10分更新、「コロナ感染不安『歯科受診控えると肺炎などリスク高」歯科医師 』において、感染リスクを恐れて別の歯科の検診を避ける人が少なくないと次のように注意を促している。

新型コロナウイルスに感染する不安から、高齢者が歯科医の受診を控えるケースが相次いでいるとして、静岡県の歯科医師会は、口のケアがおろそかになると、誤えん性肺炎などのリスクが高まると注意を呼びかけています。
静岡市清水区の歯科医師、渡邉宏春さんは高齢者施設に専用の器具を持ち込んで、歯の衛生管理や入れ歯の調整などを行う訪問診療に取り組んでいます。
ふだんは20の施設を担当していますが、高齢者が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいと、注意が呼びかけられるようになって以来、半数の施設から訪問の中止を求められたということです。
高齢者の中には、定期的に診察しないと食べ物をかめなくなり、栄養不足や、そのまま飲み込むことによる窒息のおそれがある人もいるということです。
渡邉さんは「面会をすべて断っていると言われることが多い。しかし、口くうの健康は命に関わる問題でもあり、何かあれば連絡をするよう伝えている」と話していました。
静岡県歯科医師会も口のケアがおろそかになると、誤えん性肺炎などのリスクが高まるとして、受診が必要かどうかを歯科医に相談するよう呼びかけています。
県歯科医師会の柳川忠廣会長は「かかりつけの歯科医がいちばんよく理解しているので、治療の継続や延期については自分で判断せず相談してほしい」と呼びかけています。

 加齢と共に口内の健康の維持は難しい。感染しなくても、それによる健康リスクは日々高くなり、口内環境の悪化は心身いずれにも悪影響を及ぼすことが知られている。感染の可能性は、おそらく口内健康の悪化よりも大きくはないだろう。けれども、口内の問題と違い、新型コロナウイルスに感染すれば、1カ月以内になくなる危険性もある。しかも、PCR検査も限定的で、不顕性感染が市中にどれだけいるかわからない。そう考えて、歯科検診を避けるのだろう。

 しかし、口内環境が悪化すれば、心身の健康が損なわれやすくなる。失われた健康を元に戻すのは難しいし、感染した際の重症化リスクも高くなる。自分の健康の選択肢はあれかこれかではなく、あれこれ組み合わせて自分で増やしていくものだ。

 夕食には、豆腐とニラに合いびき肉のオイスター炒め、卵とノリのキムチスープ、チキンとキャベツのタイフウサラダ、食後にはアイスコーヒー。屋内ウォーキング10104歩。都内の新規陽性者数は28人。

参照文献
「ラマ、コロナ治療の鍵握る ベルギー」、『AFPは』、2020年5月11日 3:54更新
https://www.afpbb.com/articles/-/3282410?fbclid=IwAR1stIyLwqNwXBa3YKahblO3RLBvfO7wnDhBoh_sabV6lxfNgkkTRx3Xrk4
「コロナ感染不安『歯科受診控えると肺炎などリスク高』歯科医師」、『NHK』 、2020年5月12日 13時10分更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200512/k10012426321000.html

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