がさごそ、がさごそ
文字数 1,129文字
「魔法生物学」準備室。
さーて、勝手に持ち出しちゃった自動演奏ドラム、片付けないとね。
確か最初はこの辺にあったはず……。
確か最初はこの辺にあったはず……。
がさごそ、がさごそっ。
うー、「魔法生物学」の準備室だから当然なんだけど、いつも何かの生き物が動いてる音がするのは慣れないわよね。
早く片付けて、帰っちゃいましょ！
――ガシャンッ！
うわ！ 何かにぶつけちゃった……？
……知ーらないっと。
翌日、朝の職員室。
おはようございまーす！
あ。ハルカ先生。おはようございます〜……。
あれ？ どうしたんですか、レジスタ先生。浮かない顔して……。
「どうしたんですか」なんて言っている場合じゃありません。大変なことになりました。
昨日の放課後、「魔法生物学」準備室の虫かごが壊れて、実験用の魔法生物が脱走しました。
ええっ!?
（昨日の放課後って……もしかしてティールちゃんが原因なんじゃ……）
（昨日の放課後って……もしかしてティールちゃんが原因なんじゃ……）
（ハルカ先生、しーっ。ネーベンブーラー先生には気取られない方がいいですよ〜）
（レジスタ先生!?）
（ティールちゃんがこっそり練習してるの、実は知ってたんです〜。
今回のことは知ってて止めなかった私の責任でもあるので〜）
今回のことは知ってて止めなかった私の責任でもあるので〜）
どうしたのですか、二人してぼそぼそと。
いえ、なんでもありません〜。
それで、逃げた魔法生物って何なんですか？
吸血ゴキブリです。
えええっ!?
吸血鬼自体はそう感染力は強くないとはいえ、ゴキブリなので他の病気も持っているでしょう。噛まれたら危険です。
私の「占術」によるとまだ校舎内からは出ていないはずですが、なにぶん動物相手だと精度が落ちるから、詳しい居場所までは……。
そんな危険な生き物がうろついてるなら、今日の授業は中止したほうがいいでしょうね……。
ええ。まだ登校していない生徒にはすでに中止の念話を飛ばしました。
ただ、早めに登校している生徒が相当数校内にいます。
ただ、早めに登校している生徒が相当数校内にいます。
万が一吸血ゴキブリが外に出てしまったら、もう捕まえる手立てはないから、
校舎を囲むように既に結界が発動中なの。
でも、それは生徒も外に出られないことを意味するわ。
校舎を囲むように既に結界が発動中なの。
でも、それは生徒も外に出られないことを意味するわ。
こんな状態で吸血ゴキブリのことを伝えたりなんかしたら～、
パニックが起きかねないですね～。
パニックが起きかねないですね～。
とにかく。吸血ゴキブリの生態に詳しいレジスタ先生は職員室から念話で全体の指揮を。
ハルカ先生はレジスタ先生のサポートを。
残りの先生方は吸血ゴキブリの捜索をしつつ、生徒には「害虫駆除のため自習」との連絡を。
くれぐれも吸血ゴキブリの名前は出さないように。
ハルカ先生はレジスタ先生のサポートを。
残りの先生方は吸血ゴキブリの捜索をしつつ、生徒には「害虫駆除のため自習」との連絡を。
くれぐれも吸血ゴキブリの名前は出さないように。
えっ、そんな。私に指揮のサポートなんてできませんよ！
ハルカ先生は口が軽すぎます！ 生徒を不安にさせないように職員室でじっとしていてください！
えっ、あっ……。はい……。
（それもありますけど、いくらなんでも、仮にも王女を危険な目に遭わせるわけにはいきませんからね）
