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地理・歴史・魔導――大地はもはやなく、空の時代となる

エピソードの総文字数=4,767文字

地理
この世界において、どこまでも広がる大陸や、海はない。
空の中に、島々が静止したまま浮いてるわけです。
ただ不規則に上へ下へ不規則に島が点在してるわけじゃなくて、世界全体を見回すとおおむねすり鉢状に並んでるんです。中心の島がオンパロスって呼ばれてて、一番高度が低くて気圧が高い。
なんで島が浮いてるか。それは島の深いところにセレスタイトの鉱脈があるからです。
セレスタイト、天青石。硫酸ストロンチウム。この世界では空に浮く魔力がこもってるんです。だから、船や機械翼にも組み込まれて、空飛ぶ力を高めてるわけです。
ストロンチアン石、つまり天然の炭酸ストロンチウムには浮く力がないので、9割方化学合成して硫酸ストロンチウムを作るのに使われてます。
この世界は、我々で言うところの北半球。南の果てに赤道があって、北に行くほど寒い。
世界が丸いのか、それとも果てがあるのかどうかという証明は、今のところ誰もできませんでした。
ただ、すり鉢の島々からはるか離れた西の果てに行った探検隊が、ちょうど一番上空にある島とオンパロスの中間ぐらいの高さにある、巨大な海の滝を目撃しているのは確かです。高速で移動できる最新型の船でも、3日海沿いを飛んで汀線を見いだせなかったので、とりあえずそこで帰ったわけです。
この世界で言う海とは、島の中にある塩湖のことです。島によっては、カスピ海よりでかい海があったりする。塩水が滾々とわき出て、海しかない島もあったりする。
海は割と結構な島々にあるから塩はそこまで貴重品ではないけど、マグロとかニシンなんかの回遊魚は海流のある大きくて深い海でしか獲れなくて、高級品として賄賂に使われたり。
珍しい海だと、超巨大なセレスタイトのコップに、塩水が入ってるとしか形容しようのない海もあります。コップはグルグル回って、海流が起きてる。人工の海かもしれませんね。
それで、島とはセレスタイトのおかげであれ他の魔法のせいであれ、空に浮いてて小屋が建てられるぐらいの面積がある土塊のことを指します。大きい島だと本州とかブリテン島、それよりもうちょっと大きい面積があったりする。
大地という単語は、500年前に喪われた広い広い地面を指します。陸地は島とか地面とか言って、大地とは呼びません。
海や湖の中にある陸地は、大きさは何であれ全部中洲……と定義しようとしたけど、英語で中州てRiver islandやからどうしようかなーって思とったらislet(小島)いう単語がそこそこふさわしいかなーって思う。というわけで、海や湖や川の中の陸地は中洲(islet)。
ほんで空は上を見上げた場所ではなく、島と島の間にある空気塊のことを指します。自分たちは空に住んでると、住民たちは思っとるわけで。
雲はだいたい島とおんなじ高さにある。雲が島をすっぽり覆うこともあって、だいたい島の中に入ってきた雲をみんな霧って呼んでる。ただ霧は割と島々の上層で発生しやすくて、雨は下層に降ることが多い。
分厚い島にはマグマだまりや火山があったりもします。世界がこんなんやなかった時はもっとたくさんの火山があったみたいやけどね、今はそんなでもないから硫黄や温泉はそこそこ貴重。でも銀ほどには希少じゃないな。加硫ゴムが我々の感覚よりちょっと高いくらいかな。風船とか、ゴムパッキンとかあるくらいやし。
まあ硫黄で火薬作っても、魔導の力にはとても勝てませんけどね。火薬は発破の道具として普通に使われます。
世界の底は奈落と呼ばれてます。奈落がどうなっているか、それもちょっと未調査。あんまり深くて、行っても帰ってくる人が今んところ誰もおらん。気圧がめちゃくちゃ重いってのもあるな。今現在の船やったら気圧で潰れたり、中の人が気圧で死んだりするから。目視とか、望遠鏡で見てもただただ暗くてまるで分からん。
奈落は死後の世界で、死者の王が治める天国と煉獄があると信じる人もいる。
船で飛ぶか、テレポートするか、自力で飛ぶかせんかったら島と島の行き来がしにくい分、国々はあんまり大きくなる傾向はないんやけど、割と成功してるが2つ……3つって言ってええものかどうか。
1つが帝国。オンパロスを中心に世界下層のほぼ全域と、中層の南西ちょっとを支配してる。帝国って大体悪者の役が多いみたいやけども、この世界の帝国は基本善玉……いや、まあ侵略もしてるから必ずしも善玉ではないけど、迷信とか差別を許さず、啓蒙思想を広げるという題目を掲げてる面が大きい。腐敗もあるけど、それは他の国もどっこい。
もう1つが連邦。上層北西から中層中西部までの、国々の緊密な繋がり……という建前やねんけど割と内紛とかあったりする。むしろ帝国の方が移民が多くて自由というかごった煮な感じ。
帝国と連邦は冷戦状態にあるけど、間に挟まれた国々で手を取り合ってヤバい怪物やヤバい軍団と戦ってたりします。
で、国って言ってええのかどうか微妙な勢力が東夷。
始まりは木之花国って名前の、複数の島を治めるそこそこでかい国やったんやけど、70年ほど前にショーグンのサキヒサ・ツムギって奴が、何を思ったか国民をアンデッドにし始めた。骨だけになっても動いて、感染するタイプのアンデッド。人間的な感情もなくなってしまう。
で、結構な国々がそいつらに潰されたので、みんなそのアンデッドを東夷と言って警戒してる。対話も通じない、ものも食べない、奪った畑も耕さない、寝ない。年中無休でただひたすらに戦って、殺してるんで、みんな戦々恐々なんですね。
帝国や連邦には木之花国や東夷に潰された国からの移民が築いた東国街があって、珍しいものとか買える。ラーメンとか食べれる。
土地の名前はだいたい日本語で表記できそうなものは日本語で表記する。
赤い麦藁の国とか、霜降り山脈とか、黒林中洲とか。
歴史
この世界、500年前に一度滅んでます。
あっちこっち戦争して、疫病があって、親が子を殺し、子が親を殺す。そんな無茶苦茶な時代に、大地があっちこっち地盤沈下を起こしたわけです。はっきりした理由は分かりません。
それに乗じて、今ではムスペルと呼ばれるめっちゃ強いデーモンが蜂起して世界の覇権を手に入れようと暴れたんですが、普通に失敗しました。
ラグナロクとかハルマゲドンめいたこの事件は大陥没とか、まあ名前はおいおい考えます。
宗教的には「末法の世で荒れに荒れた大地を救うために、冥府の神が大地の女神を娶った」とかなんかそんなん。
で、セレスタイトを含んだ土地だけが残り、それがだんだんとなんかの作用で上がったり下がったり、すり鉢状になっていって今の形になったわけです。
生き残った人々は「大陥没で死んだ人たちは世界崩壊のあと新世界で生き返り、新しい世の中を作った。我々は天国にも地獄にも行けず、滅んだ世界に取り残された」と考えました。
そんな乱れた世を何とか物理的・思想的にまとめたのが超偉大遂行者(グレイテスト・デリヴァラー)と呼ばれるイーニアスです。
イーニアスはテレポートや飛行魔法を使って、バラバラになって行き来できなくなった島々を渡り、奉仕活動を行いました。
また、魔法の技術を徹底的にまとめ、現在の「魔導」と呼ばれる技術の基礎を作りました。
彼はまた、博愛の理念と実存主義を組み合わせた哲学思想を打ち立て、それらはイーニアス主義と呼ばれています。
イーニアス自身は、自分の思想は宗教とは切り離して考えるべきだと主張しており、実際イーニアス主義は神々への信仰とは別に、中国で言うところの儒教のような立ち位置になってます。
ただイーニアス自身を神として崇める寺院とかもあります。でもそれは釈迦やキリストめいた「個人そのものを信仰の軸とする」わけではないです。
大陥没から500年。魔導も科学も体系化され、世界のテクノロジーとか文化は、差異はあるけど19世紀半ばの時代にだいぶ似てきています。
移動の主役はやっぱり船やね。大きくて空を飛ぶ乗物はだいたい船って呼ばれてます。船の構造はしっかりしてて、蒸気機関でオールを動かしたりして、20世紀初頭のそれに匹敵するんやないかな。
汽車もあるけど、島ごとに規格がまちまちでいまいちパッとしない。自動車とか、そういう個人用のそこそこ大きな乗物はまだない。
大陥没後7年後ぐらいに蒼暦って新しい暦が出来て、大陥没が一通り終わった後の正月が蒼暦1年。
帝国の建国が蒼暦4年。
東夷の出現が蒼暦430年。
連邦の設立が蒼暦443年。
今が蒼暦500年。
魔導(ウィザードリィ)
大陥没以前に、魔導(ウィザードリィ)は魔法という名前で知られていました。専門の魔法使いや僧侶が使うなんだかよく分からないけど便利な奇跡。魔法使いはだいたい地方に行くほど胡散臭い目で見られていました。
大陥没後に、魔法がなければ国同士のちょっとした商売すらままならない状態になったんで、じゃあ魔法を技術としてまとめましょうという話になって、回りくどい部分や迷信に基づいた手順を削って、効果や似たパターンを体系化したのが魔導です。
魔導そのものは今ではもうやり方さえ知ってれば誰でも使えるけど、魔導を組み立てたり使いこなす専門家は魔導士(ウィザード)と呼ばれ、エリート技術者としておおむね尊敬されてます。
魔導は割とツブシの効く技術です。おおむねファンタジーRPGでできることはできます。物にも魔導を込められます。
浮遊魔導、軽度治癒の魔導、光を出す魔導は小学校で習う必須技能です。自転車乗ったり、ワープロ打ったりするくらいには必須。
軍人や放浪者になるとこれに発火、テレキネシス、マジックミサイルが加わる。
まあ田舎になると、学校がなくてそんな魔導も習わん人も多いけど。
魔導に使われる力は、大陥没以前はエーテルとかマナとか言われてたけど、今はもっぱら(アズール)と呼ばれている。今人間が生きてる空が青いからでしょう。
人為的に式を構築する魔導とは違い、人の手が加えられることなく自然的に発生した魔導を特に自然魔導という。仙女が飛んだり、ペガサスが飛んだり、怪我が治る水の湧く泉とかは全部自然魔導。
セレスタイトにも自然魔導がこもっており、ほとんどの船は切り出したセレスタイトの塊を魔導式で強化し、人の乗れる部分を吊り下げて作っている。見た目的にはパンツァードラグーンの戦艦。あの石めいた古代の動力部が、幾何学的な金メッキの線がある青い岩に置き換わった感じ。
人工のセレスタイトには自然魔導はないけど、後天的に魔導を封入したりパワーアップすることが天然のそれより容易にできるので、人工セレスタイトの方が高級品。同体積の金より高いかもしれん。
人工セレスタイトの原料である炭酸ストロンチウムも、天然のセレスタイトもみんな目の色変えて掘ってるから、島が奈落に落ちるとか問題視されて、無人島では実際石の掘りすぎで落ちてしまったのもあるけど、まだそこまで差し迫って危険やて叫ばれてるわけやないです。
魔導を使えん、魔導機能障害っていう人もおる。先天的やったり、後天的やったりなる理由は色々やけど、都会の中やと建物とか、物を置く位置とかが飛行魔導やテレキネシスを前提にしてるからなかなか暮らしにくい。田舎やったら建物の高さも低い、飛行魔法を学ばれへん人が多いから階段も普通にあるので割と暮らしやすい。
魔導を打ち消す物質ってのもいくつか発見されてて、そういうのは島のセレスタイトを無効化させる恐れがあるので破壊するか、それが出来んかったら奈落に落としてます。
魔導を打ち消す生き物は、おるかおらんかわかりません。少なくとも、公式には発見されてません。時々陰謀論者が、「政府は魔導を無効化する人間を密かに殺している、人権侵害だ」と騒ぎ立てることはあるけど。

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