第41話
文字数 1,103文字
シュッとテレポートしてきた先は、
多分テレポート能力がないと、
来るのには苦労するような場所だった。
カナトさんは、ちょっと小さいタイプのリンゴ飴を一本、
私に手渡した。
リンゴ飴をぺろっとなめると、
舌にりんご味の甘い感覚が広がった。
花火をそっちのけで、カナトさんの方ばっかりみる私。
……カナトさんはしばらく無言で花火の方をみていた。
カナトさんがふいにこちらを向くと
そう、優しく声をかけてきた。
花火の光に照らし出され、
少し照れくさそうに微笑んだカナトさんに
ちょっとクラッとなった……。
カナトさんにみとれていたら、
足をひねってバランスを崩してしまった。
そのままカナトさんに支えられ、
私はカナトさんの腕の中にすっぽりと入ってしまった。
次の瞬間……。
私はカナトさんの瞳に吸い寄せられ
目が離せなくなった。
カナトさんがそっと近づく。
瞳を閉じる私。
カナトさんの唇が……
私の唇に……触れる。
カナトさんの柔らかい唇の感触……。
そしてそのままぎゅっと抱き寄せられた……。
……それから後のことは正直あんまり覚えていない……。
多分「私も好きです」……とか言っちゃった気がする。
その後はぼーっとしながらも、手をつないで2人でカナトさんの家に帰ってきた。