海に呼ばれる

文字数 1,067文字

 これは、臨海学校に行った時の話です。私達が臨海学校に行った時は、運悪く台風に直撃されました。宿泊施設の都合もあって延期は出来ず、景色を楽しむことさえ出来ぬままバスは施設に到着します。

 本来ならば、到着した後は海遊び。しかし、天候がそれを許さない。しかも、他に出来ることもありはしない。仕方なしに、昼食を終えてからは自由時間になり、生徒は割り当てられた布団しかない部屋へ向かうしかありませんでした。

 幾らかして、教師陣が見繕ったビデオを臨海学校に来た皆で観ることになりました。それは、子供達が力を合わせて脱出する、教師陣からしたら子供に良いビデオだったのでしょう。
 結局、夕食を終えてからも延々ビデオ鑑賞。何の為に海の側まで来たか分からない臨海学校になりつつありました。

 そして、いよいよ就寝時間。男女に分かれ、横一列に布団を敷いて寝ました。しかし、皆が眠りに落ちてから何時間かして、窓に一番近い場所で寝ていた子が叫んだのです。
 その叫びは建物内に響き渡り、何事かと思った教師が部屋にやってきました。そして、叫んだ子に話を聞いて、慣れない場所で悪い夢を見ただけだと言い聞かせて立ち去りました。

 翌朝、叫んだ子は何も覚えておらず、皆も深入りすることはありませんでした。また、午後になって天候も安定し、なんとか海辺で水浴び出来ることになり、夕方には夜中に起きたことを忘れていました。
 そして、台風一過で晴れた為、夜には花火とキャンプファイヤーを行いました。沢山の楽しいイベントで子供達は熟睡し、朝まで目覚めることはありませんでした。
 そして、夜の内に、一人が部屋から居なくなったことに気付くこともありませんでした。

 翌朝、一人足りないことに気付いた教師達は慌て、建物内をくまなく探しました。しかし、何処を探しても見つからず、途方に暮れてしまいました。
 朝食を食べた後も食堂に留まるよう生徒に指示し、教師は仕方なしに警察へ連絡しました。すると、地元の警察は小さな声で漏らしたと言います。

「ああ、お盆前後は良く有るんですよ」
 それに対し、教師はどういうことかと尋ねます。
「いえね、お盆前後には海に連れて行かれるって話が昔からあって。誰も見ていない間に、海に呼ばれてしまうらしくて。まあ、ただの言い伝えの類ですよ」
 それに教師は閉口し、消えてしまった子は見つからないまま、他の生徒は説明も無いままに帰路につきました。新学期になっても消えてしまった子は登校せず、隠しきれなくなった担任が言うことには未だに行方の手掛かりは一切無いと言うことでした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み