第2話
文字数 964文字
私は、カウンターキッチンで友人と子どもたちのためにおやつを用意した。
何しろ巨大地震の後は開いているお店も少ないうえに、物流も途絶えてしまっているから、用意できるものも限られてしまうのだ。
今日用意したのは、そんな中でようやく手に入れたとっておきだ。
実はさ、乳酸菌飲料が手に入らないってSNSでつぶやいたら、東京に住んでる大学時代の友人が送ってくれたのよ。牛乳も入れてくれてさ。ずっと音信不通だったんだけど、向こうから声かけてくれたの。助かるわあ。ああ、あっちは別工場で作ったものが流通してるんじゃない?
子どもたちはうれし気に声をそろえて「はーい!」と返事をした。震災前ならロールパンなんかおやつに出そうものなら、文句を言ったに違いない。だけど今日子どもたちは、パンを食べられることがうれしくてしょうがないらしい。
私たちはお互い顔を見合わせて、笑いあった。
小さな子どもの面倒を見るというのは本当に大変で、当時私は、独身でバリバリ働いているマミがうらやましいなんて思ったりもした。
けれども今は、ヒサももうすぐ小学生で、だいぶしっかりとしてきた。小さな子どもを抱えてこの震災を乗り越えなければならないマミの方が、きっと大変なんだと思う。