如月真琴

文字数 2,675文字

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(あの日、魔王の首が大衆の前に晒されたとき――。

 人間と魔族の百年続いた戦争は、あっさりと幕を下ろしたわ)

(それから、私とレイラは各地を旅して、不殺の素晴らしさを広めて回った。

 人間と魔族は不殺協定を結び、次は千年以上の平和が続きますよう――)

(夢は、叶った。私たちの役目も終わった。

 二度と争いが起こることのない世界で、これから平和に暮らすのだ)

うーん、今日も気持ちのいい晴天だねぇ!

ねぇ、こういうの外の世界では日本晴れって言うんでしょう?

あはは、それはちょっと気取った言い方かしら。

そうねぇ……私なら、ぽかぽか日和って表現するわ。

ぽかぽか日和かぁ……相変わらずユウカは上手いなぁ。

あ、みてみて、甘味処やってる! ちょっとお茶しよう!

もう、レイラはマイペースなんだから。

気が緩んでるわよ! ……ま、これも平和って証拠か。

(今日も私たちは不殺の考えを広めるため、各地の村を旅していた。

 そんな何気ない日常が、いつまでも続くと信じていたかった――)

おっちゃん! お団子3本ちょうだい!
あいよ! お、お嬢ちゃんべっぴんさんだねぇ!

1本オマケしておくよ! ゆっくりしていきな!

えへへ、ありがと!
(私たちは甘味処でお団子を買うと、店前にある木製ベンチに腰掛けた。

 ――あれ、こういうの、この世界では何て言うんだっけ?)

こうやって甘味処の前に椅子がおいてあると、

ついつい時間を忘れてしまいそうになります。


――私なら、これを、ただ『腰掛け』と呼ぶでしょう。

おねーさん、横に失礼するね!
(この人、ひょっとして私の声を読んで……?

 ううんまさかね。漫画の読みすぎだわ)

いい天気ですねぇ。小鳥が鳴き鳴き、村は呑気。

絵に描いたような平和です。あなた達も、そう思っているでしょう?

うん、少し前まで人間と魔族で争っていたとは思えないぐらい。

この日々がずっと続くように――ううん、私たちで守っていくんだ。

うふふ、それは頼もしい発言です。

私もみんなで仲良くするのは、嫌いではありませんよ。

――でも、誰かが誰かと争いたくなったとき、どうしますか?

殺したいぐらい憎みあったとき、不殺の考えを貫けるかしら。

私たちで止めてみせる? 身体がいくらあれば足りるでしょうか。

う……おねーさん、辛口だなぁ。


あれ? 不殺の考えなんておねーさんに言ったっけ?

風のうわさに聞いていますよ。

不殺の考えを広める勇者と精霊が居るって。


でも、その平和は長く続かないでしょう。

反乱分子は現れる。その可能性を考慮しないなんて、純粋なのね。

むぅ……さっきから批判ばっかり!

じゃあ、おねーさんの意見も聞かせてよ。平和を愛する同志でしょ?

そうですねぇ。私はもう大人なので、良い方法を知っていますよ。
あ、それ聞きたい聞きたい!
(言われて、女性はすっと立ち上がった。

 そうして、少し言葉に迷ったあと――)

みんなで仲良くすればいいのです。
(その言葉とは裏腹に、顔には何の表情も浮かんでいなかった。

 まるで黙らせるような気迫があったが……)

もう、何それ子供っぽい考え! 私でも思いつくよー。
うふふ、それもそうでしたわね。

では――がんばってください。応援していますよ。

あれ? おねーさん、もう行っちゃうの?

ゆっくりしていけばいいのに。

私にはやるべきことがありますから。

さぁ、行きましょう、コウタ。

真の平和を広めるために――。

あいがってん!
(居たんだ……)
わー、なになに! かわいい!
オレに触れると、凍傷するぜ!
(ペンギンって低温質だっけ……?)
それでは皆様、ごきげんよう――。
(その瞬間、平和だった村に魔物が攻めてきた――。

 否。一瞬にして村に魔物が押し寄せた! 一体どうして!?)

レイラ! 構えてッ!!
えっ、一体何がどうなってるの……!?
うわ、何だこいつら……うわぁーッ!
おじちゃん!
どんな善人でも、魔が差せば狂人になってしまう――。

うふふ……どの口が言うのでしょうか。でも、私には責任があるのです。

世界を一つにするという宿命が。万物の母になるという使命が。



さぁ、私の元においで――。

(その時、その女性が男性の死体を抱きとめたと思うと――。

 吸収した。文字通り、骨も残さず。魔族以上に狂った存在だったッ!)

えっ、えっ、ひょっとして……これ全部、おねーさんの仕業?
えぇ。全て私がやったこと。

魔王を討ち取ったのは誰か知っていますか? 新しい魔王を知っていますか?

何も知らないでしょう。あなたは所詮――村の勇者なのだから。

メタリカ様! 村の連中を焼き殺しました!

いつでも準備、できています。

さぁ、ここに新たな村を築きましょう!

ありがとう、コウタくん。


今日からここは、仲良し村です。

誰も憎しむことのない平和な世界。

全ての命は愛するために費やされる。素敵でしょう?

よくも……よくも……。


よくもじっちゃんを殺したなああああああああッ!!

あんなに善良なおじいさんをッ! それに村の人々もッ!


お前だけは、許さないからなああああああッ!!

そうです、それでこそ勇者ですよ。


私は新世界の魔王メタリカ。全ての魔族の母となる者。

そして――全人類を救済して、この世の神となる者です。

さぁ、無知なる勇者よ。世界の半分を渡しなさい!

明鏡止水ッ! 最初からフルスロットルで行くよッ!

ユウカ――絶対に離れないでッ!

えぇ! こんな悪、生かしておけない!

絶対に倒しましょう!

(殺す――のか?

 確かにメタリカは狂っている。けれど、本当に救えないのか――?)

何を迷っているのですか?


胎内魔王城、開門。

この世の地獄を味わいなさい――。

うごご……うごぉっっっっ!!
じ、じっちゃん!?
ダメ! そいつは彼女の生み出した魔物だわ!

――なんて趣味が悪いことをッ!

うあっ……うああああッ!
む、無理だ……じっちゃんを倒すことなんて出来ない……。
レイラ!
うふふ……どんなに強くても、その甘えがあっては掬われますよ。

あなたが救おうとしたものに裏切られる。

あなたが敵対する者に手を差し伸べられたとき、心は揺らいでしまう。


――私もそうでした。魔物を怨みながら、魔物の母となっている。

なんて皮肉なことでしょう。でも、いいんですよ。

私はみんなと――仲良くしたいから。
うわあああああッ!!

ユウカ……怖いよ……っ!

……ユウカ?
ねえ、ユウカ、返事してよ! ねえ!
さぁ、お友達が待っていますよ。

私の胎内へ――還りなさい。

ユウカアアアアアアアアア!!
◇ ◇ ◇

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あいがってん!
おしまい。

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登場人物紹介


「私はもう――寂しくありません。

 こんなにたくさん、お友達が居ますから」



百鬼魔王の爆心地

○メタリカ・マグウォート

性別:女


かつて、ごくふつうの女の子だった魔王。

両親を魔物に殺され、叔父に引き取られ幼少期を森の館で過ごす。

誰とも打ち解けられず退屈な日々を送る。


そんな生活に変化をもたらしたのは、一匹の妖精だった。

「おいで。楽しいことをしよう」

手を引かれて、進んだ先に広がっていたのは自然豊かな楽園だった。

妖精が輪になって踊り、おいしい食事も用意されていた。

少女は日が暮れるまで――気が付くと朝日が昇るまで遊び続けていた。


次の日から、また少女は一人だった。

そのギャップに耐えきれず、少女は禁術に手を染めてしまう。

やがて――その身には魔物が宿った。

たくさんの魔物を産む、母体となったのだ。


「おいで。楽しいことをしよう」

一匹の魔物が告げる。

彼らと共にいれば、どんな危険も怖くなかった。

言われるがまま、手を引かれるがまま、禁忌を冒した。

たくさん人を殺した。

たくさん街を襲った。

世界を手に入れるまで、そう時間はかからなかった。

そして少女は――魔王と呼ばれた。



能力名:胎内魔王城

自由に魔物を生み出し、指揮できる能力。

また、一度生み出した魔物を胎内に戻す能力でもある。

彼女から生成された魔物たちは忠実な下僕として働く。


魔物の定義から外れたものを作ることも可能で、

生命そのものを氾濫させられる禁忌中の禁忌。


無機物でさえ生み出すことも可能。

弱っている相手を吸収することも出来る。



戦う動機:お友達を増やすため。




イラスト:三日月アルペジオ

作者:如月真琴


彼女の名前はレイラ・リリアーヌ


 18歳の女の子、いや芯の強い女性か。

 勇者の証である、それはもうありがたーい精霊と一体化した精霊の鎧に選ばれたのよね。

 とある貴族の令嬢だったんだけど、好きな人の二股という裏切りによって貴族の生活に嫌気がさしたことや、家族が魔王の配下に襲われちゃったから、貴族の身分を捨てて、魔王を倒すために幼少期の頃からともに、身体を鍛え、武を競い合っていた友人の女の子のパーティに入ったの。


 最初、レイラは「魔王はワタクシが倒しますわ!」と息巻いていたんだけど、人間に迫害される人間と魔族のハーフの子供達とふれあったことで、めちゃくちゃ悩んで戦争による憎しみの禍根を残さないよう彼女自身に不殺の誓いを立て、魔族と人間の共存のために戦争を終結させるという目的が彼女に芽生えたの。あの時は大変だったなあ。

不殺って言っても、周囲への被害を抑えることを第一に考えているから、戦闘では相手を殺さず、戦闘不能にするスタイルね。


能力名:魔力制御・明鏡止水

 ものすごーく魔力制御がうまい。身体能力で男性に劣るレイラが編み出した能力。努力の賜物ね。

全身に魔力を纏わせることで、身体能力を補っているっていうシンプルな物。

 この能力の恩恵として、全身に均一に魔力を纏わなければ、装備することができない、すっごい精霊の鎧を装備できるんだから! まさに運命ね!

鎧には体内の魔力を増幅することで剣に魔力を纏わせて斬撃を放つ、魔力が足りなくて使えない高位の魔法を発動できるとか、とにかくたくさんの恩恵があるのよ。どう、すごいでしょ?

あと、チート系魔法を無効にできるの。即死とか因果に干渉するやつよ。魔王特攻とも言うべきかな。だから勇者なの。


 全身の魔力を一点に集中させて、発動させる魔動波が切り札なんだけど、この技、全身の魔力を一点に集めるから、発動と同時に精霊の鎧の装備が解除されちゃう捨て身の攻撃なのよね。

一度だけ、装備が解除されたら服を着てなくてレイラに怒られたから、それ以来、気をつけているの。まあ、気持ちはわかるし。だから解除されても服は脱げません。ごめんね。


戦う動機:人間と魔族が共存できる世界を目指して戦っているわね。


 私? ああ、自己紹介がおくれちゃった。私はユウカ

鎧と一体化したありがたーい精霊!本当は別の名前もあるんだけど、今はこっちのほうがしっくりくるの。彼女の能力名を決めたのは私!

 え? 日本人っぽい名前だなって? 鋭いわね! 私、精霊に転生した日本人だもの。レイラと出会う、少し前に記憶が蘇ったのよね。

なにはともあれ、今日はよろしくね!


アイコン及び全身の画像:きゃらふと様

作成者:榎本レン


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