第1話

文字数 655文字

周囲は黒霧で覆われている。

ぼんやりと浮かぶ一つの小さい影から甲高い悲鳴が発せられる。

すると、その悲鳴が、まるで、エコーがかかったように何度も何度も響き続ける。

音叉のように、それが唯一のできることであるかのように...誰かが喚けば他の誰かも喚き出す。

止まらない連鎖に、獣の頭がついたとにかく大柄のものが大声で喚き出した。

「お前ら!なんだその塔は!?ふざけてるんじゃないだろな。 そんなもので功徳になるとでも?」

そう言うと、“鬼”は手に持っていた紐 ...ムチであろう ...で積み重なった石を叩いて地面に落とす。

「やり直させてやる。ほぅら、早く積み直して成仏を願え!餓鬼ども!」

...と、叫んだところで見慣れない見た目の生物がいることに気づく鬼。

「ん?なんだこの赤ん坊。目が真っ青じゃねぇか。こいつはぁもしかして、。

おぉぉい!みんな来いよ!西洋人が紛れ込んでるじゃねぇか。」

その鬼の大声でたくさんの、似たような風貌の鬼たちが集まり、珍しい見た目であるらしい赤ん坊を一目見ようと群がりはじめる。

鬼たちの注目の的である赤子が、異常に感情が現れていないことに何匹かの鬼が気づき始めた時、鬼たちの集団の中で一際目立った美しい中性的な見た目の(他の鬼たちと比べれば、まだ人間的である)鬼が澄んだ声で一言発した。

「これは、、久しぶりに“悪魔”との対面が、必要になってきそうですねぇぇ。ええ。」

....烏滸乃沙汰 迂遠が、いや、彼の前世である赤子が、冥土を超えたパートナーと地獄で出会うまで、もう遠くはないようだ。
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登場人物紹介

主人公の前世の姿。見た目は完全に外国人の赤ん坊なのだが、何かの手違いにより死後に日本の地獄の賽の河原にいるところを鬼に発見された。

日本ではない地獄に住んでいる美しい美貌の悪魔。前世の主人公を日本の地獄から自分の住む地獄に戻す仕事を引き受け、前世の主人公と出会うことになる。時々パニックを起こし、ヒス構文になる。通称ベラくん

ベラくんに前世の主人公を迎えに行かせた悪魔。ベラくんをおだてているようでバカにしてもいる。悪意はないらしい。

名前はベレト。

この小説の中で一番の正直人(常識悪魔?)である。不憫な目にあいやすいベリアルを心配している。

トランペットが好きらしい。

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