四柱推命ピタグラフ

文字数 831文字

 四柱推命で占ってもらえるソフト。四柱推命とは、生まれた年、月、日、時の四つの柱から人の運勢や吉凶を判断する中国発祥の占い。
 占いソフト。それはゲームといえるのだろうか。いや、ゲームとして発売されたなら、やはりゲームだ。アイドルのデータベースや妖怪図鑑など、「それはゲームなのか?」「それは誰が買うのか?」などと問いたくなるゲームは、昔の方が多かった気がする。いまなら占いサイトなどネットでいくらでも転がっているが、ネットがそれほど一般的ではなかった頃は、こういう占いソフトも貴重でありがたかったのかもしれない。
 でも占いに興味があるなら、実際に占い師に見てもらったり、詳しい本を買ったりした方がいいんじゃないの? などといまの自分は思ってしまう。ゲームじゃなくてもいいような。
 とはいえ過去の自分は購入してプレイしているわけだ。「ぼくはもう一人の他人だ」というアルチュール・ランボーの言葉を思い出す。自分がどういうつもりで買ったのか謎である。
 誕生した日付や時間を入力して占ってもらうだけだから、遊びの部分、ゲーム性といえる部分はかなり稀薄だ。じゃあ何でこのゲームが記憶に残っているのかというと、それはただひとつ、「余命診断」というモードがあったことに尽きる。
 食の傾向や生活習慣など、いくつかの質問に答えていくと、最後におどろおどろしい文字で「あなたの生存日数はあと○○○○○日」と自分の寿命が表示される。それが非常に印象深かった。そうか、自分はあと○○○○○日で死ぬのか、とすんなり信じたものだ。
 肝心の数字は忘れてしまった。何桁だったかも覚えていない。メモしておけばよかったといまになって思う。当たろうが当たるまいが、興味深い情報だからだ。といっても、いまもう一度プレイしたいとは思わない。当時の自分が目にした生存日数を知りたいのだ。そのときの感慨も含めて。
 それにしても、ゲームに死を宣告されるとは。たしかに、それも遊びには違いないけど。
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