支配者からの手紙

文字数 776文字

――アラン君へ


 最近、アラン君が良く本を借りていると耳にしました。正直、アラン君の印象から、お堅い本を読むなんて思ってもみなかったよ。
 それで僕は思ったんだ。それだけ、アラン君は刺激に餓えているのかなって。

 だって、そうでしょう?
 ここに来たら最後、自由に買い物すら出来ない。買い物が出来ないってことは、好きなものを手に入れられない。これじゃ、誰だって退屈するよね?

 だから、僕はある提案をしたいんだ。勿論、アラン君が嫌なら無視してくれて構わない。
 ああ、そうそう。提案を無視しても、君には何も課さないから心配しなくて良い。
 それと、僕が考えた提案は口頭で伝えたい。文章じゃ、伝わらないこともあるしね。
 僕の提案に興味があるなら、部屋に来てくれれば良い。また、美味しい紅茶で歓待しよう。


ニコライ・フォビッチ――

 手紙を読み終えたアランは、便箋を持ったまま長く息を吐く。そして、手紙を何度か読み返した後で、それを封筒へ戻した。彼は、封筒を持って部屋を出、ニコライが居る場所へと向かう。はっきりしない部分が多いせいか、ニコライの元へ向かう彼の足取りは軽く無かった。とは言え、アランは立ち止まることなく歩き続け、ニコライが居る部屋の前で立ち止まる。
 
 アランは、部屋の前で深呼吸をし、気持ちを落ち着けようと試みた。しかし、それは内側からドアが開かれることによって失敗し、アランは目を丸くした。開かれたドア近くにはドアノブを握るエルの姿が在った。また、部屋の奥に置かれた椅子にはニコライが座り、その横にはアールが立っている。
 
 エルは、アランの姿を見るなりドアを押さえて身を引いた。その後、彼は無言のまま顔を動かし、アランに部屋へ入るよう促した。
 この為、アランは室内へ入り、エルはドアを内側から閉めようとした。しかし、それを部屋の奥に居るニコライが制止する。
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登場人物紹介

アラン


ガチムチ脳筋系の兄貴キャラ。
それでいて上の指示には従順な体育会系な為に社畜と化す。

純真な心が残っている為、それで苦しむが、何が大切かを決めて他を切り捨てる覚悟はある。

ニコライ的には、瞳孔が翠で良い体格の(おっちゃんなもっとデカなるでな)理想的な茶トラ人間バージョン。
なので気にいられてる。

ニコライ・フォヴィッチ


裏社会で商売している組織のボス。
ロシアンブルーを愛する。

猫好きをこじらせている。
とにかく猫が好き。
話しながら密かにモフる位に猫が好き。
昔はサイベリアンをモフっては抜け毛で毛玉を育てていた系猫好き。
重症な猫好き。
手遅れな猫好き。
猫には優しい。
猫には甘い。
そんな、ボス。

アール


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは右にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その1。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

エル


ニコライの側近。
眼鏡でエルとは瓜二つ。
服も支給品の同じスーツなので、見分けは左にある黒子。

ニコライ的にはタキシード模様の猫その2。
黒い毛並みを維持する為の投資は厭わない。

青猫
ニコライの愛猫。
専用の部屋を持つ部下より好待遇なお猫様。
ロシアンブルーだからあまり鳴かない。
そこが気に入られる理由。
専属獣医も居る謎待遇のお猫様。

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