餅から

文字数 3,574文字

ここは餅からさんの執筆スペース!
悪戯したら、巻き込まれるぞ!

今日は希望崎学園の修学旅行。

ここ、ニューアメリカシティのニューニューヨークに多数の学生魔人たちがやってきて、それぞれが思い切り楽しんでいた。

mochikara

やー、なんか嬉しいすねー番長!
俺は番長じゃないといつも言ってるだろう。
あー、すいやせん、ボス! 見た目めっちゃ番長なんでつい……へへ!
ったく……で? 何が嬉しいって?
いや、なんつーか、番ちょ……ボスっていつも一人でふらーっと旅行に行っちゃうじゃないっすか。

でも今日は修学旅行! これで思いっきりボスと一緒に遊べるってわけっす。

俺ら、いつもボスと遊びたいなーって思ってたんすよ。
私も私も!
………………そうか。まぁ好きにするといいさ。
ウス! 好きにしやす!
で、ボスは一体どこに向かってるんです?
ニューニューヨークに着くやいなや、月山は町はずれへ向かって歩き続けていた。

やがてたどり着いた場所にあったのは広い草原と瓦礫の山だった。

mochikara

ここだ。
ここって……どこ?
あー、ここアレじゃん。ニュー廃墟。

なんか最近できたっつー新しい廃墟。

これが噂のニュー廃墟ね。

でも、どうしてボスはここに?

……………
月山は女生徒の問いかけに答えず、カバンの中から大きなサンドバッグを取り出した。

サンドバッグにはおよそ似つかわしくないフリフリの布が巻き付いている。


そう、スカートだ!

mochikara

…………俺は、いつもこうやって修行をしている……
月山はニュー廃墟のニュー瓦礫天井へ手慣れた様子でサンドバッグを結びつける。

mochikara

ちょ、ボスってマジでいつも修行してたんすか。
そう言っていたはずだが?

………はぁ! 『メクルリ・フワート』!!!!

ふわりっ

mochikara

おお! サンドバッグのスカートが捲れ上がり……!
その中の純白の三角布が………おお!!!
男子サイテー
男子生徒らがサンドバッグのパンチラ(サンドパンチラ)に喜んでいる傍ら、何故か月山は険しい表情をしていた。

パンツを見たのに! 険しい表情をしていたのだ!! それは何故か!!!!

mochikara

…………ボス?
おい、そこに居るんだろう。出てきやがれ。
ぬらり、とニュー瓦礫のニューボロ壁の陰から人影が姿をあらわす。

mochikara

なんだよぉ………人がせっかく芸術的な気分に浸ってるってのによぉ………
キャッ!
てめぇは……薄羽 堕璃じゃねぇか! なんでこんなところにいやがる!
知り合いか?
うっす。こいつ、前は希望崎の美術部に所属してたんスよ。ただちょいと思考が危険っつーか、アレで、退部させられたんス。
なんでそんなこと知ってんだ?
だって俺、美術部だし。
まじかよ!
男子生徒ズがそんなことを言い合っている間、堕璃は中空を見つめながら何やら呟き続けていた。

mochikara

くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ

汚らしい汚物どもがくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ

………うわ、何この人……
くそくそくそくそくそくそくそくそ



…………………お前ら………芸術の邪魔だ……………

………ッ!! 危ない、伏せろ!!!
月山の叫びを聞き咄嗟に伏せる女生徒。

その瞬間、彼女の首があった位置を一筋の閃光が走った。

mochikara

ぱーおー
像! 像である!!

像の鋭い象牙が、その太い足によって加速されて女生徒を貫かんと襲い掛かってきたのであった!

mochikara

くそぉ………なんで避けるんだよ………芸術的じゃないなぁぁぁぁぁぁ
何しやがんだてめぇ!
芸術的じゃないやつは生きる価値が無いんだよ。

芸術的じゃないやつが、僕の邪魔をするなんて許せるわけがない。

芸術的じゃないやつは死ななきゃいけない。


だから………

僕の『キル・アート』で、死ね。
めぇぇー
ぱおー
わんたんー! わんたんー!
魔人、堕璃の『キル・アート』によって生み出された無数の芸術的ヒツジ、芸術的像、そして芸術的ワンタン!

それらが群れをなして月山たちに襲いかかる!

mochikara

お前ら、俺の後ろに回れ!


……『メクルリ・フワート』!!!

ふわぁっ

mochikara

月山の能力『メクルリ・フワート』により、月山のスカートが勢いよくめくり上がった。そしてその風圧でできた壁によって、堕璃の『キル・アート』達の猛攻を退ける。

mochikara

ぼ、ボスすげぇ! スカートめくりでまさか風の壁を作るなんて!
だが、敵の数が多すぎる……ただ防いでるだけじゃ……
そのまま潰れてしまえ………!
そいつは聞けない願いだな!
何っ!!!
わ……わ…………!!
わんたぁぁぁぁーーーん!!!!
何っ、僕のわんたんが!!
堕璃が驚いたのも無理はない。

彼の『キル・アート』で作り出した芸術的わんたんの硬度は実にダイヤモンド並み! そう簡単にやられるはずがなかった。

mochikara

だが、それだけではない。

mochikara

す………応ぉぉぉぉぉ!!!!!
ぱおおおーーー!
めぇぇぇぇぇーーーー!
月山に飛びかかっていく『キル・アート』たちが次々とバラバラにされていった。

mochikara

お前ぇぇ、僕の芸術に何をした!!
堕璃が憎々しげな眼で睨みつける。

その視線の先。無数の『キル・アートだった』残骸の中心で、


月山のスカートがゆらゆらと揺れていた。

mochikara

おい、お前ら。今のうちの遠くに離れてろ。


……あと、俺のスカートの中を覗くんじゃねぇぞ。

は、はい!
男子生徒たちと女生徒が急いで離れた場所に避難する。

そして、戦場には月山と堕璃が残った。

mochikara

…………『キル・アート』
めぇぇぇーー!
『メクルリ・フワート』!!
ウギャー!
『スカートの超振動』……か……
ほう。見破ったのか。
伊達に観察力を磨いてるつもりは無いんでね。

スカートを光速で捲り続け、その振動によって布を刃と化し攻撃してたってわけだ。


まったく、お前自信は反吐が出そうになるほど醜いが……その技、少し芸術的だぜ。

ふん。ありがとよ。
…………だけど、うん。やっぱりダメだ。

僕は、僕が僕でいるために、僕は、やっぱりお前を殺さなきゃ。

芸術は、己自身との戦いだから……
その直後、堕璃が表情でその場にうずくまる。

mochikara

む……おい、大丈――
異変に気がついた月山が慌てて駆け寄ろうとし、足を止めた。

周囲に膨れ上がる尋常ではない殺気に気がついたから。

mochikara

お、オオオオ、オオオオオオオ!!!
ボコボコと堕璃の制服が波打つ。やがて服が弾け、その下から黒くうごめく肌が姿を表し、徐々にその質量を増していく。

mochikara

う、、、、
ぐおおおおおお!!!!!!
黒くうごめく肌とは一体。

mochikara

こいつ……まさか自分自身に能力を……
く、くくくくくく! 殺してやる……! ぐおおおおおお!!!
変身した堕璃が口から光線を吐く。

その光線は月山の身体を大きくそれて遠くの山を打ち砕いた。

mochikara

ん、む……まだ上手く狙えないか……
……………だせぇな。
何?
だせぇって言ったんだ。

自分の思い通りにならないからって、そうやって暴れまわることしかできねぇのが最高に、ださいぜ。

う、うるさい! その醜い口を僕の光線ですぐに浄化させて芸術にしてやる!!
………やれやれ。仕方ねぇから見せてやるよ。


これが、本当の芸術だ。

瞬間、月山が空中に浮かび上がった。

これまでに数々のスカートめくりをご覧になってきた読者諸君ならすぐに気がつくだろうが、そうこれもスカートめくりの応用である。

月山はスカートめくりの浮力を利用して浮かび上がったのだ。

mochikara

………ん、ぐ………?
お前の敗因を教えてやるよ。
ぐ、おおおおおお!
お前の敗因、それは……
おお、おおおおおおお!! くそぉおおおおお! 
堕璃は、見とれてしまった。

太陽の光を背に受けて輝く、月山の、スカートの、その下に。

mochikara

そして、その一瞬の気の迷いが、勝負の分かれ目となった。

mochikara

それは、


スカートをはいた俺を、醜いと罵ったことだぁぁぁぁぁぁ!!!!

月山は頭を堕璃の方向に向けると、スカートを超速で震わせた。

mochikara

空を掴み、躍動し、堕璃の芸術品さえ切り伏せるほどの光速振動するスカートが月山を一本の槍へと変化させる。

mochikara

その速度は、もはや芸術という名の贋作によって曇った堕璃の目で捉えられるものではなかった。

mochikara

う、うおおおおおおおおおおおん!!!!
堕璃はその巨体を月山に貫かれ、爆散した。

mochikara

……ふぅ。

まったく、とんだ修学旅行だ……

おーい。ボスー。
無事だったんスね、ボス!
良かったー。やられちゃったかと思ったよ!
俺がお前らを残して簡単にやられるわけがないだろう。
ヒュー!
さて、それじゃちょうどよく訓練もできたことだ。

そろそろ【苦労婆婦威留怒(読み:クローバーフィールド)】の活動を開始するぞ。

ういっす。俺、あっちで空き缶拾ってきやす。
私は散らかった芸術品を片付けてくるね。
お、俺もそれ手伝うよ!
うむ。今日もボランティアに精を出すぞ!
「オー!!」


希望崎学園ボランティアクラブ。

通称【苦労婆婦威留怒】はこうして活動するのだった。

mochikara

そこまでです!!

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登場人物紹介

名前:


薄羽 堕璃[うすば だり]




性別:





特殊能力:


『キル・アート』


自らの手で生み出した造形物(芸術作品)に殺意を植え付け、造形物に対象者を殺させる。




設定:


・造形芸術家。


・この世の全ての事象は芸術で解決できるという偏った考えを持った魔人。


・理屈的な思想家や哲学者などが大嫌いで、それは殺意を抱くほどのものである。


・かつては希望崎の美術部に所属していたが、危険な思考を持った堕璃に部員は恐怖し、空気を読んだ美術部部長のヴァーミリオン・海我はやむを得ず堕璃を美術部から追放する。


・密かに尊敬していた海我からの突き放しは堕璃の性格を一層歪ませ、魔人へと覚醒する原因となった。




相手を倒したい動機:


芸術的じゃないから。


作者:岡田拓也

名前:元興寺 月山(がんこうじ がっさん)


性別:男


設定:

希望崎学園に通う学生魔人。はちきれんばかりの筋肉を薄汚れた学ランで覆い、ボロボロの学生帽を身に着け、プリーツスカートを履き、口には猫じゃらしを咥えている眼光鋭き男。その姿はまさに"番長"と呼ぶに相応しい出で立ちだが、番長グループに所属しているわけではなく、独立勢力【苦労婆婦威留怒(読み:クローバーフィールド)】として活動している。学ランから覗く赤Tシャツは喧嘩相手の血が目立たないようにしているという噂だが、事実は不明。

見た目が厳ついため周囲の生徒からは怖がられ避けられる傾向にあるが、実際は温厚な性格。だが強者とのギリギリの勝負は大好き。

趣味は武者修行を兼ねた旅行。




能力:

『メクルリ・フワート』


 意識を集中することでスカートをめくることができる能力。めくり幅はかなり応用が効き、背後から気づかれないようにそっとめくるも良し、前方を勢いよく大胆にめくり上げるも良し。横でも斜めでも壁越しでも対応できる。10メートル離れた場所から女子高生のスカートをめくり上げ、通りすがりの魔人が泣きながら警察に連れて行かれたのも遠い昔の思い出。

 能力に対応しているスカートも多く、一般的なロングスカートからミニスカート、女子高生のスカート。エリマキトカゲのエリでもめくることができるし、スコットランドの民族衣装であるキルトのように男性が履いていても問題ない。(余談だが、スコットランドは元々スカートランドと呼ばれていたほどのスカート大国である)

 また同時に複数のスカートをめくることもでき、スカートの気配(俗に言うスカトニウム)を感じることができれば数百のスカートを一度にめくることができる。実際、月山は授業中に全校生徒のスカートを一度にめくり上げて停学処分されたこともある。



戦う動機:巨大なスカトニウムを感じたから


イラスト:いらすとや(+少し加工)


作者:餅から

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