実利と人徳の間を行ったり来たり
文字数 515文字
フロムはつぶやくことがないと、常にそうやってつぶやくのであって、実際にお腹がすいているのか、誰も知らない。
空気を読めないやつはどこまでも空気が読めないのであって、フロムの心の飢えを、蓮は満たすことができない。
仮に食べたとしても、フロムの心の飢えは治らない。
蓮の一言はフロムの心に少しの傷と、多くの汚染を残すことに成功してしまった。
蓮の言っていることは間違いである。得を求めるならば、徳も積まなくてはいけない。現実はVRMMOと違って、極めてスリリングなバランスの上に成立している。そういうことを理解していない人間が、人間向けのAIの相手をしている、というのが一つ皮肉だった。
ん? 言ってることが難しい?
うーん、効率厨とエンジョイ勢の差、といえばいいですかね?
多分とお茶を濁したものの、蓮の精神は揺さぶられた。愛という言葉がそれだけクリティカルな表現だったのか、それとも蓮の心は案外影響されやすいのか。
答えがでるのはいつの日のことだろうか。