第67話 久しぶりの仲間

文字数 954文字

「コータロー!! 久しぶり!!」

あたしは運転席に飛びつきそうな勢いで駆け寄った。

「透子さん!! 生きてたんですね!!
でも、あの頃から変わらなさすぎじゃ……」

コータローに笑顔がほとばしったのも束の間、
「どうして!?」と言わんばかりの顔つきに変わった。

「あ、あぁ、これにはややこしい訳が……」

あたしは自分の姿を見下ろしながら言った。

「知り合いか?」

マシロが言った。

「あぁ、梓山にいた頃の後輩」

とあたしが言うと

「私らはしばらく買い物でもしとくわ。
積もる話もあるやろからゆっくり話したらええ」

と翠さんは言って、マシロと漂とともにその場を立ち去った。

「透子さん!! どういう事なんです!?」

コータローはそう言って運転席から「よっ」と飛び降りた。

「コータロー、信じられねー話かもしんねーけど、
あたしはどうやら35年前の地滑りの時に
この時代にテレポートしたっぽいんだ」

「マジっすか!!」

コータローは見た目はいいおじさんだったが、
あたしと再会したせいか、中高生のような話し方になっている。

「まぁでも会話も通じるって事は本物の透子さんって事っすよね。
なのに見た目があの時から変わってないって事は
テレポートはほんとなんすね!」

「コータロー、あんただったら信じてくれると思ったよ」

あたしが言うとコータローは

「そりゃ、透子さんの言う事だった信じますよ!」

と言って、てへへと笑った。

「それで今は? 
さっきの人たちと一緒に東京にいるんすか?」

「あぁ、あの人たちに拾われて、その中の一人が
あたしを元の世界に戻れるよう策を練ってる」

「そうなんすね」

そしてあたしも気になっていた事をコータローに聞いた。

「あのさ、一茶って今どうしてんだ?」

あたしは上目遣いで様子を伺うように言った。

「あぁ、一茶さんは高校を卒業した後、大阪に行きましたよ。
一茶さんも透子さんがいなくなってから元気なくなっちゃって……」

そうだったんだ……。
一茶もあたしがいなくなって気落ちしていたのか……。
一茶も今コータローがあたしを受け入れてくれたように、
あたしを受け入れてくれるだろうか?

一茶に会いたい……。
そんな思いが湧き出た。

「透子さん、実は俺今から大阪まで行くんすよ。
もし良かったら一緒に行きませんか?」

コータローの思いもよらない提案に、
あたしは「え?」と目を(しばたた)かせた。
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