冒険者、奴隷商人に会う

文字数 748文字

 それから二日後、奴隷商人がやって来た。
「はじめまして、奴隷業を営んでいる『バーズ』と申します。」
 バーズと名乗った男は若い青年で一見奴隷商人とは思えなかった。
「レッドだ。よろしく頼む。今日は連れてきていないんだな。」
「えぇ、まずはお客様の要望を聞いて、お客様に会った奴隷を用意させて頂きます。」
 何か思っていた感じと違うなぁ……。
「とりあえず見ての通り何も無い状態で作業したくても出来ない状態なんだ。人出が欲しいんだ。」
「なるほど……、それでしたら『獣人』なんてどうでしょう。体力が人よりもありますし。」
「獣人? 人間だけじゃないのか?」
「えぇ、他にもエルフ等もございます。」
「それって、捕まえたりするとか?」
「そう言う業者にもおりますが、うちは住んでいた村から追い出されたり、人から迫害を受けたりというどうしようもない理由で奴隷になってしまった子達を受け入れております。」
 そうなのか……。
「レッド様、この大陸には『奴隷法』というのがありますから、奴隷にも最低限の人権が認められていているんです。奴隷に無意味な虐待をすると奴隷商人としての身分が剥奪されてしまうのです。」
 ミラーゼがそう言ってフォローしてくれる。
「えぇ、奴隷商人の中には奴隷を苛めたりする輩がいるんです。以前、某国の王女が奴隷堕ちしてひどい目に遭ったらしく、その後王女は復権したんですが自身の経験を糧に奴隷の保護を世界に対して訴えたんです。それで奴隷法が制定されたんです。」
 俺が知らない所でそう言う事があったのか、ていうかその王女もよく耐えられたよな。
「因みにその王女様をひどい目に遭わせた奴隷商人はどうなったんだ?」
「かなり残忍な報いを受けたみたいですよ。」
 そりゃそうだろうな……。
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