第4話 右側一世登場!
文字数 2,097文字
ロウソクの火が風も吹かないのに揺らめいた。紫色の火が奴の不気味な顔を照らしている。
「小僧、私はお前の持っている宝珠を集めていてる。お前の命の保証と引き換えにその宝珠を私にくれないか?」と奴は提案を持ち掛けてきた。
提案を受け入れるしか助かる道はないぞ。
そんな風な思いが奴の笑顔に現れている。
確かに助かる道は思いつかない…、だが!!
「嫌だね!お前の目的が地上の征服なんだったら、今ここで助かったとしても後で殺されちゃうよ。それなら今お前と戦ってやる!」
と断ってやった。もう心臓がはち切れそうだ。
奴は笑顔を崩さずに答えた。
「ならばお前は生かしておいてやろう。地上の征服、天界の支配が成った暁には冥界にお前の家を建ててやろう。」
「僕の家族はどうなる?僕の友達は?お前達化け物に支配された人達はどうなるんだ?!僕以外の全員を助けることができないって言うなら断る!」
僕はそう言って白の宝珠を握りしめた。
「まだ自分の立場が分からんのか?戦ったとしてどうなる?つい先程のあのザマをもう忘れたのか?
自分の命が惜しいとは思わんのか?苦しみたくない死にたくないとは思わんのか?
…それに私は血を見るのが嫌いなんだ。血生臭さがどうも苦手でな………………………………確かに他の人間どもの無事は保証できない。
だがお前は死なない。
この私の寛大な招聘 によってな。」
この男には血が通ってないのか。血が通ってないからこそ血を嫌うのかもしれない。
それにローブで隠れているから分からないけど、もしかしたら全身骨だけで本当に血が流れていないのかもしれない。
白い宝珠よ僕に勇気を、奴を討つ力をくれ!
鼓動の音が聞こえる。僕は奴を指差した。
「僕の気持ちは変わらない。友達を傷つけようとするお前を許さない。おじさんをバラバラにしたお前を許さない。」
ミルベウスは表情を強張らせて言った。
「ならば死ね。お前も左側一世のようにバラバラに砕いてやる。」
僕は構えた。奴は構えもしない。
怒りの中にも余裕を感じさせるその振る舞いは、僕とは圧倒的な力の差がある事を示した。
「やっぱりお前には血が通ってないんだ。お前を倒す!」
そう言って白の宝珠から光の刀を取り出して斬りかかった。自分の力とは思えないような脚力でミルベウスに迫る。
ミルベウスはさっきと同じように片手で刀を止めた。
「ふふふ。非力、貧弱、脆弱 。哀れにも宝珠に選ばれし人の子よ、ここで砕け散るがよい。」
僕の右手が凍った。どんどん腕が固まっていく。
「全身を凍らせてやろう。私に返り血がとばないように。」
「へん、心配ないぞ。僕は死なないからね。」そう言って僕は自分の手を燃やした。
「神・剛焼剣!」
腕にこびりついた氷を溶かして距離をとった。刀から出た炎が辺りを照らす。
そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「ロ、ロウソクが怪物達の頭に刺さっている!」
叫ばずにはいられなかった。怪物達の顔のシワに影ができていて、それが余計に恐ろしさを際立たせる。ロウソクの数だけ怪物達の頭部があった。
「お前は仲間になんてことをするんだ!」
「仲間?確かに仲間ではあったがそいつらは役立たずどもだ。裏切り者や私に歯向かってきた者もいた。
だからそいつらは皆血液を凝固させて首をはねた。お前も同じ列に加えてやろう。」「っ……お前なんか地獄行きだ!!
」
ミルベウスはまた笑みを浮かべた。
「地獄?悪人だけが死後に行くという世界のことか。そんなものはない。あるのは万物を受け入れる新たな世界だ。
そもそもこの偉大なる世界は善も悪も皆等しくその生を受け入れている。
ならば死後の世界とは、その者の善悪に限らず受け入れる偉大なる世界である、と考えるのが普通ではないのかね。
『悪は地獄行き』などと言って他の恐怖を煽り、その者の行動を制限するような思想を植え付けることの方がよっぽどの悪だと私は思うがね。」
僕は反論することができなかった。宗教の事なんて何も知らないし、実際には奴の言う通りなのかもしれない。難しい話は嫌いだ。
でも…………………………………
「もしかしたらお前の言う通りなのかもしれない。僕はまだ小学生だから分からないことの方が多いしね。
でもやっぱりお前のような悪を縛り付ける場所が必要なんだ。そこへ僕が送ってやる。」
僕は白の宝珠から光の鎧を出してそれを自分の体に纏 った。
「あくまで私を倒そうと思っているのか?おもしろい、やってみろ。」
僕と奴の本当の戦いが今、始まる。
……………………と思ったその時、不意に僕の体が上へ引き寄せられた。物凄い勢いでミルベウスの城から離れていく。僕はまた暗闇の中に入った。
気がつくと僕はさっきまでいた公園に帰ってきていた。ベンチから体を起こすと目の前に僕と同じ歳くらいの男の子がいるのが分かった
「初めまして、だな。俺は右側一世だ。」
「小僧、私はお前の持っている宝珠を集めていてる。お前の命の保証と引き換えにその宝珠を私にくれないか?」と奴は提案を持ち掛けてきた。
提案を受け入れるしか助かる道はないぞ。
そんな風な思いが奴の笑顔に現れている。
確かに助かる道は思いつかない…、だが!!
「嫌だね!お前の目的が地上の征服なんだったら、今ここで助かったとしても後で殺されちゃうよ。それなら今お前と戦ってやる!」
と断ってやった。もう心臓がはち切れそうだ。
奴は笑顔を崩さずに答えた。
「ならばお前は生かしておいてやろう。地上の征服、天界の支配が成った暁には冥界にお前の家を建ててやろう。」
「僕の家族はどうなる?僕の友達は?お前達化け物に支配された人達はどうなるんだ?!僕以外の全員を助けることができないって言うなら断る!」
僕はそう言って白の宝珠を握りしめた。
「まだ自分の立場が分からんのか?戦ったとしてどうなる?つい先程のあのザマをもう忘れたのか?
自分の命が惜しいとは思わんのか?苦しみたくない死にたくないとは思わんのか?
…それに私は血を見るのが嫌いなんだ。血生臭さがどうも苦手でな………………………………確かに他の人間どもの無事は保証できない。
だがお前は死なない。
この私の寛大な
この男には血が通ってないのか。血が通ってないからこそ血を嫌うのかもしれない。
それにローブで隠れているから分からないけど、もしかしたら全身骨だけで本当に血が流れていないのかもしれない。
白い宝珠よ僕に勇気を、奴を討つ力をくれ!
鼓動の音が聞こえる。僕は奴を指差した。
「僕の気持ちは変わらない。友達を傷つけようとするお前を許さない。おじさんをバラバラにしたお前を許さない。」
ミルベウスは表情を強張らせて言った。
「ならば死ね。お前も左側一世のようにバラバラに砕いてやる。」
僕は構えた。奴は構えもしない。
怒りの中にも余裕を感じさせるその振る舞いは、僕とは圧倒的な力の差がある事を示した。
「やっぱりお前には血が通ってないんだ。お前を倒す!」
そう言って白の宝珠から光の刀を取り出して斬りかかった。自分の力とは思えないような脚力でミルベウスに迫る。
ミルベウスはさっきと同じように片手で刀を止めた。
「ふふふ。非力、貧弱、
僕の右手が凍った。どんどん腕が固まっていく。
「全身を凍らせてやろう。私に返り血がとばないように。」
「へん、心配ないぞ。僕は死なないからね。」そう言って僕は自分の手を燃やした。
「神・剛焼剣!」
腕にこびりついた氷を溶かして距離をとった。刀から出た炎が辺りを照らす。
そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「ロ、ロウソクが怪物達の頭に刺さっている!」
叫ばずにはいられなかった。怪物達の顔のシワに影ができていて、それが余計に恐ろしさを際立たせる。ロウソクの数だけ怪物達の頭部があった。
「お前は仲間になんてことをするんだ!」
「仲間?確かに仲間ではあったがそいつらは役立たずどもだ。裏切り者や私に歯向かってきた者もいた。
だからそいつらは皆血液を凝固させて首をはねた。お前も同じ列に加えてやろう。」「っ……お前なんか地獄行きだ!!
」
ミルベウスはまた笑みを浮かべた。
「地獄?悪人だけが死後に行くという世界のことか。そんなものはない。あるのは万物を受け入れる新たな世界だ。
そもそもこの偉大なる世界は善も悪も皆等しくその生を受け入れている。
ならば死後の世界とは、その者の善悪に限らず受け入れる偉大なる世界である、と考えるのが普通ではないのかね。
『悪は地獄行き』などと言って他の恐怖を煽り、その者の行動を制限するような思想を植え付けることの方がよっぽどの悪だと私は思うがね。」
僕は反論することができなかった。宗教の事なんて何も知らないし、実際には奴の言う通りなのかもしれない。難しい話は嫌いだ。
でも…………………………………
「もしかしたらお前の言う通りなのかもしれない。僕はまだ小学生だから分からないことの方が多いしね。
でもやっぱりお前のような悪を縛り付ける場所が必要なんだ。そこへ僕が送ってやる。」
僕は白の宝珠から光の鎧を出してそれを自分の体に
「あくまで私を倒そうと思っているのか?おもしろい、やってみろ。」
僕と奴の本当の戦いが今、始まる。
……………………と思ったその時、不意に僕の体が上へ引き寄せられた。物凄い勢いでミルベウスの城から離れていく。僕はまた暗闇の中に入った。
気がつくと僕はさっきまでいた公園に帰ってきていた。ベンチから体を起こすと目の前に僕と同じ歳くらいの男の子がいるのが分かった
「初めまして、だな。俺は右側一世だ。」