(二)-20

文字数 228文字

 私は彼の事は割り切っていたので、何も感じなかった。でも経験の少ないみなみには、特別な体験だったのかもしれない。
「付き合っていたの?」
 私は聞いてみた。一回キリではなく、付き合っていたなら精神的なショックは大きいはずだ。
「ううん……」
「一回だけ?」
「ううん……」
 私は彼女を見た。彼女の目からは涙が流れ落ちていた。
 一回だけではなく、何度も会っていた。しかも付き合っていたわけではない。ときどき気が向いたときに会っていたとかそういう程度だったのか。

(続く)
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