埋葬3

文字数 1,335文字

えぇっ!?この人が!?
ですよね?
その通り。
私がツチコさん。
やっぱり、いろいろボロ出しちゃってたかしら?
挙げていったらキリがないほどですね。
恵西町の名前にピンと来てないのもそうですよね。
なにせ吸収合併で名前が変わったの、5年前ですから。
駅裏にクロレラなんてマンションもないですし、草食系男子って言葉も初耳だったんですよね。
オートロックも。
死んでからは新しい情報があまり覚えられないの。
自分のことは覚えられるんだけどね。
噂話とか。
とりあえず、神楽坂くんを離してあげてください。
驚いて忘れてますけど、それ相当苦しそうなので。
…ほ、ほんとだ、忘れてた…。
いいわよ。
はい。
それで、私のペンダントはどこにあるの?
…助かった…。
ペンダントっていうのは、砂場で見つけたあれのことだね?
いろいろ聞きたいんですけど、そこまで向かいながら伺ってもいいでしょうか?
出任せじゃないでしょうね?
じゃなきゃわざわざあんな鎌掛けません。
神楽坂くんの言う通り、公園にあるんです。
あなたが10数年見つめ続けたあの砂場に。
17年よ。
やっぱりあそこに埋まってるのね。
だいぶ深くまで埋まってたけど、どうしてあんな所に?
埋められたの。あの砂場に。
私ごとね。
えっ!じゃあ、遺骨は…。
あら?一緒に埋まってなかったの?
桜田さんが埋められたのは18年前。
翌年に遺体が見つかって、桜田がツチコさんとして現れたのはそれから。
じゃないですかね、想像ですけど。
桜田さんは何か覚えてないですか?
この世に戻ってきた時のことを聞きたいんです。
気がついたのは、どこかの病院だったわ。
霊安室、だったのかしら。
なんだかぼんやりしてて、とにかく、何かが足りない。って意識がずーっとあったの。
その時は、自分が死んだというのは?
もちろん気づいてなかったわ。
ただ、何かを探さなきゃいけないって思いだけで足が動いてたの。
意識がはっきりしたのはいつからですか?
さぁ?
何にも触れないから、砂を掘ることも出来なかったし。
声も出せない。
ただ砂場を眺めているだけ。
ずーっと同じ毎日が繰り返されるだけなんだもの。
いつがどれくらい前なのかわからないわよ。
ここに来たのは?
ほんとについ最近よ。
1週間かそこらじゃないかしら?
気がついたらここにいたの。
1週間っていうと、富士見くんと、誰だっけもう1人。あの2人が砂場でツチコさんにやられた頃だよね。
私じゃないわよ。
わかってます。
推測ですけど、1週間前に、あなたはツチコさんという存在から追放されたんです。
偽物があなたの席を取った。あなたはここへ追いやられた。
幽霊じゃなくなったってこと?
喋れるし、触れるのは、幽霊じゃなくなったから。ってことかしら?
えーっと、当たり前のように話が進んでるんだけど、誰が?何のために?
もう忘れたんですか?
自分で言ってたのに。
いやそんなまさか、ありえないでしよ。
幽霊が目の前に実在してるんだから、もう常識なんざ通用しませんよ。
ねぇ、ここ行き止まりなんだけど、ここからどうやって公園に行くのかしら?
あぁ、着きましたね。
さっき私が取引って話したの覚えてます?
えぇ。
ペンダントの在り処を教えてもらうかわりに、私は何をすればいいのかしら?
ここから出るために力を貸してもらいます。
その土を自在に操る力を。
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登場人物紹介

麻矢由香里

恵西高校の2年3組
超常現象は肯定派。

神楽坂浩二

恵西高校の1年1組。
超常現象は肯定派。

ツチコさん(?)。


公園の砂場に現れる女、という都市伝説。

地下に現れた謎の女性。
桜田と名乗っている。

魚田先生。

FBI部の一応顧問。興味が無いので最低限しか部のために働かない。

木浦
1年1組の図書委員

板垣。

1年1組。FBI部の幽霊部員その1

羽鳥。

1年1組。FBI部の幽霊部員その2

坂井。

1年1組。FBI部の幽霊部員その3

蔦凪百合子さん。

フラワーショップ蔦凪の店長さん。

おばさん。

いろんなおばさん。(使い回し)

モブ学生。

モブの学生

狐山博人。

3年3組。入部希望者、

マスター

喫茶『エル』のマスター。

少年。

とある場所で発見された少年。

少年。

とある場所で発見された少年。

麻矢由香里?

神楽坂浩一。

神楽坂浩二の兄。

恵西高校の三年生。

探偵部の部長…?

西園寺・ドラグノフ・桜子

2年3組の転入生。

モブ女子

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