思いもよらぬ出会い~Ichigoichie~
文字数 2,000文字
俺はとある大国のヒットマン。
いままで請け負った仕事は必ずこなしてきたエリートだ。
今回のターゲットは、某国の総統がお忍びで日本へ来ているらしい。
そんな総統を暗殺するのが俺のミッションだ。
この廃ビルの屋上からターゲットを狙えることは調査済みだ。
絶好のポイントと言えるだろう。
ターゲットが俺の射程に入るまでにはまだ30分ほどある。
俺は仕事にゆとりを持って行動するのをポリシーとしている。
な、なんだコイツは!!
俺の背後に立ちやがって!!
それにしても、まったく気配がしなかったぞ!?
な、なんだ?
コイツも同業っていうのか?
なんだ、その無限の無限みたいな列車は。
まったく聞いたことがない。
……コイツは同業ではないのか?
……どうでもいい。
……邪魔だ。
処理するか?
だが、俺は無駄な殺しはしないのが信条だ。
メンドクサイやつだな……。
ということは、コイツは10分後にはいなくなる。
それなら、俺の仕事には影響がないな。
……そろそろその10分が経とうとしている。
コイツ、俺が列車を待ちきれない男か何かと勘違いしてないか?
たしかにそれはそうだ。
……。
何言ってんだ、コイツ。
先端が尖ったシルバーの車両がかなりの速度で通過していった。
……かなり遠方で。
パンタグラフ?
なんだ、それは。
コイツ、まだ居座る気か!
適当に話を合わせて帰らせねば。
手作りかよ……。
それでいて、妙な絵が描いてあるが、まさか列車の絵じゃないだろうな?
俺も各国の言語は嗜んできたが、ここまで文字も汚いと読めない。
知識がなくても、判るレベルで別物だな。
というか、列車かどうかも判断ができないくらい崩れた何かがそこにはある。
擬音を口に出すやつがあるか!
……し、しらねぇ。
……なんだ、マナって。
ワケが分からない方向に話が進んでいる。
……。
なんで兄弟にされているんだ、俺は。
この変なヤツに絡まれているせいで、ターゲットが目の前を通過しちまった!!