銀河古書堂

エピソード文字数 461文字

銀河古書堂

年季入ってるけど素敵な物語よ。
表紙をはらうとホコリが舞うの。
想い出を買ってください。安値でいいから。

古本の匂いに蘇るわ。日焼けしたページに刻まれてるわ。まだ少女だった私の物語。

銀河古書堂。

棚の片隅にでも、寝床にしたなら眠るがいいさ。永遠に開かれることなどなくてもいい。

幾重に重なり、泡のように湧き出る、星屑になって、銀河を彷徨いなさい。

銀河古書堂。

はじめのページを捲れば、まだ無邪気な若い私が輝くの。

泪の跡はしおりになって、別れの日を呼び醒す。違う未来を夢見てたふたり。

銀河古書堂。

唇溶けてしまうほど、熱いキスを交わした。ロマンスが何章か目に飛び出すわ。

最後のページには、こう書き綴られているわ。さよなら愛しのあなた。愛してたと。

銀河古書堂。

大事そうに抱えた古本。コインと引き換えに譲った。私の手から離れるわ。

ここに置いていくから。もう私の指先で捲られることのないように。二度とは読まない、題名もない名作。

銀河古書堂。

苦しいくらいに、愛してた。
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