詩小説『君にとってただの相談相手の僕が、君に告白して恋人の座を射止める』

エピソード文字数 737文字

君にとってただの相談相手の僕が、君に告白
して恋人の座を射止める

きっと大丈夫、大丈夫だから。
なんて慰めていた。

泣きじゃくる君の横顔に。
別れろ、別れろと唱えた。

本能で優しくする、
煩悩の塊なんです。

見返りを求めて、尽くすのです。
今は息を殺すように、この気持ちひた隠している。

きっと弱った心に攻め入れば、
なびいて来るはずと、手招く幸せ。

なんだかんだで淋しい時、いつも傍に居るのは誰だ?

冷たくされて、傷つけられて、泣かないといけないのは誰のせいだ?

傷ついた心に、バンソウコウを貼るのはいつだって僕だ。

夜が来る度、彼女の身体を抱き、同じベッドですやすやと寝ているのはアイツだ。

もう何度目かの別れ話だね。
そろそろ決着着きましたか?

今度はほんとに終わるかも。
壁にもたれる彼女は言った。
また期待している僕は報われますか?
君が決めたことなら応援するよ。
僕は別れる方へ誘導して、舵を切る。

そして。
「私、別れたんだ」
喪失感漂う君が呟いた。
僕の心は繰り返し万歳三唱をした。
今日はとことん食べよう、歌おう、呑もう、吹っ切れよう。悲しむ君に、喜ぶ僕。

ふたりきりのアパート片隅で、膝を抱える無気力の君。

『いつか来るその時に』が今来た。
今しかない。ここだと、今だと意を決して。

「僕じゃだめかな?」

「えっ?」

「僕だったら、悲しませたりしない。傷つけたりもしない。きっと大事にする。好きだ。僕と付き合って」

「ごめんなさい」

「へっ?」

「タイミング悪すぎ」

「今しかないって思った」

「今ではない。ってか今が一番ない。このタイミングはない」

「そんな食い気味に断られるとは、正直思ってなかった」
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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