前世譚2 ❀ 雨宿り

文字数 885文字

星を見に出かけた、アリエッタとリカルド。


しかし急に天気が崩れ、雨宿りのために空家へと逃げ込んだ。

本当に雨が降り出したわ……

空家の窓から、外をうかがう。

降る前に、雨を予感されるなんて。

やはり、あなたは魔法使いなのね

空のことを少し知っているだけですよ
(彼の予感は度々当たる。私はすごいと思うけれど、彼を怖がる人もいる……)
町の人だけでなく、彼の父や、腹違いの兄弟も厭わしく思っているようだ。

君は、雨が苦手なのですか? 

雨の日はいつも寂しそうな顔をするから

つらいことを思い出してしまうのです。

雨の夜に、あなたがずぶ濡れで、私の家をおとずれたことを……

あの時は、大変な失礼を……

あなたが謝ることはなにもありません。

ただ……

アリエッタは、隣に立つリカルドの肩に、そっと頭をあずけた。

あなたは雨を予感し、雨宿りの場所を見つけてくれました。


優しい魔法使いが、冷たい雨に打たれるのは、もう見たくないです……

あなたにたくさん、心配をかけてしまいましたね。


でも今はこうして、あなたも僕も雨をしのげているではありませんか

リカルドは、アリエッタの手を両手で包みこんだ。


彼女と同じ視線にかがむ。

心からあなたを愛しています、アリエッタ

私も、心から愛しています
二人はおでこを合わせて、微笑む。
このまま、あなたとどこか遠くへ行けたなら……

僕もそう願っています。

もう少しだけ、待って下さい。

ここを出て遠い街で君と。そのために努めています

リカルドは実父の下で勤め、独り立ちする資金を貯めている。

あなたの努力を尊敬し、待ちます

ありがとう、アリエッタ
(神様。どうか私たちを、まことの幸せに導いてください)

雨音はつづいていた。


アリエッタは不安そうに、窓から外をうかがう。

アリエッタは、虹のおまじないを知っていますか?

この前見つけた本に、書いてあったんです。

リカルドは、アリエッタに虹のおまじないを教えた。
雨上がりの空がかかり、私たちの未来明るい兆しが見えたなら、どんなに素晴らしいかしら)

このとき、アリエッタは想像もしていなかった。


心から愛した彼が、目の前からいなくなってしまう未来を……。

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登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

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