第2話 雅人の場合

文字数 784文字

ドン ドン ドン

シャーン

ダカダカだL

テインキュ〜♪


刻むバスドラにリズムに

飛ぶ抜けたハイハットに頷く

山になった洗濯物に目が止まる

「雨か〜
コンランドリーって何処にあるんやろ」

洗濯女… 今頃泣いてるんやろ

ザマアw

卓袱台に放り投げたスピードマスター

二人の時を刻んだ裏蓋が鈍く光る

あれからもう手巻きしていない。

密かに刻んだ時

機械式の腕時計に優しい嘘は通じない

逆回しで正時に合わせ

バックラッシュを詰める

そして巻き上げる。

「メンドくさ

こんな面倒臭いものっ!

窓の外側に放り投げる

***

「おお〜〜 美人やん!」

見合写真

専務一押しの娘

見合いの紹介状に目を通す

「しかも、5歳若い!!」

ブラックとて出世は輝かしい

社内政治にデビューするには
重要なソレ

「せやけどな … 草食系で艶がな…」

「あかん

読み物辛い」

溶接焼けで痛む目の涙を拭う


シャー ฅ(`ꈊ´ฅ)がこちらを睨んでる

泣いてへんで 俺

「分かった分かった

今、焼くから」

コンロにマッチで火を点ける

白物家電の冷蔵庫から

半額のバラ焼肉のfトレイにタレを入れる

「なんや〜この蓋、硬いやんけ」

開け放った窓は

午後 I:32

アッ なん
蝶々や 入って来よる

あっ 空いた …

強く握ったタレのボトルから

タレが宙を舞い

熱したフライパンで霧になる

「アッツ アッツつ !!!」

「ああ サラのシャツが台無しや

あかんっ

洗濯物が増えてもた」




雨上がりの明け放った窓から

その

キアゲハが太陽で背に

飛んで行く



アイツ

骨付きカルビ好きだったよな。

肉食女子

飴色のe風が吹き抜けた



婚活以前に生活だわな

鉄工所@述Bell
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