第131話 王二朗と将哉 5

文字数 2,843文字


 ※


 ナンパーマンと冴子ちゃんが同一人物。

 普通じゃ信じられないのだろうが、王二朗くんは身体を張ってでも、俺に教えてくれた。


 こんな人間が本当にいるのだと。

 そして、あの二人が同一人物だと……

じゃあ萌ちゃん。今度は俺が君に教える番だ。

ちょちょ! ちょと待ってくれ。


あのさ、黒澤くん。

俺が女の時に使う名前って、言ったっけ?

 恐る恐る尋ねる萌ちゃんに盛大に吹いてしまった。

さぁ。どうしようか。

ここじゃ、ちょと怖いし……俺の家に来てよ。

ちょっとストップ。スト~~~ップ!

ま、まずは萌の質問に答えてほしいなぁ。


確か。君には女の名前を言った覚えは無いと思うんだけど~

うん。聞いた事があるよ。


とにかく、家に来てほしい。

じゃないと、ちょっと怖いんだ。

いや、俺は言った覚えないぞ。ないって絶対。


だよね……だと思うんだが。

あれ? 自信が無くなってきた。


そんな風に決め付けられると、強く拒否できない萌であった。

 

 今着てるこのシャツじゃ、楓蓮になった時に大破してしまう。

 ここは大人しく、家で見せた方が良さそうだ。


 そして玄関の前に立つと、小声で話しかけてくる。

え? こんなゴリラ招き入れてもいいの?

あ、モノを破壊しないように気をつけます!

 いつもの王二朗くんのように振舞う萌ちゃん。



 そっか。君も……俺と同じ入れ替わり体質だったのか。 

それはそうと……君のいう事が本当なら。

竜王さんはとんでもなくヤバい奴じゃないか。


一人二役。

一人は俺達と敵対しておきながら、女になってこちらの味方に付くとか……ありえねーぜ。

 あの時。王二朗くんが見境無く竜王さんに突っ込んだ理由が分かったよ。


 俺だって、君の立場になったら、ああなってたに違いない。


 ※



 スマホを見れば3時になろうとしていた。

 

 こんな時間なのだから、こそっと玄関を開けて中を確認。

 親父や華凛が寝てるのを見てから、ももまろを華凛の部屋に誘導して閉める。


 わんちゃん達が大人しくなった後、萌ちゃんを部屋に入れた。

でも……勝手に来ちゃって良かったのかい?

ってか女の身なのに、男の部屋にホイホイ付いてきちまったぜ。

ふははっ!

どーでもいいけど、本当に今は女なんだよ?

顔だけはあんまり変わってないけど、男の子のパーツはマジで付いてないから。

 そうそう。君はいつも俺を笑わせようと畳み掛けてくるんだ。

 

 その間に俺はシャツを脱ぐと、一旦部屋を出た。

 楓蓮になって大丈夫な服装に着替えて、部屋に戻ってくる。

ん? なに? そのラフな格好。


もしかして、この萌ゴリにきゅ、求愛活動でも?

ああっ。どうしよう。

こんな俺でも貰ってくれるんすか?

まさか。そんな事しないですよ。


だけど。今から起こることにビックリした声を出さないで下さいね。

王二朗くん。ありがとう。

きっと……俺に全てを話すのは怖かったでしょ?


大丈夫。それは今から証明して見せるから。


 俺は目を閉じる。

 そして……萌ちゃんの前で楓蓮へと入れ替わった。

え? ええっ! う、うぉお! もごぉ!

 入れ替わっている間のニュートラル状態。

 何も出来ないこの時間は本当に怖い。


 必死に声を抑えてるのが容易に想像できる。




 

 大丈夫。萌ちゃんは分かってくれる。

 だって君も、俺と同じ入れ替わり体質なのだから。

こんばんは。萌ちゃん。
は?

 気の抜けたような返事に噴き出しそうになる。

 

 やっぱりタネ明かしした時の顔ってさ、みんなそうなんだけど……

 すっげー驚愕してる顔になるんだよな。


 まぁそれは、蓮と楓蓮が同一人物だって思われてなかったってことで、しょうがないんだけど。


 

ビックリした? ふふっ。


ん? あれ? も、萌ちゃん?

なにこれ。何が起こった……え? え?

 ちょんちょんっと肩に触れると……


 萌ちゃんは白目のままで、フラフラと床に倒れてしまった。

ちょっと萌ちゃん! 大丈夫?

 身体を揺らしても動かない。しかもグッタリした様子で微動だにしないのだ。

 あまりにもショックだったのか、考えていると……


 よ~く耳を澄ませば、何だか寝息が聞こえるんだが。

 

え? 寝ちまってる?

 あんな瞬間に寝れるものなのか。

 などと疑問に思ってると、俺の口からも自然とあくびが出やがった。


 そう言えばこんな時間なんだ。眠たくなって当たり前か。


 まあいっか。このまま寝させたほ方が良さそうだな。

 明日。起きてから説明すればいいし。


 ただ。明日は学校を休まなければならない。

 サイクルが真逆になっちまってるからな。


 このまま寝ずに4時間経過で蓮に戻ればいけるけど、眠たくて授業にならん。

 無理せず休むしかないだろう。

 萌ちゃんもそのままでいいだろう。


 さっき。俺より少し前に入れ替わったのなら、サイクルは俺と同じパターンになってるはずなので、学校を休むしかないからな。

ごめんね。毛布しかないけど……

 明日聞けばいい。今はゆっくり休もう。

 

 あ~~~今日は一日長かったぜ。


 親父が帰ってきて、坂田さんにカミングアウトしたかと思えば……

 まさかの王二朗くんまで俺達と一緒の入れ替わり体質なんて。


 

 

竜王さんは同一人物。か……

 だけど俺は思うんだ。


 王二朗くんも竜王さんも、お互いの正体を知ってるのなら、きっと凄く仲が良かったんだと思う。

 何がどうなって、こんな状況になったのか、分からないけど……


きっと仲直りできる。分かり合える。

そう信じたい……

じゃあおやすみ。王二朗くん。
おやすみ。楓蓮さん。
え? 起きた?

あれ? 俺は確か……トラックに轢かれて、それから……

とんでもない美少女に転生しちまったハズ。


そそ、楓蓮さんみたいな超絶美人に……

って。うぉおおお!

か、楓蓮さん? ま、マジ降臨?

あれ? えっと……どうなってんだ?

ちょと。落ち着いて。萌ちゃん。

な、なんだこの部屋は……

確か俺は、蓮くんに連れられて、それから……


そそそ。蓮と。楓蓮は同一人物って話ですよ。

王二朗くん。


 また固まっちまった。萌ちゃんが劇画風な顔になるとくっそ怖いんだけど。

 その瞳が……瞳孔が開ききってるぜ。

あれ? 今は萌ピーなのに、何で王二朗くん?


……ちょっとタイム!

待って。待ってください楓蓮姫。



な、なにこれ。なんかのドッキリか?

いやいやいや。おかしいおかしい。何か変だって!

 王二朗くん。君まで……俺のことを姫って呼ばないで欲しい。

 後でちゃんと説明しないと。

うんうん。構わないよ。

じゃあちょっと、わんちゃん連れてくるね。

さっきからスースー聞こえてくるから。

 リビングに入ると、暗闇の中でうごめく影が二つ。

 すぐに俺の足元に群がってくると、ももまろを抱えて部屋に戻る。

ウゥ~~~!

もも。まろ。大丈夫。この人も怖くない人だよ。

俺達と同じ家族。とっても優しい人だから。


吠えないで。唸らないで。仲良くしようわんっ。

楓蓮姫……

どう? 落ち着いた?

落ち着いたら、ちゃんとお話しよう。王二朗くん。

落ち着いたらって。落ち着けねぇ。

確か俺は、蓮くんに入れ替わり体質を見せたはずが、



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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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