第9話 アキの風邪騒動2
文字数 971文字
さて、薬を飲みたくないがために、見事に寝室を抜け出したアキは、足元をもたつかせながら廊下を歩きました。
着いた先は、押入れの裏にある『秘密の階段』です。この先は真っ暗で、階段も急勾配です。アキはその階段をゆっくりと登って行きました。
階段を登り切ると、暗い屋根裏部屋にたどり着きました。その部屋の奥に、小さな小さな温かみのある光が一つあります。
アキは、それに向かってフラフラと歩きました。
すると、どこからともなく、ギシギシと歯ぎしりのような音と共に、声が聞こえてきました。
「ご主人、どうしたんだい?顔色が良くないねぇ」
「家鳴 りの『ヤナコ』かい?ちょっと、ゴホ、風邪をひいちゃって」
「風邪かいな、キツイなぁ」
「おやぁ?家鳴りの『イエナリ』も、ゴホゴホ、一緒かい?仲良しだねぇっ、ゴホゴホゴホ……」
「ご主人、あんたそんな体でここへ来て、何しに来たんだい?」
「じ、実は、ハルの作る、く、ゴホゴホ、薬を飲みたくないんだよぉ。ここにしばらく置かせ……ゴホゴホゴホゴホ、置かせておくれぇ」
ともし火の前に立っていたヤナコとイエナリは、小さな体をトコトコと動かし、アキのおでこに小さな小さな手を当てました。
「熱い!」
「なんじゃこの熱さは!」
「アンタ!急いで冷たい水を準備しておくれ!」
「あいさ!」
イエナリは、屋根裏部屋の隅に置いてある手桶を持ち上げ、部屋の隙間から屋根の上へ走って雨水を貯め始め、ヤナコは、アキが登ってきた階段を下りて、洗面所から綺麗な手ぬぐいを持ってきました。
アキはイエナリとヤナコに促され、埃まみれの屋根裏に横になりました。埃を吸ったアキは、咳が止まりません。
「ゴホゴホゴホゴホ……ゴホゴホ、ゲヒ、ゲヒ……」
「あんた大丈夫かい?変な咳が出てるよ」
「ご主人、死ぬんじゃねぇぞ!」
「う、うん、ゴホゴホ……、今度、ここを掃除、ゲヒ、するね……」
イエナリとヤナコは、アキのおでこに雨水で濡らした手ぬぐいを乗せ、アキを懸命に看病しました。
「あ、ありがとぉ。ゲヒ……、私、幸せぇ」
その時ーー。
「ぉおむぁぃえたぁちぃぃぃーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
家の中に、雷が落ちました。
「なんじゃ?」
「ずいぶんとハルはおかんむりのようだねぇ。あの子たち、次は何をやらかしたんだい?」
「おやぁ、ゴホ、ばれちゃったねぇ……ゴホ」
着いた先は、押入れの裏にある『秘密の階段』です。この先は真っ暗で、階段も急勾配です。アキはその階段をゆっくりと登って行きました。
階段を登り切ると、暗い屋根裏部屋にたどり着きました。その部屋の奥に、小さな小さな温かみのある光が一つあります。
アキは、それに向かってフラフラと歩きました。
すると、どこからともなく、ギシギシと歯ぎしりのような音と共に、声が聞こえてきました。
「ご主人、どうしたんだい?顔色が良くないねぇ」
「
「風邪かいな、キツイなぁ」
「おやぁ?家鳴りの『イエナリ』も、ゴホゴホ、一緒かい?仲良しだねぇっ、ゴホゴホゴホ……」
「ご主人、あんたそんな体でここへ来て、何しに来たんだい?」
「じ、実は、ハルの作る、く、ゴホゴホ、薬を飲みたくないんだよぉ。ここにしばらく置かせ……ゴホゴホゴホゴホ、置かせておくれぇ」
ともし火の前に立っていたヤナコとイエナリは、小さな体をトコトコと動かし、アキのおでこに小さな小さな手を当てました。
「熱い!」
「なんじゃこの熱さは!」
「アンタ!急いで冷たい水を準備しておくれ!」
「あいさ!」
イエナリは、屋根裏部屋の隅に置いてある手桶を持ち上げ、部屋の隙間から屋根の上へ走って雨水を貯め始め、ヤナコは、アキが登ってきた階段を下りて、洗面所から綺麗な手ぬぐいを持ってきました。
アキはイエナリとヤナコに促され、埃まみれの屋根裏に横になりました。埃を吸ったアキは、咳が止まりません。
「ゴホゴホゴホゴホ……ゴホゴホ、ゲヒ、ゲヒ……」
「あんた大丈夫かい?変な咳が出てるよ」
「ご主人、死ぬんじゃねぇぞ!」
「う、うん、ゴホゴホ……、今度、ここを掃除、ゲヒ、するね……」
イエナリとヤナコは、アキのおでこに雨水で濡らした手ぬぐいを乗せ、アキを懸命に看病しました。
「あ、ありがとぉ。ゲヒ……、私、幸せぇ」
その時ーー。
「ぉおむぁぃえたぁちぃぃぃーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
家の中に、雷が落ちました。
「なんじゃ?」
「ずいぶんとハルはおかんむりのようだねぇ。あの子たち、次は何をやらかしたんだい?」
「おやぁ、ゴホ、ばれちゃったねぇ……ゴホ」