独占インタビュー・私は地獄の(つづき) ※タイトルと内容は異なる場合があります
文字数 1,792文字
思い出せないわ。
——(汗)
メグ:ああ、そうね、いちばん地獄に近かったのは、やっぱり赤ちゃんを生んだときね!
——そっちですか?!
メグ:ええ。もうーあの! あー思い出したくもない! すごい難産で、これは生き霊の祟りかとまで言われて、ダディがパニクってそれまで島流しした人たちに恩赦がんがん出したりしたけど、そんなことより帝王切開してくれたらよかったのに。無痛分娩とか。
——(汗)
メグ:あのお産の苦しみにくらべたら、合戦とかわりと何でもなかったかもなーって思うの。
——は??
メグ:あーでも、やっぱり壇ノ浦は大変だったかなー。僅差で。
——僅差ですか!!
メグ:一ノ谷も大変だったなー。いきなり後ろの崖から義経くん降りてきて「ばあ!」って、すっごく驚いた。
——(汗)
メグ:屋島も大変だったなー。いきなり義経くん嵐の海渡って来て「ばあ!」って、すっごく驚いた。
——そのパターン多いですね。
メグ:お兄さまたちもみんな、絹の服を脱いで甲冑にお着替えして、あれが「修羅道」だったわね。(しみじみ)
——(いっしょにしみじみ)
メグ:皆さん凛々しくて、素敵だった。(ため息)
——そっちですか!!
メグ:そうそう。
都落ちしてから、お船の上の生活が多くて……
お水が飲めなくて、つらかったわ。(しみじみ)
——ああ……。そうですよね。(しみじみ)
メグ:ねえ、想像していただける? まわりみんなお水なのに、飲めないのよ。海水だから。
あれはまさに「餓鬼道」だったわね。(涙ぐむ)
——(もらい泣き)
メグ:船酔いもつらかった。
——あ、ですよね! それ、『平家物語』には書かれてませんね。
メグ:そうなの。だって、わたしたち女の人が「うう気もちわるい」ってなってるのはまだしも、知盛お兄さまや教経くんが青い顔して倒れてる姿なんて、ファンの皆さまには死んでも見せられないでしょ?
——ああ……なるほど……。
メグ:壇ノ浦でみんな
——いやそこはどうなんでしょう?!
メグ:これで六道ぜんぶになった?
——ちょっと待ってください。いま数えます。えーと、1、2、3、4、5、……
メグ:なんだか1つ足りないみたいね。
——ですね。
メグ:何かしら?
——もう一度数えてみます……
メグ:あーわかった! 「畜生道」じゃなくって?
——それです。
メグ:いやだわ、いっつもここで引っかかるのよね。(笑)
「畜生道」は、ないわ。
——え?
メグ:五つで終わり。お疲れさまでした。
——え。
——え、ちょっと、ちょっと待ってください。
メグ:わたしも何度も考えてみたんだけど、「畜生道」だけはどうしても当てはまるものがないの。
ないものはないのよー。ごめんなさいね。
——そんな。(半泣き)編集長に言われてきたんですよ、「六道」でインタビュー取って来いって。あと1つでコンプリートじゃないですか。
メグ:コンプリートしなきゃだめ?
——そ、それは……
メグ:毎回ね、ここでもめるの。わたしが「ない」って言ってるのに。
——このままじゃ社に帰れませんから……(半泣き)
メグ:しょうがないわね。(ため息)じゃ、こういうのはどう?
ほら、わたしの家族、みんな龍宮城にいるでしょ。
——シークレットガーデンパレス祖谷のことですか。
メグ:いまのところエントランスホールしか映ってないけど。
——でしたね!
メグ:「龍」だからアニマルつながりで、あれが「畜生道」ってことで。ね。
——む、無理がありませんか。
メグ:そこを何とか。(手を合わせる)ね。
——えーでも、「畜生道」なんていうには、皆さん和気あいあい、お幸せそうですよね?
メグ:そうなのよ。
(しばしの沈黙)
——えーと、まあ、じゃ、その線で。
メグ:ごめんなさいね、わたしもこれ以上思いつかない。
——いえいえ! 長時間、本当にありがとうございました。
メグ:(ほっとため息)ご苦労さまでした。記事、たくさんの人が読んでくださるといいわね。
——はい。
メグ:(呼ぶ)お客さまお帰りよ! 誰か、さっきのお漬物の残り、タッパーに入れてあげて……
——(五体投地)どうかおかまいなくーー!!(泣)
~インタビュー「皇太后に訊く」了~ ※いつのまにそんなタイトルになったんだ?
(おはなしはまだまだ続きます。)