第1話
文字数 4,627文字
・1P
ひと気のない地下鉄のホーム。男が一人立っている
男の名:赤井優火
モノローグ:2012年5月14日。天候:晴れ
電車が猛スピードでホームに向かってくる
モノローグ:今日は少し、遠出してみた
赤井が線路に向けて足を踏み出す
・2P,3P
笑顔で線路に飛び込もうとする赤井。その後方から制服姿の女が手を伸ばしている
タイトル「無限」
・4P
電車が猛スピードでホームを通過する
血の気の引いた表情
女の名:春日部今日子
赤井、呆けた表情
・5P,6P
・7P,8P
春日部、ふと気づいたようにあたりを見渡す
不気味なほど静まり返った駅構内
・9P,10P
「そりゃそうだろ? え、どういう意味??……あ! そもそもだよそもそも! そもそも今日は朝からなんか変だった! よく考えたらここに来るまでにも人、全然歩いてなかったし! それにそれに、町の雰囲気が、なんてゆーか……」
春日部、不安げな表情
赤井、春日部の頭に手をポンと置く
・11P,12P
赤井、片手をあげ、立ち去ろうとする
・13P,14P
赤井、キョトンとした表情
春日部、真剣な表情
地上までの階段を上る二人
あたりを見渡す春日部
突如、雄叫びのような声が聞こえてくる
・P15,P16
階段前方。地上出入口に全裸の男が立っている
全裸の男「あああああっ!!」
全裸の男、全速力で階段を駆け下りてくる
反応が遅れた春日部、全裸の男に体当たりされる
・P17,P18
そのまま階段を転がり落ちる春日部と全裸の男
一人難を逃れた赤井、ゆっくりと階段を下りる
倒れたまま動かない二人
床面は血の池
そう呟きつつも、春日部の困惑した表情のまま固まっている死に顔に目をやる
ほんのわずかだけ、悲しそうな表情を浮かべる
・P19,P20
住宅街の一角。平凡な一軒家の前
玄関をくぐり抜け、リビングの戸を開くと、窓際に首を吊った中年男性がぶら下がっている
・P21,P22
どかりとソファに座り込む赤井
テーブルに置いてある煙草を手にし、ライターで火を点ける。
ソファに背を深く沈める
窓際を睨みつける赤井
・P23,P24
早朝
部屋のベッドで目を覚ます赤井
ダルそうにカーテンを開く
ベッド横にある机の上には、原稿のようなものが散らばっている
赤井、一瞥するも興味無さげに欠伸をする
階段を下り、リビングの戸を開く
首を吊っていたはずの父親が笑顔で話しかけてくる
・P25,P26
洗面所。鏡の前で髪型を整える赤井
・P27,P28
玄関に向かう赤井
後ろからついてくる父親
いささか興奮した面持ちな父親
腰を下ろし、靴ひもを結び始める赤井
靴ひもを結び終え、立ち上がる赤井。靴箱の上にある1枚の写真盾に目をやる
赤井の母親を含めた家族三人が笑顔で収まっている
・P29,P30
ひと気のない、地下鉄のホーム。赤井が一人立っている
電車が猛スピードでホームに向かってくる
赤井、線路側に足を踏み出そうとする。
猛スピードでホームを通り過ぎる電車
呆然と立ちつくす赤井
踏み出せなかったことが腑に落ちない様子の赤井
突然、ぐいと腕を引っ張られる
・P31,P32
振り向くと、息を切らした春日部が赤井の袖を掴んでいる
「だってさ、通勤時間なのに、人全然いなくない? あ! てゆーか、そもそもだよそもそも! そもそも今日は朝からなんか変だった! よく考えたらここに来るまでにも人、全然歩いてなかったし! それにそれに、町の雰囲気が、なんてゆーか……」
・P33,P34
駅前のカフェ
厨房でコーヒーを注ぐ赤井
片手で春日部の頭を鷲掴む赤井
・P35,P36
店内には二人のほかは誰もいない
コーヒーに口をつける赤井
・P37,P38
・P39,P40
・P41,P42
春日部、ケータイを取り出し、ワンセグを立ち上げる
!?
ケータイの画面に喘ぎながら腰を振る女の映像が表示される
・P43,P44
俯く春日部
身体が小刻みに震えている
赤井、渋い表情
・P45,P46
春日部、満面の笑み
2話につづく