二章 2

文字数 458文字

「奈々元気ないね」
「え?そう。そんなことないよ」
 どこかよそよそしい。明はそう感じた。奈々は明の目を見ようとしない。
「ねえ、機嫌直してよ」
「別に怒ってないし……」
 奈々は低いトーンで言った。
 元気がないのか、怒っているのが判断しにくい。奈々はふいに自分の右腕を触った。恐らく無意識だったのだろう。見ると半袖の裾からわずかに包帯が見えた。
「奈々それどうしたのさ!」
「え……」
 奈々はそれを隠すように袖を引っ張ると、黙ってしまった。
 明が問いつめようと口を開きかけた瞬間、奈々は振り向いて笑った。
「それが転んじゃってさ。あたし馬鹿だよね」
 それからはいきなりテンションが上がり、聞いてもいないことまで話し始めた。
 明は困惑したが、奈々が元気になった様なのでほっとした。
 今度蚊帳の外にすると本気で怒りそうだったので、徳田の死について説明した。すでに噂が広がっているからだろう。奈々は特に驚かなかった。
 その後、二人は再び『野草サークル』部室に行くことになった。
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