エピソード文字数 641文字

 織田信長……。

 この本、織田信長の本なんだ。

 日本の歴史に興味なんてない。
 織田信長の名前は知っているが、戦国武将の1人に過ぎない。

「俺、織田信長のこと調べてるんだ」

「名前そういえば似てるね。調べるためにこれだけの本を集めたの?」

「そうだよ。織田信長は尾張のうつけと呼ばれていたが、天下人になった。どうして本能寺で自害しなければいけなかったのか、どうして直臣が謀反を起こしたのか知りたくて」

「ふーん」

 ていうか、歴史に興味ないし。
うつけって何?漬け物かよ。それって美味しいの?

意味わかんない。

「その本、読みたければ貸してやるよ」

 歴史の本なんて、すでに拒絶反応……。
 難しい漢字が沢山並んでいて、そもそも漢字読めないし、頭が痛くなるだけだ。

 でも、この本を借りたらまたここに来れる。

「じゃあ、借りようかな」

 読む気もないくせに、信也に逢うための口実が欲しくて、興味のある振りをする。

「貸してやるよ。好きな本持って帰れ」

 今のあたしに帰る場所なんてない。いまさら、あの家には帰れないし、母や姉に頭を下げてまで帰りたくもない。

「あたし……帰るとこない」

「紗紅、俺の肉親はもういない。暴走族に入り暴れたこともあるけど、バイクをぶっ飛ばしても、空っぽの心は何も満たされない。命はひとつしかねぇんだ。紗紅もレディースなんかやめちまえ」

「あたしは……今さら抜けれねぇよ」

「俺が抜けろと言っても、出来ねぇのか」
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登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

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