ソマの左手⑧

文字数 551文字

 「ファイアーフライ2、これより帰投する!」
戦闘機F-25ボガートを操縦しながら、搭乗員が指揮所と交信を行う。

「ファイアーフライ、用心しろよ。近隣でセイレーンが3機落されている。しかも光学照準の対空砲で・・・だ」
「えぇ!そんな馬鹿なッ・・・・F-31は本邦最新鋭の機体ですよ!それが・・・たかが機関砲(トランペット)ごときに・・・」

彼が驚愕するのも無理はない。
F-31セイレーンの機動性は従来機のソレとは一線を画す。
現在ヴェスプティアの主力戦闘機はF-25であるが、航続力や兵装の搭載量などはF-31には遠く及ばない。(高高度域での機動性、直線での加速性能など一部の性能はF-31を超えているものの)

「だが事実だ・・・戦線指揮官のガン・ヒューリック少将はすぐさま更迭された。どうやら敵方にバケモノがいるらしい・・・」
「そんな奴がエーステライヒに・・・」

F-25は増槽(ドロップタンク)を投下し近場の航空基地に向かい直進していく。


◆――――――――――――――――◇―――――――――――――――――◆
”蛇”足チェックポイント!:フェニキア氏族の蛇は投石を多用する。
現代では鉛や青銅製の弾丸に代わり、高性能爆薬を充填したA12爆雷(対潜艦に搭載していたものを改造したもの)を河虎の皮を撚って作った投石紐(スリング)を用いて投射する。(時限信管を採用)



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

松野隆男《まつのたかお》:本作の主人公。普段は一般的な会社員。この世界では一般的な身体改良は受けておらず、野菜のみならず朒も食べる。勤務態度は良好で真面目な仕事人といった印象があるものの、料理を作ることが趣味など家庭的な一面も。

路地裏で見ず知らずの男を殺害してしまったことからこの物語が始まる。

足利(あしかが):松野が殺害した男が所属する、宗教団体Sの聖師のひとり。

教団の武装トロール船(密輸船)「9アース」の管理を任せられている。

基本的に臆病・自己保身に走る傾向にあるが、信徒の前では教団の役割(ロール)を果たすため、勇猛果敢に振る舞う。

実は元軍人であり、小規模な戦闘であれば参加することもある。

櫻田兵(さくらだひょう):國家治安部隊「慈安部隊」に所属する隊員。

捜査機関と連携しながら松野を追う。

ソマ・リュオン:アルビオ連邦出身。

國に裏切られた男。戦時中、連合軍中枢にいた人間を次々と暗殺する復讐鬼と化している。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み