客観猫写

文字数 390文字

吾輩は猫である。
名は「タマ」と申す。

ちょうどいま気持ち悪い笑顔をして、馴れ馴れしく背中を触っている人間がいるだろう?
やつを含めた周りの人間が、みな口を揃えて吾輩の方を見てそう呼ぶのだ。
従って、吾輩の名は概ね「タマ」であるとの考察に至った。

家主の名?
あぁ、この家で一番図体がでかくて、日中はどこかへでかけ、
夜になると魚や肉、時々猫目にくるような匂いを漂わせている人間だな。
名は知らん。こっちが聞きたいくらいだ。
小さい人間には「パパ」あるいは「トウサン」と呼ばれ、
前掛けをしてバタバタと歩く女の人間には「ドイテ」とか「ジャマ」とか呼ばれているのだ。
では家主は己のことを何と呼ぶかと見張っていたらだ。
ペコペコしているときは「ワタクシ」、ふんぞり返っているときは「オレ」と言っていやがる。

つまりきっとこういうことだ。
家主は人間である。
名はまだないみたいだから、誰かつけてやってくれないか?
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