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文字数 278文字



今宵の月は甘く悲しい
一雫の涙は頬をつたい
枯れかけた薔薇に命を宿して
愛の歌を歌うその声は
ただただ心を震わす
波に逆らうように
かけた言葉を
どこかに無くして
旅立つ船を見送るのは
あなたの事を忘れられないから
うちに秘めたその焔が
消えないうちに帰ろう
温もりがまだ残る
ベッドの片隅に
あなたが捨てた香りを纏い
忘れられない
肌の感触を
唇から言の葉紡ぎ
飛び去るあの鳥に託そう
また会いたいとは
言わずに待ち続ける事だけは
あなたも僕も望んだ事だから
この指輪は深い所で
飲み込んでしまおう
切なさが消えるまで
想いの灯が消えるまで
静かに波に漂いながら
月の光に照らされて
永遠の口づけを今宵交わそう
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