第6話(4)

エピソード文字数 1,125文字

「にゅむ……。あの人が元凶(げんきょー)さんだったんだー……」

 事実を知ったレミアが、大量の困惑を含んで呟く。
 さっきまで話していた者が。害を受けた側だと思っていた者が、全てのもとだったんだ。俺も――皆も、同じ気分だよ。

「かわいそーだと思ってたけど……。違ってたんだね……」
「脅されている者は、真っ先に容疑者から外される。私達は、まんまと罠に嵌っていたのよ」

 アイツは誰が失敗した時は、最終的に京栄に擦り付けられるようにしていたんだ。シズナがいなかったら、気付かなかったぜ……!

「ワシらぁも野緑先生らぁも、騙されちょったがやね。狡猾な輩ぜよ」
「けれど、こうして特定できたわ。……従兄くん」

 シズナは魔法を解き、怒りを孕んだ顔を俺に向ける。

「ご覧の通り、彼が諸悪の根源よ。大事な人を傷付けようとした男を、倒しに行きましょう」
「ああ、そうだね。たっぷりお仕置きしてやるよ」

 京栄が詳細を知りたそうにしているが、それは後回し。俺達は頷き合って再び、休日を邪魔してくれたクソ野郎、のもとに向かった。

                  ◇※◇

「おや、またキミ達かい。犯人逮捕の報告をしに来てくれたのかな?」

 畑仕事をしていたピマ山ピマ彦は、大きなピーマン畑の中心で爽やかに微笑んだ。ネタが上がっているとも知らずに。

「……ピマ彦、もう芝居はやめろ。お前が犯人だってわかってんだよ」
「僕が、犯人? 被害者の僕がかい?」
「貴方は被害者のフリをして、捕まらないようにしていたのよ。この葉っぱが何もかも教えてくれたわ」

 シズナはヤツに、証拠品を突き付ける。

「ピマ山先生。シズナ先生は植物の記憶を読み取れる魔法を持っちょって、その能力は国が認めちゅうがよ」
「これは、立派な証拠(しょーこ)になりますーっ。言(い)ー逃(のが)れはできないよっ!」

 あの力は『見ている光景』を共有できるため、お墨付きを貰っているらしい。よってどんなに優秀な弁護士を雇っても、勝てはしないのだ。

「ピマ彦、無駄な抵抗はよせ。お前はとっくに詰んでるんだよ」
「………………やられた。その魔法は知らなかったよ」

 こちらには、絶対的な証拠があるからな。ピマ山ピマ彦はついに犯行を認め、額に手を当てた。

「ピーマンを安く売り寄付をするお前が、ワルだとは思わなかったぜ。どうしてあんなマネをしたんだ」

 これは、理解できない。THE善人のような男がなぜ、悪行に走ったんだ?

「…………それは、ね……。僕は、ネットで……」
「ネットで? なんだ?」
「…………………………僕は、ネットで……。皆に、褒められたかったからだよ」
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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