スプラッターロマンホラー サメクマ

ゾンビ ~大気に漂いて死にながらに生きる者~

エピソードの総文字数=14,609文字

話者

シマクマ

種族:クマ(不明種、ゾンビ) 性別:雄 所属:関東中部ドグマ防衛組合(理事、衛生部部長)
体長:240cm→160cm 体重:成体ヒグマの平均体重よりはやや軽い→本来の姜と同じくらい
特記能力:知性の保持、俊敏性の保持、ヒト擬態、擬態時筋力維持、クマ幻覚剤分泌、クマ迷彩色、標準より高いクマ脊力、クマ脚力、クマ反射神経、クマ動体視力

ドグマ防衛組合創設者の一匹。
出自不明、神出鬼没の人間シンパ(イタリア出身ではという推測はある)。人間の戸籍をちゃんと持っているかどうかも定かではない。石カブトを擁立し、裏社会に暗躍する。
彼の得意技はクマ説得力。自身の模様と幻覚剤の組み合わせによって、広範囲にわたって偽りの記憶・認識を植え付けるのだ。そのため、彼は優秀な記憶処理の達人、あるいは交渉人としてクマ抗争現場に駆り出されることがたまにある。クマ腕力とクマ反射神経も驚異的で、彼はクマ説得力による攪乱を織り交ぜた戦法を得意とする。
鼓莉帆
種族:人間(ゾンビ) 性別:女 所属:
関東中部ドグマ防衛組合(一般職員)
身長:
164cm 体重:鶴亀よりわずかに軽い
特記能力:
知性の保持、俊敏性の保持、脈拍任意操作、高速再生(生肉摂取による)、触覚鋭敏、痛覚過敏、痛覚エネルギー転換、柔軟な関節、完全平衡感覚、三次元方向感覚、ネクロトキシン分泌腺(爪根、歯茎)、暗視、鋭い爪

H町ゾンビ汚染事件においてゾンビに肝臓を貫かれ死亡、ゾンビとして蘇生。享年17歳。田沼・鶴亀らと協力し同事件を解決後、BTS-01に見いだされ、公的に死亡扱いとなった後衛生部職員となる。
両親は幼いころ他界しており、引き取られた先では折り合いが悪かったため、他人から友情や愛情、感謝を向けられることに執着しており、また精神的に幼い部分がある。
生前の肉体にまだ未練があり、人間の心を失わないよう生前と同じような食事や睡眠を心掛けている。
生ける屍
BGM:音楽の卵『暴動』
http://ontama-m.com/ongaku_rpg_battle.html
出テコイオラー!!
死ネ!!ドグマノ戦士ハ死ネ!!
ゴボッ、ゴボボボボーッ!!
夕方。横浜市某所、とあるマンションの3階。腐臭を放った不良学生の集団がある部屋の前をうろつき、裏からはヤクザ風の服装の集団が壁をよじ登り、その部屋のベランダに入ってこようとしている。
待って!ねえ待って!このエピソードはゾンビに関する解説じゃなかったの!?何で、今あたしこんなゾンビの集団に襲われてるの!?
パンサラッサ図書館の鶴見区セル残党が、俺達を除こうと刺客を送り出したんだろう。馬鹿な連中だ、こんなほんのちょっとしか知性がないゾンビに俺やお前が再殺できるわけないのだがな。
ていうか割れてるじゃんあたしの家!?あんたがここに住めって言ったから住んで、それで……なんで敵にバレんの!?バレとるがな!!馬鹿野郎!!シマクマの馬鹿野郎!!
すまんとは思うが俺だって個人情報が漏れないよう最大の努力はしたんだ。
それに発見次第攻めに行く俺達と違って、奴さんの方は俺たちの居所が割れたからっておいそれと手を出すことはできない。俺たちの戦力は折り紙つきだし、官憲だって味方にしてる。迂闊に手を出したあいつらが間抜けなのさ。
まあこんなこと言っちゃなんだが、ちょうどいいじゃねえか。閲覧者の皆様に「ゾンビとはこういうもんだ」と実例を示すいい機会だ。ちょっと戦って見せろ。
人の家だからって好きなこと言いやがる。どっちにしろ戦うしかないけどね。
アアー……
殺……ブクブクブク………
さて、この世界におけるゾンビとは、すなわちゾンビプリオンという特殊なタンパク質に感染して肉体が変異した動物の総称だ。ゾンビプリオン自体は昔からある。スラブのストリゴイ、中国のキョンシー。これみんなゾンビプリオン感染者だ。
感染したらどうなる?
鼓のチョップをマトモに喰らい、ゾンビの頭がかち割られる。
動くんですけど!?脳幹潰してもまだこいつら動くんですけど!?
とまあ、医学的にほぼ死んでるにもかかわらずこういう風に動くわけだな。
りほっぺ、腱だ!胴体近くの腱を切断しろ!脳を潰しても動くならそうするしかない。いずれにせよ、こいつらは焼却が確定している。
ゾンビプリオンの感染経路、種類
ゾンビプリオンの感染経路は、変種を除けばほぼ同じだ。血液・唾液・精液・膣分泌液・母乳。これらが他者の粘膜や傷に接触することで感染する。
プリオンは空気中や水中では容易に分解し、普通に暮らす分には感染者と暮らしたとしても感染することはない!HIVウィルスと似たようなもんだ。もっとも、ゾンビプリオンに感染する状況ってのは、だいたいが普通じゃない暴力的接触なんだがな。
そして、プリオンの種類によって発病しやすさがだいぶ異なる。いいか、ほとんどのゾンビは噛まれただけではゾンビにならないんだ。
・αゾンビプリオン
ゾンビの細胞に含まれるプリオンのうち、もっとも一般的なものだ。後述する典型的ゾンビ化の症候を示す。
このプリオンも確かに感染力はある、感染力はあるのだが……感染者の代謝が著しく落ちていないとゾンビ化しない。つまり、こういうこと。
× 噛まれる→噛まれたので確実に死ぬ→確実にゾンビ化
○ 噛まれる→噛み傷や別の要因で瀕死になるほど弱る→プリオン活性化→ゾンビ化
「殺されるまではゾンビ化しない」んだ。手当てさえすれば、ゾンビからの負傷は本当にただの不潔な傷でしかない。長期潜伏とかもしない。
シマクマは玄関のドアを開ける。ゾンビがなだれ込む!
シマクマは鉤爪で問題なくゾンビの顎を粉砕!膝裏の腱、手の腱を引きちぎってゆく!
じゃあなんであたしはゾンビ化したわけよ!?
鼓は向かってきたゾンビの肘裏に爪を引っかけ腱を引きちぎる!
さらに続けて向かってきたゾンビの肘裏に爪を引っかけ腱を引きちぎる!
鼓の足から靴下を引き裂いて鉤爪が伸びる!
さらに続けて向かってきたゾンビの足首に爪を引っかけ腱を引きちぎる!
さらに続けて這い寄ってきたゾンビの頭を踏みつぶす!右肩!左肩!踏みつぶす!
受けた傷が即座に死ぬことのない絶妙な位置と出血量の致命傷だったんだわ。
・α'ゾンビプリオン
αプリオンと発症力はどっこいだが、こいつはすでに死んでいるが原形をとどめている細胞をゾンビ化する。感染後はおおむねαプリオンに変化する。生きた刺身とか作れるぞ。土葬が主流のアメリカではこれを墓地にまかれるとヤバい。
一部の知性ゾンビによる自発的分泌で生成されることがほとんどだ。霊安室から死体が置き上がってきたときは、親玉の知性ゾンビがいると考えていい。
シマクマはどこからか取り出した試験紙を飛び散った血肉に浸す。
その後ろからゾンビがスコップを振り上げる!
シマクマはサマーソルトキックで問題なくゾンビの頭を粉砕!そのままもつれこんでゾンビ共を転倒させる!
倒れたゾンビを容赦なく踏み荒らすシマクマ。
・βゾンビプリオン
これこそがいわゆる「噛まれたら感染する」タイプの強力なゾンビ因子だ。こいつは一般的なウィルスや細菌をゾンビ化させて媒介とし感染する、まさしくゾンビウィルスというやつだ。100%の感染力!100%の致死性!見つけ次第絶対に焼却処分しなければならない。
感染から6時間から12時間程度で、インフルエンザやマラリアに似た症状が発症する。そしてさらに3時間から6時間で脳の半分がゾンビ細胞化し死ぬ!そして即時、最長1時間後に起き上がり動くものを襲う!
基本的にβプリオンでは知性ゾンビは産まれない。人為的に調整すればちょっとは賢くなるけど、それでもハムスターの方がマシ。
現状、αプリオンより絶対数が圧倒的に少ないのが救いだ。だが、金と手間はかかるが、十分な設備さえあればαプリオンをβに変えることは可能らしい。
政府だのクマ組織だのが隠蔽してニュースにはなってないが、βプリオンによる被害は今も世界中である。周囲から孤立した途上国の集落なんかが被害をこうむってる。
ルートは組織による非合法な実験によるものもあるが、ゾンビ化した野生動物が人間を襲って流行する場合も多い。
蚊が媒介しないってのが大きいな。吸血生物による媒介は、いかなる研究でも成功していない。そんなことができたら世界中ゾンビだらけだ。
・β'ゾンビプリオン
とてもヤバい。エボラ出血熱のように体液が皮膚に触れただけで感染する。ゾンビは結構体液が流出してることが多いから、接触の可能性は上がる。乾燥によって分解するのが救いだが、人工的に変質させたものの中には乾燥しても性質を保有し続けるという悪魔的なプリオンもある。
βプリオン感染者の中で、突然変異的に発生するプリオンだ。β'の保持者は汗腺から体液がドバドバ出てたり、口から大量に血を吐いたりする。
β'プリオンは別の人間に感染するとたいがいβに変質する……あくまで「たいがい」だ。変質せずに毒プリオンを撒き散らすゾンビは一定数発生しつづける。最重点消毒対象だ。
・β''ゾンビプリオン
数回の人工的処置を経なければ作れない人工のプリオン。防衛組合が把握している中で、これが確認されたのはカザフスタンで1例だけだ。
最悪の中の最悪だ。人間に感染するごとに感染力が弱まるが、炭疽菌に乗って空気感染しやがる
ゾンビプリオンの中でも変異ゾンビがまず発生しないのが……いや、爆発的に感染する時点で唯一の救いとはいえないな。
いつの間にかゾンビは全員倒れ伏し、顎を割られ、手足のみがぐねぐねとでたらめに動くばかりである。
試験紙を拾い上げたシマクマは顔をしかめる。
・β2ゾンビプリオン
Maledetto(クソが)!!β2かよ!!β'よりはマシとはいえ大都会でβ系列使うとかどうかしてるぜ。

こっちもこっちでヤバいぞ。β'は感染しやすいが、β2は潜伏期間が短い。噛まれたら1分以内にゾンビ化だ。
β2プリオンが問題なのは、β'と違って感染しても必ずβに変質せずβ2の性質を残し続けるところにある……ゾンビが敏捷性を保っていればβ'より爆発的にゾンビを増やす。

うへえ……相手がトロくて助かった。これで足が速かったら、コントロールを離れると大惨事じゃん。
(急造のゾンビではやはり相手にもならんか、だが油断しきってる今なら………)
シマクマの背後に血色のいい男が忍び寄る。生きた人間の殺人鬼だ!
ジャックナイフを振りかぶり、シマクマの背中に、背中に、背中に、背、背、背、
BGM:SOUNDORBIS『Cosmicscale』
http://dova-s.jp/bgm/play3925.html
男は幸せそうにシマクマの前に跪いている。
俺の“説得”にあっさり恭順するとは、精進が足りないんじゃあないか?
今から俺の質問に答えてもらおうか。さもなくばりほっぺ特製のタンパク質分解カクテルが火を噴くぜ。
はい、もちろんですとも!
この試験紙を見ろ。俺はてっきりα'ゾンビプリオンでこいつらをゾンビ化したと思ってたんだ。なぜわざわざβ2なんぞでゾンビ化させたんだ?
はい、兵隊を作成するにあたり、わざわざ攫って殺すより自己生成させた方が楽だったからです!
パンデミック起こるって考えなかったの?しかもこいつら普通のと違って脳潰しても動くし。クソじゃん。まあ一般人を多数殺してる時点でクソの山だけど。
はい、クソです!ですがあなた方もご存じの通り、ゾンビを特定のフェロモンや音で操ることは可能なので、横浜が混乱に陥ることはありません!
ゾンビを操ってたのはお前か?
いいえ、今残業してるサラリーマンもおらず無人となっている隣のビルにいる花澤さん、ツキノワグマの知性ゾンビです!上司です!
わかった。なお貴様らは軽率に細菌兵器を制御できるとたかをくくって虐殺を行ったクソ外道なので生かしてはおかない。冥土の土産にゾンビ化のプロセスについて身を持って教えてやるから感謝しろ。
ありがとうございます!嬉しいです!
ゾンビ化の生理学
シマクマぁ、その注射器なあに?
コニインとα'プリオンの混合液。コニイン知ってるか、ソクラテスが飲まされたやつだぜ。
シマクマは土下座する図書館エージェントに毒薬を注射する。
意識が遠くなってきたろう?
ドクニンジンの成分で全身が緩やかに弱ってきてるのはわかるな?
だが、それが逆にプリオンを活性化させている。プリオンの活性化に関しては、どう感じる?全身がむず痒いとか、そんなのはあるか?
いいえ……ありません……ただ体が重いだけで………
毒かプリオンどちらが先にお前の命を奪うかわからないが、とにかくお前はこの過程で一度死ぬ。意識を失う。心臓が止まる。脳波が止まる。
エージェントはすでに死んでいるように見える。
しかししばらくして弱く、しかし確実にエージェントの心臓が再び動き出した。
今、脳から心臓にかけて血液が変質していってるからねー。血中の酸素が多くなって、粘性も高まってる。
正確には死んでるんじゃないんだ、脈拍が弱いだけ。酸素をたっぷり吸いこんで、内臓も筋肉も強くなってるんだ。
毒は?
血液そのものが肝臓みたいになって、速やかに分解されていってる。
ゾンビの本質は、基本的には血液と言っていい。血が一種の不定形多細胞生命体になってるんだ。もう自分たちが動き回るための循環器系、体に命令を送るための神経系以外の臓器は不要になった。りほっぺの臓器だって、腸だの腎臓だの手術で沢山取り出されたのは覚えてるだろ?血が通わなくなって、もう腐るだけだからな。
……そのはずなんだが、ミイラがゾンビプリオンの影響で動き出すという例外も数多くいるのが不可解なとこなんだよな。わずかな水分で動いていると楢蜜は発表しているが、実際のところはどうだかな。
ここからだ。通常、ゾンビプリオンに冒された脳は大脳新皮質が壊死、認知能力が極端に低下する。知性・記憶も喪失する。恐怖さえなくなり、逃げるという発想さえもうできなくなっちまうんだ。
一方新陳代謝の活発化によって食欲は増進。大きな生き物の姿や音や匂いに反応して積極的に食いに行くようになる。人型とか犬とか関係ない。血が付いてりゃ車だって齧る。
βは喰うより仲間を増やそうとする性質があるから、仲間を識別して共食いしないけど、お前に注射したのはαだから普通に共食いする。
おい鉄砲玉、お前さんはどうだ?脳をやられずに知性ゾンビになれたかい?
あぶ、あぶあうばー……。
エージェントはシマクマの肩にかじりつく!
シマクマはクマ筋力でエージェントの歯を締め付け、続いてベアハッグを行う!
よーしよしよし、いい子だねー。チミの体にはほかにも変化が起きてるんだよー。
チミは血がネバネバしてるから、急所を攻撃されても大量出血しなくて平気なんだよ。大半の毒も効かなくなったしねー。だけど代謝が活発した割に血の流れが遅いから、定期的に栄養を摂取しないと体がどんどん腐っていくから気をつけてね。まあ壊死した部分から出る毒素にも平気だけどさ。
あと全身に鼻があるみたいに嗅覚が鋭くなって、さらに蚊みてーに二酸化炭素を把握できるようになる。でもチミの頭脳じゃ人間を無視して大きな火やドライアイスに突っ込んでいっちゃうねー。
さらに、痛覚がまるで無くなる。だから多少の無茶だって
BGM停止
突如としてベランダ向かいから矢が飛んでくる!鼓の下腹に勢いよく突き刺さり貫通!
に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!
……まあ、あれは例外よー。痛覚残ってる子もいるにはいるからねー。
花澤とか言うヤローの攻撃だな。腹がそこまで吹っ飛んでないから、クマ筋力自体は大したことないな。
い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!
鼓は血の涙を流し絶叫しながら床をすごい勢いで転げまわる。
死後硬直や筋肉の自己分解が原因であると誤解されがちだが、ゾンビが運動能力が低下し飛んだり走ったりといった素早い動作ができなくなるのはひとえに血液凝固に起因するもので、その証拠に筋力そのものは向上して……ええわ、もうええわ。俺もこいつも変異ゾンビで、お前はそうじゃない。お前は永劫トロいままだ。以上だ。分かったか。死ね。
オボッ
シマクマはエージェントの首の後ろから畳針を刺す。かき回す。エージェントは動かなくなる。
に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛!!どこにゃにゃ!?どこから撃ってきたにゃ!?
向かいのビルの窓が開いている。
おんにゃにとって大事な臓器をよくも!!よくもやってくれたにゃ!!楽に再殺されると思うにゃよクソが!!死にぇ!!
死にええええええええ!!
BGM:しそふー『空とぶイソギンチャク』
https://mqube.net/play/20170910132514
鼓はカタパルトで打ち出された岩のごとく勢いよく隣のビルの窓までジャンプ!問題なく窓の先まで入り着地!
オフィスビルの廊下。離れた場所にリラ色のクマが弓矢を持って立ちはだかる。
変異ゾンビ
さて、ゾンビには数多くの突然変異がある。知性と俊敏性を保った俺達がそうなんだから。次は閲覧者の皆様に典型的なゾンビの変異について……語っていこうかね!
シマクマはケツを触られたオンブバッタのごとく勢いよく隣のビルの窓までジャンプ!問題なく窓の先まで入り着地!
ほう、鶴見区編纂室新室長の私を片手間で倒そうというのか。よろしいよろしい。ならばこちらは閲覧者に君たちが惨く死ぬ様を見せて夜毎うなされるようにしてやろう。パンサラッサの名を聞いただけで恐怖のあまり血尿を漏らすようにな。
黙れ黙れ黙れぇぇえええええ!!こっちは!!あんたにょり!!頭いいんにゃよ!!
軟骨にゃって生前にょりずっと柔らかくにゃってるんにゃからにぇ!!
・知性の保持、俊敏性の保持
本来血液の変質に伴い、脳機能の一部はマヒしてしまうものだ。しかし、脳機能が丸ごと機能しているゾンビもまれにいる。血液そのものが脳細胞のように記憶・感情ネットワークを有することもある。
また、関節の潤滑液が凝固せず、神経伝達も鈍らなかった場合、生前のまま、あるいはそれ以上の肉体的素早さを得るゾンビもいる。
これらは定期的に栄養を摂取し、肉体を外科施術や投薬によってメンテナンスしているほど長く保たれる。それを怠った知性ゾンビや俊敏なゾンビは、いずれただの腐った死体に成り果てる。
鼓は手足の爪をビキビキと伸ばしてゆく。
一方花澤は舌を長く伸ばし、それが二股に裂けていく。背中から6本の太い触手が生えてくる。花澤は舌と触手でさらに4本の弓をがらんどうの腹から取り出す。
・高速再生、器官の増殖
タンパク質と脂肪さえ摂取できれば吹っ飛んだ筋肉や臓器を再生できるゾンビは全ゾンビの2割ほどいる。
さらに肉体の細胞が変異し、爪や骨、腕、目玉、さらには触手や尻尾、翼など本来その生き物になかった器官まで後天的に増殖するゾンビもいる。そんなゾンビは比較的強い。
だがこの花澤とか言う野郎みたいに自在に触手を出し入れできるのは珍しいな。生者に変装するために増殖箇所を切り落とすゾンビもいるのに、すげー羨ましい。
隙だらけ!
鼓は花澤に突進!ジャンプからの二―キックで花澤の頭蓋を粉砕!
直後、花澤の喉から黄色い液体が噴水のように噴出!
びに゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!
畜生め!!
鼓は爪で花澤の首筋と触手の付け根をかきむしる!
花澤に振りほどかれ、投げ飛ばされる!
酸かい?
違う……この細胞1つ1つが破裂してるかのような感覚はゾンビ分解酵素。ああー痛い。子供産んだことないけど全身からスイカ出てる感じ。
・毒素ないし酵素の分泌
このように、体内でペプチド毒やタンパク質分解酵素を分泌する変異ゾンビもいる。俺の幻覚剤もゾンビになってから出せるようになった。だが、基本的にはネクロトキシン――血や肉を分解して壊死させる作用の毒を分泌するゾンビが多い。神経毒を出せる奴は稀だ。
特にゾンビプリオンのみを分解する酵素は、さっきの花澤みたいな一部のゾンビから分泌される貴重なものだ。抗ゾンビ薬の主原料だ。化学合成もできるが、今のところ天然モノの方が効果が高いな。
ところでりほっぺ、さっきの毒、効いてるぞ。腐れグマ野郎の肩がパンパンに腫れてやがる。よくやった。
これしきのことで!
花澤は一気に5本の矢をつがえ、放つ!ヒュヒュヒュヒュヒュウと音が鳴る……すべて鏑矢だ!鼓とシマクマは難なく全弾かわす!
物陰から、体中から巨大なマイタケのようなキノコを生やした人間のゾンビが2体現れる。先ほどの鏑矢の音を聞きつけたのだ。
………。
………。
何人来ようが同じこと!シマクマ、位置取り決めてあのバカクマ“説得”しちゃって!
シマクマはじりじりと花澤に近づいてゆく。
その時、キノコゾンビ達の体から爆炎が吹き上がる!
あっつ……なるほど、胞子で粉塵爆発。腐っても自称研究組織、共生生物と変異特性をうまくかけ合わせてやがる。
・燃焼性体液
黄燐とグリセリンを合成する特殊なゾンビ血液だな。噴射させて発火。
ただある程度知性があるか、外科的改造してもらうかしないと自分が燃えて自滅する可能性が高い性質だ。
硫酸だの硝酸だの(いずれも火薬の原料になる)を入れたタンクを取り付けられて完全な人間爆弾にされるゾンビもいる。
・多細胞生物との体内共生
これはゾンビそのものの変異じゃないが、ゾンビ特有の武装なので説明する。
ウジ虫、線虫、オニフスベ。ハツカネズミ。ヒマラヤンブラックベリーやヤツメウナギ。それらは一様に遺伝子改造を施され、ゾンビだったりゾンビじゃなかったりする(まあ植物や菌類のゾンビはほとんどいないけど)。とにかく、そんな生き物を体内外に仕込まされるゾンビの兵隊は世界各地で見られる。
キノコなら胞子で煙幕を作れて、ふかふかの鎧になる。茨なら攻防一体。芋虫なら肉の補強、縫合。歯があれば不意打ち噛み付き。いずれも強力……いやこれ普通に銃と防弾チョッキ装備させた方が強いだろ。結構改造者の趣味丸出しの武装なんじゃないかこれ。
花澤の頭部はじわじわ再生しつつある。
花澤は触手の1本でうなり木を振り回す。クマバチめいた音の緩急に反応し、キノコゾンビがシマクマと鼓をそれぞれマークする。
花澤は鏃に返しの付いた4本の矢を喉の奥に突っ込み、抗ゾンビ酵素をべったりと塗りこむ。
脳を破壊しない限り、あらゆる攻撃がただ敵を嬲る行為にしかならないのがゾンビの辛い所だな。
苦痛が嫌ならば、毒に身を委ね死ね。
矢が飛ぶ!2本はシマクマに、残りは鼓に!
シマクマはキノコゾンビを盾にしこれを回避!
鼓は1本をかわし、もう1本を……自分の左手に当てた!
その矢を肉ごと抉りぬき、さらに左乳房に刺す!!
ひぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!
い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛!!
(さっきからなんだこいつ……ゾンビのくせに痛覚があって、そのデメリットにもかかわらずわざと自分を痛めつけてるぞ!?酵素も肉を溶かすほどの効果はないようだ。
何かを企んでいる。弓矢はもうやめだ、わざと近づけて触手で脳を粉砕する!!)
い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛、い゛だい゛に゛ゃ゛あ゛……ああ……あったまってきた………。
花澤はうなり木の音色を変える。キノコゾンビが2人の敵対者から離れ……るまえに鼓の鉤爪がキノコゾンビの脳天から鼠蹊部までを抉りきる!
ゾンビは重要器官の損失と毒の作用で2度目の死を迎えた!!
直後、鼓は目にもとまらぬ速さでもう1人のキノコゾンビに駆け寄り眉間、甲状腺、みぞおち、肝臓を順に貫手で骨ごと貫く!再殺!!
・痛覚過敏、痛覚エネルギー化
来たぜりほっぺのレア能力!俺はこれを待っていたんだ。
普通ゾンビは痛みが鈍化するか、感じても苦痛に思わないものだが、不幸にも痛覚を生前と同じかそれ以上に保持してしまっているゾンビはまれにいる。
だが幸運なことにその少数派のゾンビの中の4割は、痛みを受ければ受けるほど筋力と敏捷性、反射神経が上昇していくのだ。子宮という重要器官の損傷と全身の体表の溶解という大ダメージを受けた今のりほっぺはもう無敵だ。
腐敗や治癒しにくい傷に苦しむゾンビの中でも、りほっぺが若干マゾヒズムに目覚めつつあるのは彼女にとって本当に救いだったと思う。
(何だ?鼓から心音が聞こえる。マラソン後の生者以上に激しい心音だ。ゾンビ兵器をこうもあっさりと殺したのは、痛みによる身体能力の強化だけではないというのか!?)
こにょ痛み倍返しにしたる!!死にぇ花澤!!死にぇ!!
死にええええええええ!!
なんてこった、甘く見ていた。このままでは
腋、触手の付け根、鼠蹊部にネクロトキシン注入!みぞおちに穴を開け、さらに心臓に毒注入!花澤の心臓を手で揉み、毒を全身に回らせる!
花澤は膿混じりの濁りきった血を口から大量に吐き出し、沈黙。
BGM停止
さすがりほっぺ、血液循環で筋力増強と毒液量増加を同時にやるとはな。
・脈拍・呼吸操作
ゾンビの脈拍や呼吸は基本的にほとんどない。粘膜や傷口から直接酸素を吸収できるから。
だが心臓や肺を任意に動かせる才能は貴重だ。例えば、脈を一定に保つことで精密機械以上に安定した作業を行える。血液をひとところに集めて、筋肉の簡易ドーピングを行える。肺を動かして、効率良く酸素を吸収したり、クマ肺活量に匹敵する強力な突風を吹かせることもできる。
あー、くたびれた。こいつとの戦いで、結局シマクマの出番なかったね。まあ、これくらいであたしが死ぬようじゃそこまでの強さだった~なんて思っててわざとあたしにやらせたのかもしれんけど。
まあ、クマ説得力はツブシの効く能力じゃないから。知能無い奴はそもそもニセ記憶も感情も理解できないからあんまり効果ないし、このゾンビグマみたいな実力者にも気を散らせるぐらいしかできないんだ。りほっぺにも多分効果ないぜ。「アイムユアファーザ」なんて記憶をお前に植え付けても、すぐ「ノーウ!!」と言って矛盾に気づくだろうさ。
(毎度毎度嘘ばかりついてすまねえ。だが、俺のクマ説得力が鍛練を積んだサメやクマにさえ偽りの忠誠心や記憶を植え付けられるってわかったら、ドグマ防衛組合は破滅だ。結成の時使ったからな、能力)
それにしても子宮を狙って撃つなんて、花澤は本当にひどい奴だ。あたしは死んでから不妊になっちゃったけど、もし生殖能力が残ってたらこいつをただ殺すだけじゃすまなかった。
まだ未練があんだな、子供産んで育てるって夢に……子供がいなきゃいないで別に普通の人生だろ。俺なんて1号をカキタレにした時、連れ子全部とっくに死んでたんだぜ。父親にもなれなかったけど、俺も1号も人生――人間じゃないけど――楽しいぜ。
・生殖能力の保持
ほとんど死んでるゾンビは、普通不妊だ。だが、ゾンビ同士、あるいはゾンビと人間で子供を作った事例は一握りながらも存在する。女ゾンビが知性のないガキを産みまくってアリのコロニーみたいなゾンビ軍団を築いている集落も確認されてる。
産まれた子供がゾンビかどうかは母親に依存する。母親が生きた人間やクマなら生きた赤ん坊、ゾンビならゾンビの赤ん坊が産まれる。
衛生部の除染チームさっさと呼んで、このビルもあたしの部屋もβ菌分解してもらわなきゃね。あたしらの服と体の除染が済んだらなんか食べに行こう。お寿司がいいな、回ってるやつ。
その前にゾンビの比較的腐ってない加食部分喰っとけよ、傷がふさがらないまま寿司屋いったら血が滲んで大騒ぎだ。
ゾンビの食性の変化
BGM:MusMus『ヴァニラ』
http://musmus.main.jp/music_img1.html
夜。回転寿司店にて寿司を食う鼓とシマクマ。両者とも、生きた人間に見えるように死化粧を施している。
ホントはさ、俺達陸のゾンビにとって寿司なんて消化効率が悪すぎるんだよな。魚の不飽和脂肪酸は比較的吸収しにくいし、米とかの植物全般は消化率が生者に比べてガクンと落ちる。
うん知ってる。てかゾンビになったその時からわかってた。ゾンビはみんな本能的に熱変性されてない生の肉を求めんの。塩漬けでも酢漬けでもなければなおベスト。
そんで脂肪たっぷりの脳味噌がごちそうなのね。
でも今日は~白子ポン酢の気分~♪
まあ青魚も脳味噌と同じくDHAが含まれてるから不正解ではないんだよな。
ゾンビはリン脂質やDHAを比較的必要とするから、モツや脳髄、骨髄なんかを食べるといいんだ。できれば飽和脂肪酸を多く含む陸上動物の肉、それもゾンビにとって消化しやすい生。
でもあたしたち、1回1回の食事の質が悪くても頻繁に栄養摂ってるから、飢えて腐敗することもなく健康に生きてけてるよね?
何も喰わなくても、2週間ぐらいは朝飯食った後の生者と同じようにピンピンしてるからな。腐ることを度外視すれば4週間はいけるぜ。
菜食主義の知性ゾンビは確実に1ヶ月で活動停止するだろうけどね。
画面でラーメンを注文する鼓。
皿を投入口に入れるシマクマ。上昇するカウント。画面に映る景品ゲーム。外れ。
だがな……あくまで「何も喰わなくても」だ。水分が必要じゃないわけではない。ゾンビが水分を失うスピードは、おおよそ生前の2分の1。
もしゾンビパンデミックが起こった時、普通のゾンビをおびき寄せられる場所を知ってるか?プールとか、水たまりだ。ドブ川とかもな。ゾンビの集団が四つん這いになって汚水ガブガブ飲んでるところにショットガンやダイナマイトをぶち込む!それを繰り返せばゾンビなんて簡単に殲滅できるんだ。
あ、忘れてた。こないだ取り寄せてもらった死刑囚の脳味噌。あー、今頃除染に伴って冷蔵庫の中全部処分されてんだろうなー、食べるの楽しみだったのに。
ま、ゾンビってのは同族の肉が一番美味くて体に馴染むと感じるもんだからな。何でか知らないけど。
クマの俺なんて全然クマ肉食えねえんだぜ、運悪くマタギに撃たれたクマの肉は地元の人間が消費しちゃうし、人喰いグマは「血が煙くなる」って喰うのタブーだし。普通の死んだクマは森の奥で風葬、見つけた頃には腐ってる。
……人やクマを何人もぶっ殺したあとに笑ってこんな会話できるあたしたち、本当に行くとこまで行っちゃったんだなあ。
じゃあ最後は、知性ゾンビの組織の紹介で〆ましょうか。
秘匿されたゾンビ組織
・ディ・フレムデン(Die Fremden)
形態:政治・民族テロ組織 規模:不明(活動は全世界) 指導者:不明 主な構成員:人間(全てゾンビ)
異邦人(ディ・フレムデン)とはあくまで他称で、彼ら自身は自分たちを国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP、ナチ党)の生き残りと名乗っている。
奴らは“潮だまり”とおぼしき場所から、世界中に突如として「門」と呼ばれる穴を開いて移動してくる、ゾンビの軍団だ。人間を拉致し改造手術を施したり、第二次世界大戦時に設立されたが打ち捨てられた要塞や研究所を占拠して破壊兵器を作ったりする。
奴らの目的は、アーリア民族による世界支配。しかし奴らはサイボーグ技術やバイオテクノロジーよって、ゲルマン人どころか人間というべきかすら怪しい怪物に成り果てやがった。
その危険な思想から、楢蜜騎士団からは最優先して滅ぼすべき組織として認識されている。
こいつらの本拠地は太陽系のどこかに展開された“潮だまり”である……と推測されている。奴ら自身はその場所をヴァルハラと呼び、他の組織からはアウトランドと呼ばれている。
潜入と脱出に成功した楢蜜のハンター共曰く、アウトランドはまさしくダンテの神曲のような地獄が広がっているという。写真撮影は失敗したそうだ。
その場所は南米のどこか、地球マントルの内側の空洞、あるいは月の裏側など諸説ある。物理的に到達できない別の時空間にあるという説もある。あるいは、ナチ公共はそれらすべてを押さえてるかもしれない。
奴らがどうやってアウトランドから地球上の任意の場所に、空間を飛び越えた「門」を開くことができるのか?現段階でそれはさっぱりわかってない。
得体のしれない怪物共だが、その科学技術は凄まじく発達しており、知識を得ようと奴らに接触を試みる者も後を絶たない。もっとも、身体・精神障害のない白人と見なされなければ、とっ捕まってモルモットにされるのがオチだがな。
・かまりりや(C@marill@)
形態:知性ゾンビ友愛団体 規模:日本首都圏とその近郊 指導者:最高意思決定者は存在しない 主な構成員:人間(知性ゾンビに限る)、クマ(知性ゾンビに限る)
貴族の私設顧問派閥を意味する、知性ゾンビの互助会。奴らは自分たちを「吸血鬼」と呼称し、自分たちの生存――まあ死んでんだけど意思と行動がある以上他に適切な言語がねえわ――に必要な物資を、非合法なものも含め、調達する。
奴らは自分たちを「人間の上位種である高貴な存在」と定義しており、できるだけエレガントな行動を心掛ける。そうでも思わなきゃ、生前とすっかり変わっちまった体に心が付いていけねえんだろうなあ。
食事に関しては輸血パックと牛肉を独自のルートで確保してはいるが、可能ならば生きた人間からの吸血「のみ」を行おうとする。長期間食事をとる必要のないゾンビに対しても、一度は儀礼的に吸血を行わせる。
とはいえ彼らは生きた人間の社会に対して過剰に暴力的な組織というわけではない。非合法吸血と生活のための偽装工作を除き、彼らはできるだけ自分たちが住む地域の平穏を守ろうとする。事情を知る警察と協力し、サメクマ関連事件を解決することもある。
もっとも、最近は組織に反発し、自ら積極的に人間を襲う「吸血鬼」もいて、状況はさらにややこしいことになってる。
防衛組合にとって、かまりりやは敵なの、味方なの?
基本的にどうでもいい存在だと思ってる。友好関係を築こうとしてる楢蜜やHSNはともかく、それ以外のクマ連中にとっては格好の嘲笑の的だ。マダーやパンサラッサにさえ、いいカモとしか思われてない。
「クマの組織を不恰好にまねた烏合の衆に過ぎない」「美辞麗句や大仰な儀礼でちっぽけなプライドを守ろうが、所詮は人間。それも死骸」というのが理事会の見解。
だが石カブトは「自分たちを人間ではないと定義することで、逆に人間らしさを保っている誇り高き集団。いずれ力を借りることもあるさ」って言ってる。
一方紗雪のアホは完全にブルっちまってる。「なぜ石カブト様は彼奴等を骨の一片灰になるまで滅ぼしてしまわぬのか。独自の作法や秘儀といった型を定めるは結束の力ぞ。お遊びで始まった魔術結社が世界揺るがす陰謀団になる例はいくらでもあるぞよ」ってさ。
会計ボタンを押す鼓。
結び
俺は今でもわからねえんだ。本来ちゃんと終えるはずの命が、生ぬるい体と一緒にダラダラとオマケの1日を繰り返してるのがほんとにいいことなのかってな。今すぐにでも、頭をぶち抜いて地獄に行くのが自然なんじゃないか?
そういうのをずっと考え続けるのも、知性ゾンビの一つの在り方なんじゃない?
あたしは結論出てるけどね。おいしいお菓子食べたり彼氏とのえっちが上手くいったら、生きててよかったッ!!酒ガバガバ飲んでも悪酔いしなかったり、本来致命傷の位置に攻撃を受けて即座に逃げれたら、死んでてよかったッ!!
ところで、世界観の紹介はこれで終わり?
いや、最後は人間だ。「人間なんて知ってらあ」なんて言うなよ?ゾンビでもサメ使いでもないただの人間がどうサメクマ社会に関わってるのかは重要な情報だ。
聞き手は百目鬼にやらせる。語り手は……説明上手な人間が身内にいないので、少し考える。
ところで、図書館に住所もバレたしβ菌で汚染されたから、もう引っ越すしかないのはあんたのせいだからね。貸しにしとくよ。なんかで返せよ。取り立てに行くよ。
スマンカッタヤデ

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