文字数 573文字

 村木ミユキと僕は、二年になったばかりの頃、剣道部で仲の良かった岡本が、ミユキの親友の越川ルミコと付き合い始めたことがきっかけで、岡本を通じてミユキが僕に交際を申し込んできて、付き合い始めた。 
 その頃の僕は、まだ、アキに対しての未練を引きずっていた。
 アキも僕がミユキと付き合い始めたことを知り、
「おちこんじょったよ」
 と、後でサトミから聞かされた。
 ミユキは小柄でとても性格の良い子だった。ミユキは市内の自宅から通学していた。
 僕達は付き合い始めの頃、よく一緒に帰った。夕方の四万十川の堤を学校帰りに歩くだけで、充分幸せに思えた。並んで歩くことだけで満足しており、意味もなく僕の下宿とミユキの自宅の間を、何往復もしたりした。  
 ミユキのさりげない心遣いが、僕は好きだった。ミユキといると心が和んだ。
 ミユキと付き合っていた時期は、それなりに充実もしていたために、放課後白木のアパートにいく回数は減っていた。
「三木、日曜の三時頃、下宿で村木とやりよったろぅ」
 と、眠と谷本が朝学校で会うなり僕に言った。
「馬鹿言え、昨日は映画観にいっちょって、その頃はおららったぜよ」
 サルと二人で、日活ロマンポルノを観に行っていた。
「うそゆうな、昨日おれらん行った時、窓んちょっとあいちょって、おまえと村木がやりよう声が聞こえよったぞ」
 と谷本が冷やかした。

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