屋台巡り
文字数 990文字
俺たちは椅子に座り、皆で屋台で買ったかき氷を食べていた。
アイスクリーム頭痛が……。
この4人でかき氷を食べても好みの味は変わってくる。
いくら昔から仲がよくても好みや好き嫌いは、全く違うのだ。
唯一苦手なもので4人が一致しているものだと、喧嘩しかない。
喧嘩は解決するまでが面倒だった記憶もある。
俺が、駆と喧嘩したときも解決するのに美咲と奈々の助けを借りても4日時間がかかったのだ。
だから、俺たちは喧嘩が嫌いなのだ。
特に殴りあいの喧嘩が嫌いだ。
痛いのも嫌いだし……痛くするのも嫌だし……。
そんな4人で過ごす天神祭も今年で多分、最後になるのだろう……。
奈々は、東京の音楽大学に推薦合格しているし、美咲は、名古屋の大学に進学が決まっている。駆は、大阪の近畿大学を受ける予定だから……。大学に進学すると大阪に残るのは、駆ぐらいしかいなくなる。
この友情関係が壊れるのが、俺は一番嫌なのだ。
大阪の堂島川で見る花火や、淀川の花火大会……。
全ての思い出が大阪に詰まっているからな……。
奈々は、相手の空気を読むのが得意なやつだ。
俺たちの考えていることの図星ばかりついてきやがる……。
最後のかき氷の一口を口に入れた美咲が、俺たちの前に立ち、こう言った。
俺たちは、この後も天神祭の屋台を楽しんだ。
射的はもちろん美咲に負けた。
金魚すくいやヨーヨーすくいも奈々には勝てなかった。
輪投げでさえ駆に負けた。
どんだけ俺は弱いんだよ……。
この日の天神祭は、ギャル御輿等を見て1日を終えることになったのであった。