第5話(16)

エピソード文字数 1,289文字

「魅条さん。相手が巨力族だと、何が困るんですか?」
「あそこは我が国と国交がなく、逮捕となると少々時間を要するんです。なのでもしかしたら、色紙さんの懸念通りになるかもしれません」
「……そう、なんですか……。だったらシズナ、アナタ達のトコはどうなの?」

 関係があったら、円滑に進められるだろう。そっちから連絡するってのは、どうかな?

「国交は、あるわ。ただ今回は、ピマーンさんが野緑さんを操っていた――巨力族さんと白金族さんが関わっている問題だから、どうしても両国の接触が必要になってくるのよ」
「あー、そうだよね。そりゃそうだわ」

 襲ってこられる時とは違い、この件の終点は『逮捕』だ。全て法に則って行わないといけないので、勝手はできない。

「くそっ。呑気に解決を待ってたら、別の敵が来て止めないといけなくなる。どうしたもんか――あっ、そうだっ」
「従兄くん?」「師匠?」
「逮捕の話を進めつつ、俺らがヤツのもとに行く。そうやって第2弾をさせないようにすればいいんだよ」

 こちらの真の目的は、逮捕ではなく『止める』――阻止だ。この行為に法律は関係ないので、強引にやっても問題はない。

「師匠、それグッドアイディアやき! 大至急行こうぜよ!」
「そうだね――ストップ。ちょっと待って」

 現在は、午後3時17分。もし相手が反抗して揉めたら、支障を来すな。

「…………魅条さん。お時間、ありますかね?」
「ええ、ございますよ。どうかされましたか?」
「契約の問題でレミアを連れて行かないといけないので、申し訳ありませんがウチの従妹と居て欲しいんです。それで三時半までに戻らなかったら、従妹のボディーガードとして一緒に移動してもらいたいんですよ」

 その時間に動き始めないと、間に合わない。大丈夫だとは思うが、保険をかけておこう。

「それは、お安い御用ですが。どちらに移動すればよいのでしょうか」
「詳細は、従妹に聞いてくださいっ。これはこの国のお金です」

 説明を省いて財布を渡し、次はシズナに身体を向ける。
 たった一秒の差で、さらなる問題が起こってしまう可能性がないとはいえないからな。できる限り素早く動こう。

「マーピンハウスってことに、犯人がいるっ! 野緑っ、そこの座標を教えて――」
「特定できてるわ。エイリさんと、そこにピーマンを買いに行った事があるのよ」

 こいつはラッキー。橙式ちゃんグッジョブだ。

「フュルさん、私に触れて頂戴。この映像の地点に飛べばいいわ」
「ラジャーぜよ――そういや先生、そこは言語が違ってるがよっ。『言語変換魔法』はかけたがっ?」

 ベロベロリン王国のように、使用言語が異なる国は多々ある。そういうトコにそのまま行くと、意思疎通ができないよな。

「変換は、すでに終わってるわよ。問題ないわ」
「そうかえっ。なら師匠、いつでも旅立てるぜよ!」
「シズナもフュルも助かるっ。では魅条さん、従妹を頼みますね!」

 俺達は大急ぎで、レミアと魅条さんをチェンジ。超特急でメンバーを入れ替え、怨敵のもとへと発った。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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