4-3
文字数 735文字
きみは今、夜の中にいる。
眠りについた暗い闇の帳の中を、雪を踏みしめながら歩いている。
両脇に並んだ窓の向こうでは、みんなが暖かな毛布にくるまって寝息を立てている。
その間を、きみは歩く。
白い息を弾ませて。
肩に担いだ荷袋の端を、かじかんだ手で抱えこみながら。
袋の中には、処分待ちだった郵便物が詰め込まれている。
郵便局から持ってきてしまったものだ。
きみは宛先のわからない荷物を抱えた、宛て先のわからないサンタクロースだ。
窓から窓へ渡り歩いては、窓柵にプレゼントを置いてゆくんだ。
明日の朝、窓を開けてみつけた人たちが、気に入ってくれるかはわからないけれど。
夢はなにかって?
いつか一人旅をすることだよ。
別に、きみとの生活にそれほど不満があるわけじゃないけれど、やっぱりいずれは自分の足で、世界を歩き回ってみたいと思ってる。
そうだな。特に、北の方に行ってみたいと思ってる。
サンタの故郷の寒い土地へ行って、空飛ぶトナカイを見つけるんだ。
きみは女の子の窓のもとへ行くと、中を覗き込む。
何が見えるの?
「秘密」
きみはにししと笑って答えると、袋をごそごそ探り、珊の上に小さなくまのぬいぐるみを乗せた。
背を向けて、また次の家へと向かう。
雪の振るなかを、きみは何処までも歩いていく。
これから先も、たぶん、ずっと。
仕方ない。
一人旅は当分先のことにして、しばらくはきみの後ろをついていこう。
きみがうつむいたとき、ふりむいたときに、いつでもそばにいてあげられるように。
きみが哀しくならないように。
きみは歩く。一歩、一歩。
足を上げて、下ろして。
きみはかげをふむ。
眠りについた暗い闇の帳の中を、雪を踏みしめながら歩いている。
両脇に並んだ窓の向こうでは、みんなが暖かな毛布にくるまって寝息を立てている。
その間を、きみは歩く。
白い息を弾ませて。
肩に担いだ荷袋の端を、かじかんだ手で抱えこみながら。
袋の中には、処分待ちだった郵便物が詰め込まれている。
郵便局から持ってきてしまったものだ。
きみは宛先のわからない荷物を抱えた、宛て先のわからないサンタクロースだ。
窓から窓へ渡り歩いては、窓柵にプレゼントを置いてゆくんだ。
明日の朝、窓を開けてみつけた人たちが、気に入ってくれるかはわからないけれど。
夢はなにかって?
いつか一人旅をすることだよ。
別に、きみとの生活にそれほど不満があるわけじゃないけれど、やっぱりいずれは自分の足で、世界を歩き回ってみたいと思ってる。
そうだな。特に、北の方に行ってみたいと思ってる。
サンタの故郷の寒い土地へ行って、空飛ぶトナカイを見つけるんだ。
きみは女の子の窓のもとへ行くと、中を覗き込む。
何が見えるの?
「秘密」
きみはにししと笑って答えると、袋をごそごそ探り、珊の上に小さなくまのぬいぐるみを乗せた。
背を向けて、また次の家へと向かう。
雪の振るなかを、きみは何処までも歩いていく。
これから先も、たぶん、ずっと。
仕方ない。
一人旅は当分先のことにして、しばらくはきみの後ろをついていこう。
きみがうつむいたとき、ふりむいたときに、いつでもそばにいてあげられるように。
きみが哀しくならないように。
きみは歩く。一歩、一歩。
足を上げて、下ろして。
きみはかげをふむ。