第4話:『空っぽの街から』(2)
文字数 810文字
『
朝の陽光は、それを待ち望む者の魂の上にだけ降り注ぐ――。
そうでない者たちにとって、それは心を焼き尽くす業火そのもの――。
だから、“
この街の誰もが、夜明けを待ち望んでいないから。
朝が来てしまえば、眠らせていた全ての羞恥心が目を覚ます。
凍らせて閉じ込めていたはずの、とても重たい何かも、その息を吹き返す。
でも夜の闇は――、全てを隠してくれる。
夜のとばりだけが、虚無の心を優しく包み込んでくれる。
醜い素顔も、
未来への不安も、
自分自身の心さえ。
夜は
置いてけぼりにされた無垢な旅人たちを嘲笑うかのような「社会」という急行列車も、
旅人たちの魂を狩ろうと街を取り囲む軍勢すら、ひとときの静かな寝息を立てている。
さあ、薄汚れた粗末な衣を纏い、この街を徘徊する旅人たちよ!
あなたに、あなたの心を日の光から
それはただ、じっと目を閉じ続けるというだけの、簡単な魔法……。
“
あなたがここで、浅い眠りを
永遠に続く 廃獄の幻想を見せてあげよう。
私が
だってあなたが逃げ込んだこの街の夜空には、
旅の方角を示す星座も、時を告げる月も上りはしないから。
ここは、体を濡らす
』