お正月は火の神様もお休みなのです

文字数 1,012文字

お節は美味しいけど、全部冷え冷えなのが冬には辛いね。
まあ、昔は食べ物を加熱するにも火を使わなきゃならなかったし、調理の為の竈門には火の神がおわすから正月に使っちゃ駄目って言い伝えがあったみたいだからね。
今は電気で色々と温められるけど、昔はそうもいかなかったよね。
ガスコンロならカチカチして火が点くけど、竈門だと火を点けるにも大変そうだし。
だからこそ、神様扱いなんだろね、火って。
扱いを間違えると一帯が燃えかねないし。
「火事と喧嘩は江戸の華」なんて言われるけど、江戸時代までは消火活動も手練れによる人力。
それも、燃え移りが広がらない様に建物を壊していたとか何とか。
物凄く荒々しい対処法……
江戸時代は、消防車どころか車自体なかったからね。
井戸から水を汲んで消火するにも無理があるだろうし。
確かに、汲んでも汲んでも火の勢いには敵わなそう。
そう、そんな扱いが難しい火だから、正月は竈門もお休み。
だけど、令和には電気ポットがある。
 
電気ポットで湯を沸かし、蓋つきのチキラー丼にチキラーを投入、卵を割ってざっくり掻き混ぜ、丼にお湯を注いで待ち、チキラーを軽くかき混ぜてから溶き卵を注ぐ、一旦蓋をしてちょっと固めたらミモレットを卵の上にぱらっと。
卵の黄色と白と、チーズのオレンジっぽい色のグラデーションが美味しそう。

竈門の代わりに電気の力で黄色い何か。
レンジで温めた唐揚げを乗せれば、よりチキン。

さあ、麺が伸びないうちにレッツチキラー。

うん!
 
ああ、チキラーと玉子と言う安定の味に混ざり込むチーズ……チキラーのお菓子感がチーズによって食事と化した。
(元々食事用の筈なんだけど、砕いたら確かにお菓子なんだよねチキラー)
そして、唐揚げに浸みこむ汁まで美味しい。
流石はチキラー、チキンに合う。
チルドの唐揚げってレンジで温めただけだと衣イマイチだけど、ラーメンに入れるといけるね。
ね。
揚げ物って揚げたては衣がパリパリだけど、時間が経つとちょっと寂しい。
お惣菜売り場でも、揚げ物は早めに安くなりやすいしね。
衣がしんなりすると味が落ちるし、衣が吸い込んだ油も酸化して体に悪いから売れにくくて。
そう考えると、時間が経っても美味しい食べ物って凄いね。
そうだね。
だからこそ、気軽にレンジで温められなかった時代って、冷えたまま美味しく食べられるお節が重宝したんだよ、きっと。
そうして、二人はステイホームしながらお節や火を使わない料理を食べて三が日を楽しんだ。
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登場人物紹介

サク
小柄で甘食な黒髪女子。
おかんポジ。

ユキ
メロン感のあるふくよかめ女子。
良く食べる。

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