パソコン初心者

文字数 2,289文字

「まさか信長様がパソコン音痴だとは思いませんでした」

 異世界スマホは使いこなせてるのにと思いながら、石田三成は意外そうに言った。
 そこは東京目黒の石田三成の風呂なし安アパートである。

「ソフトをインストールとか、ハードデスクとか、用語がもう分からないのだよ」

 信長は珍しく弱気そうにいう。
 デスクトップパソコンの椅子に静かに座っている。

「そこからですか? うーん、異世界転生小説に例えますと、パソコンというのは『色々な魔法を覚えることができる便利な機械』で、ソフトをインストールというのは『魔法(ソフト)をパソコンに覚えさせる(インストールする)』とでも考えてください。イラスト、写真を加工するソフト(スマホアプリと同じ)の魔法とか、小説を書くためのエディタ(編集ソフト)の魔法とか、インターネットにリンクを張る(インターネットを瞬間移動できる)魔法があったりして、魔法の呪文とかはHTML言語と呼ばれていたりします。まだ、これは覚えなくていいです」

 何故、異世界転生小説に例えるかは謎だが、WEB小説投稿サイト『作家でたまごごはん』では小説といえば、異世界転生小説なので必然の流れとも言える。

「何となく分かったような……」

 信長はうんうんと(うなづ)いている。

「ハードディスクというのは『パソコンに覚えさせた魔法を記録しておく魔導書』のようなものです。グリモワールですね。魔法帝が出てくる某アニメを思い出してください。ただ、この魔導書は結構おんぼろで、三年ぐらいで壊れてしまうことがあるんです。せっかく覚えた魔法を全部忘れてしまうんです。ただ、某スパイ映画で出てくる伝言サービスのように、突然、炎上して爆発するということはないので心配の必要はないです。信長様が今、書いているWEB小説の『信長太閤記』が全部消えてしまったら大変でしょう。その魔法を『USBメモリー』というこの小さなスティックでさらに保存しておくこともできます。一週間とか一ヶ月単位で定期的に保存しておくことをお勧めします」

「なるほど」

 何となく分かったような顔をしている。
 
「WEB小説投稿サイト『作家でたまごごはん』でも一番大事なことは、小説のバックアップを取ることですが、最近は複数のサーバでデータ保存してるのでデータが消えることはないです。ですが、南海トラフ地震とか大災害に備えて、北欧サーバに保存してるという噂もあります。『作家でたまごごはん』ではデータの自動保存機能もあるので、急にパソコンが落ちてもデータを復元することができるので心配ないですね」

 すかっり、WEB小説投稿サイト『作家でたまごごはん』の宣伝マンになってる三成である。

「そうじゃ、ワードとかエクセルというのが分からんのじゃが?」

「ワードとかエクセルは大体、パソコンにインストールされてることが多いですが、僕は中華製のパクリソフトの『キングソフト』を愛用しています。安いので。フリーソフトと言って、無料のワードとかエクセルの互換ソフト(パクリソフト)もありますので、お金が無ければそれを利用してもいいです」

「ほう」

「ワードは小説などの文章を書くソフトなんで、普通にスマホのように文章書いて保存すればいいだけです。大体、ソフトには必ず『ヘルプ』という使い方の書いてる場所があるので、分からない場合はそこを読むといいです。エクセルは家計簿とかつけるのに使うだけで、数値の合計の出し方と枠線ぐらい覚えとけばいいです。あとは大体、直感的に分かるし、ヘルプを見れば使い方も書いています」

「うーん、そうか」

「パソコン覚えるのに一番大事なことは『グーグル検索を覚えること』です。分からないことは、グーグル先生(グーグル検索)で調べれば大体、分かります。ノーベル賞を取ったオプシーボというガンの新薬とかの副作用も一発で分かるし、世の中の薬の副作用も大体、インターネットで分かる時代ですしね。ただ、それが正しいのか、嘘なのかどうかを見極める知性が大事とも言えます」

「そうか、ネットの海は広大だな」

 信長は某電脳サイバーパンクなアニメのラストシーンみたいなセリフを吐いた。
 結局、この人、実は何も分かってなさそうなのに、決めゼリフはやたらにカッコいいなと三成は思った。









(あとがき)

天瀬マリナ*ガラケー排除で春から休眠さん
https://estar.jp/_crea_u?c=U2FsdGVkX18xXOTc5MDkyNtTwyEvSXHyasyMuXJxS4OWc1

 「エブリスタ」の天瀬マリナさんが、ガラケー排除で春から休眠みたいなことになるらしく、パソコン初心者は何を覚えればいいかと思って書いた短編です。
 奇しくも、今日は僕の通ってる病院で医師の働き方改革があり、宿直明けの午後の診察が無くなり、午前中から病院に行き、早く終わったので十時半には税務署にも行ってきました。
 税務署も働き方改革により事前に書類を揃える→e-taxでパソコンに打ち込むという手順になり、昨年、三時間→二時間に短縮され、十二時半には終了しました。
 病院も税務署も働き方改革になり、僕ももう少し効率的な仕事をしたり、小説などの書き方も考えないといけないなと思いましたね。


『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~ 作者 坂崎文明
https://www.alphapolis.co.jp/novel/771049446/971051558
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登場人物紹介

神様

織田信長の神霊説もある。

神様の助手

黒髪の童子。

石田三成(いしだみつなり)

某戦国武将と同姓同名の男。
チートなスキルをもつ非正規社員である。

島左近(しまさこん)

某戦国武将と同姓同名の男。
三成のコンビニバイトの副店長だった。

婚活の女神アリサ


三成と関わりを持つようになる。

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