第38話 噂とキャロルの爆弾発言
文字数 1,533文字
私たちが、テラスに着くと丸いテーブルに、四人分の席が用意されていた。
「クラレンス殿下が、クリス殿下を誘って、こちらにおいでになるそうです」
テラス付きの侍女にそう言われて、私もにこやかに返す。
「そうでしたか。ダグラス殿下。そういう事ですので、しばらく待ちましょう」
「そうだな」
ダグラスも快諾してくれた。
クリスかな、提案してくれたのは。
ダグラスと私は席に座って、歓談していた。
その内に、クラレンスとクリスが護衛と共にやってきた。
護衛の方はそのまま警備にあたり、殿下たちはこちらの方にやってきた。
私は立ちあがり、二人に礼を執る。
クラレンスはダグラスと反対側の私の隣の席に着いた。丸いテーブルなので、クリスは私の正面だ。
私達が揃ったのをみると、侍女たちがお茶を入れるために、しずしずと働き始めた。
クラレンスの方を見ると、普通に正面を向いている。
私はなんだか不安を覚えて、クラレンスの上着の裾を持った。
つい、前の世界での癖が出てしまった。不安になったら父親の上着の裾を持つ癖。
父は、すぐに気付いて優しく抱っこしてくれてたけど。
クラレンスもすぐに気付いたようだけど、私の手を外してそのまま握り込んできた。
え? えっと……。
「気持ちは分かるけど、少しお行儀が悪いかな? キャロルらしくもない」
クラレンスは、そのまま私の手を口元に持って行く。
えっ、え~! 何? え? 私の手……。
顔が熱い。
そんな事をしている内に、お茶会の用意がされていた。
なんだかクリスがこっちをじっと見ている。
「噂は本当ってことかな?」
クリスはにっこり笑って言ってきた。
噂? そう言えば、ダグラスもそんな事を言ってた。
「何です? 噂って」
「ああ。キャロルは知らなかったっけ」
「ダグラス殿下からも、さきほと噂が……としか、聞いてなくて」
「まぁ、一つはアレだよね。キャロルの婚約が事実上、白紙状態で、王子の中から選びなおせるって」
クリスが軽い感じで言ってる。
「その噂は、知ってますが」
ずいぶん前からの噂だもの。私の耳にも入ってるわ。
「あとは……言いにくいよね」
クリスは意味ありげな視線をクラレンスに投げる。
「ああ。本人たちを目の前にしては……な。で、本当のところどうなんだ?」
言いにくいと言いながら、ダグラスはクラレンスに露骨に訊いていた。
「どう……って」
クラレンスは赤くなってる。って、何なのよ、もう。このハッキリしない感じは。
「あのっ。わたくしの前では、言えないようなことなのですか?」
思わず三人の注目を集めてしまった。
私は今、ぶすくれた顔をしてるんだと思う。思わず、頬を膨らませてしまった。
三人とも、噴き出してしまっている。
酷い。
「あのね。この前、私の部屋から具合が悪くなったキャロルを抱っこして馬車まで連れて行っただろ? あれが、結構な噂になっていて。その……、婚姻前に赤ちゃんが出来るんじゃないか……とか」
まぁ、だいたいそんな感じという風に、クラレンスが教えてくれた。
「赤ちゃん?」
そっか。赤ちゃん。
この体だったら、赤ちゃんも産めるんだ。
前は赤ちゃんどころか、成人することも難しいって言われていたから……。
そっかぁ~。赤ちゃん産めるんだ~、私。
抱っこしてあやして。そうよね、病院で新生児を見た事がある。産まれたてはしわくちゃだけど、ふにゃふにゃしてて、小さくて。自分の子どもだと、きっともっと可愛いく思うんだろうなぁ。
赤ちゃん産んだら夫から『産んでくれてありがとう』なんて言われたりして、一緒に育てるの。
「いいなぁ~。赤ちゃん、欲しいかも」
フワフワとした気持ちで、そうつぶやいた。
両隣の殿下たちの反応なんか気にせずに……。
「クラレンス殿下が、クリス殿下を誘って、こちらにおいでになるそうです」
テラス付きの侍女にそう言われて、私もにこやかに返す。
「そうでしたか。ダグラス殿下。そういう事ですので、しばらく待ちましょう」
「そうだな」
ダグラスも快諾してくれた。
クリスかな、提案してくれたのは。
ダグラスと私は席に座って、歓談していた。
その内に、クラレンスとクリスが護衛と共にやってきた。
護衛の方はそのまま警備にあたり、殿下たちはこちらの方にやってきた。
私は立ちあがり、二人に礼を執る。
クラレンスはダグラスと反対側の私の隣の席に着いた。丸いテーブルなので、クリスは私の正面だ。
私達が揃ったのをみると、侍女たちがお茶を入れるために、しずしずと働き始めた。
クラレンスの方を見ると、普通に正面を向いている。
私はなんだか不安を覚えて、クラレンスの上着の裾を持った。
つい、前の世界での癖が出てしまった。不安になったら父親の上着の裾を持つ癖。
父は、すぐに気付いて優しく抱っこしてくれてたけど。
クラレンスもすぐに気付いたようだけど、私の手を外してそのまま握り込んできた。
え? えっと……。
「気持ちは分かるけど、少しお行儀が悪いかな? キャロルらしくもない」
クラレンスは、そのまま私の手を口元に持って行く。
えっ、え~! 何? え? 私の手……。
顔が熱い。
そんな事をしている内に、お茶会の用意がされていた。
なんだかクリスがこっちをじっと見ている。
「噂は本当ってことかな?」
クリスはにっこり笑って言ってきた。
噂? そう言えば、ダグラスもそんな事を言ってた。
「何です? 噂って」
「ああ。キャロルは知らなかったっけ」
「ダグラス殿下からも、さきほと噂が……としか、聞いてなくて」
「まぁ、一つはアレだよね。キャロルの婚約が事実上、白紙状態で、王子の中から選びなおせるって」
クリスが軽い感じで言ってる。
「その噂は、知ってますが」
ずいぶん前からの噂だもの。私の耳にも入ってるわ。
「あとは……言いにくいよね」
クリスは意味ありげな視線をクラレンスに投げる。
「ああ。本人たちを目の前にしては……な。で、本当のところどうなんだ?」
言いにくいと言いながら、ダグラスはクラレンスに露骨に訊いていた。
「どう……って」
クラレンスは赤くなってる。って、何なのよ、もう。このハッキリしない感じは。
「あのっ。わたくしの前では、言えないようなことなのですか?」
思わず三人の注目を集めてしまった。
私は今、ぶすくれた顔をしてるんだと思う。思わず、頬を膨らませてしまった。
三人とも、噴き出してしまっている。
酷い。
「あのね。この前、私の部屋から具合が悪くなったキャロルを抱っこして馬車まで連れて行っただろ? あれが、結構な噂になっていて。その……、婚姻前に赤ちゃんが出来るんじゃないか……とか」
まぁ、だいたいそんな感じという風に、クラレンスが教えてくれた。
「赤ちゃん?」
そっか。赤ちゃん。
この体だったら、赤ちゃんも産めるんだ。
前は赤ちゃんどころか、成人することも難しいって言われていたから……。
そっかぁ~。赤ちゃん産めるんだ~、私。
抱っこしてあやして。そうよね、病院で新生児を見た事がある。産まれたてはしわくちゃだけど、ふにゃふにゃしてて、小さくて。自分の子どもだと、きっともっと可愛いく思うんだろうなぁ。
赤ちゃん産んだら夫から『産んでくれてありがとう』なんて言われたりして、一緒に育てるの。
「いいなぁ~。赤ちゃん、欲しいかも」
フワフワとした気持ちで、そうつぶやいた。
両隣の殿下たちの反応なんか気にせずに……。