詩小説『手元に残ったジョーカー』3分の失恋。見返したい人へ。

エピソード文字数 558文字

手元に残ったジョーカー

吸い込まれた空。
雲模様のボンネットに座り込んで、
おどけてみせたあなた。

愛だの恋だのねだる私と、
ただ遊びたいだけのあなたでは、
同じ時など刻めなかった。

そんなあなたを夢中にさせた女は、
いったいどこの誰なの?

攻撃的なルージュも背伸びか皮肉か。
着飾っているのも、
見違えったと言わせるためよ。

見返すつもりだったのに、
いつしか振り向かせたいと願ってた。

今気づいたの。ババ抜きの恋。あなたはジョーカー。絵柄も数字も違う私は、あなたとはペアになれない。

ことの成り行きでも恨もうか。

あの頃通った喫茶店の窓には、
見慣れないスタジャン羽織り、
珈琲すするあなた。

あの頃より遊んでいるみたいね。
それくらい分かるわ。
あの頃よりいい男になってるから。

幸せそうな彼女、その瞳の輝き、いつまで澄んだままでいられるかしらね。

まるでハートのクイーンになったつもりね。
引っこ抜いたカードはキングだと思ってる。

今気づいたの。ババ抜きの恋。あなたはジョーカー。絵柄も数字も違う私は、あなたとはペアになれない。

ことの成り行きでも恨もうか。

それでも忘れられない幸福な時間。
今日まで見返すためだけに生きてきた。
手元に残ったカードはジョーカー。

私の負けね。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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