6 理事種族アスモデウス及びグラシャラボラス、アドラメレクの意見

文字数 824文字




「現皇帝が文明開発長官であった時代に民政部門副長官を務め、新帝国設立時には同長官、中心・途上星域が合併し中央星域となった今では、遠征艦隊の民政部門副司令官を務めるアスモデウスもまた、報復政策を望みません。〝熱情王〟の別名を持つ彼女を動かすものは、憎悪や復讐心ではありません。帝国の文明支援事業が悪用されることなく、真に銀河系全体の発展に貢献してほしいと願う、現皇帝と共に抱く理想と情熱なのです」

この紹介は少ないが、重要だ。なぜならアスモデウスはサタンの最側近であり、その政策の実現に不可欠な、様々な種族の健康・教育や融和を支える生体情報産業種族だからだ。色鮮やかな金属箔の装飾をつけた爬虫類のような基本個体は一見恐ろしいが、長い寿命と高度な知性ゆえに、命を尊び、交渉熱心で人道的・平和的な種族だ。投影像には、髪に可愛いリボンを結んだ、快活そうな少女の姿が現れた。

「かかる心情は、バールゼブルの情報部門副司令官として、豊かな感情表現で彼女の対外交渉を支えたグラシャラボラスや、ベールの技術・情報部門の副長官を兼務して、外周星域の平和的発展に寄与したアドラメレクという、彼女の友好種族でも同様でありましょう。彼女達はいずれも、戦後処理に関しては、報復よりも戦災の拡大・再発防止を重視すべしとの意見を表明しています」

グラシャラボラスは有翼の犬のような基本個体の種族だ。好戦的な近隣種族達の中で、唯一防御戦略を採用して生き残り、親衛軍に選ばれたが、本当は平穏で豊かな生活に憧れる種族だった。アドラメレクは金色の鳥のような天才肌の種族と、褐色のラバに似た質実剛健な種族からなる混成種族で、異種族理解による外交政策の第一人者と言われる。共通個体は虹色の光沢を帯び、二本の腕を持つペガサスのような姿だ。彼女達もまた、新帝国と親衛軍や外周星域の仲立ちに最適任の種族だろう。両者の姿は、二つ結び(ツインテール)の純真そうな少女と、金と茶の髪色をした利発そうな少女として映し出された。






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