第6話「魔界からの知らせ」

文字数 2,343文字

 ミノタウロスとのバトル!
 浄化武器は使えない。通常武器で戦おう。
 まず、ツルギが短剣でミノタウロスに一撃!
 ミノタウロスは10ダメージ受けた。
 ミノタウロスのHP(ライフ。これがゼロになると倒れる)はまだまだ余裕だ。
 次に、ミノタウロスの鋭い爪での攻撃!(ミノタウロスHP200→190)
 ツルギは30ダメージ受けた。(ツルギHP80→50)
 すぐにユリカがヒールを唱えて回復。ツルギのHPは満タンになった。(ツルギHP80)
 ミノタウロスの攻撃!
 狙われたツルギの前にヨロイが立ち塞がり、代わりに攻撃を受けた。
 ヨロイは防御力が高く、ほとんどダメージを受けていない!(ヨロイHP100→95)
 しかしミノタウロスは怪我をしていて弱っている。いつもの力が出ないようだ。
 後方から、スミレの魔法「パラライズ」でミノタウロスを麻痺させた!
 ミノタウロスは体が麻痺して動けない!
 ツルギの必殺技「クロスブレイド」!(HP10消費、ツルギHP80→70)
 クリティカルヒット!!
 ミノタウロスは100ダメージ受けた。(ミノタウロスHP190→90)
 ミノタウロスはまだ動けない!
 ユリカの魔法「アクアショット」!
 ミノタウロスは40ダメージ受けた。(ミノタウロスHP90→50)
 スミレの攻撃!
 ミノタウロスは30ダメージ受けた。(ミノタウロスHP50→20)
 
「とどめだ!!」
 ツルギが、必殺技のクロスブレイドを当てると、ミノタウロスは倒れた。
「くっ…!これまでか…!」
「おとなしくさせただけだ。お前を助けたいからな。」
「助ける…?」
「お前、怪我してるだろ。治してやるから、ついてこい。」
「う…。」
 ミノタウロスは、4人の力で、療養所まで運ばれ、ユリカの手当てを受けた。
「…もう大丈夫。」
「かたじけない…。人間にも、情けの心を持つ者がいるのだな…。」
 ミノタウロスは、大きな体をベッドに横たえて言った。
「…なんで、怪我したんだ?まるで、誰かに切りつけられたような傷だったが…。」
 ツルギが聞いた。
「人間にやられたんだ!集団で取り囲んで!卑怯な手を使って…!」
「それは、怖かっただろうね…。でも、人間だって魔物は怖い。だから戦ったのかも…。」
 スミレが同情するように言った。
「その理屈は分かるが…、俺だって、好きでこの世界に迷い込んだわけではないんだ。」
「どこから、迷い込んだか分かる?」
 ユリカの問いに、ミノタウロスは首を振った。
「俺は、魔界の森を歩いていた。それが、いつの間にかこちらの世界の森にいたんだ…。」
「やっぱり、そんな感じで迷い込むのね…。はっきりした原因は分からない…。でも、心配しないで。私が浄化して、あなたを魔界へ送ってあげるから。」
「そんなことが、出来るのか!?…いや、しかし…。今の魔界には…正直、戻りたくないんだ。」
「どうして?」
「俺は、魔界では戦士の指揮官なんだ。いわゆる『ボス級魔物』だ。今、魔界では、無謀にもこちらへ攻め込もうとしている。」
「なに!?」
 ツルギの顔に、緊張が走った。
「俺は反対だった。今、魔界の民は貧しさに苦しんでいる。だから魔界の民の暮らしを良くすることが、国のやるべきことだと俺は思っていたからだ。それで俺は、反逆者として職を追われ、家も何もかも取り上げられた。魔界の新しい王の補佐役になった大臣は野心家でな。王をそそのかして、人間をも、支配しようと企んでいたんだ。魔物がこちらに出るのも、もしかしたら、奴の仕業かもしれん。奴は、怪しげな術を使うんだ。そのせいで、まだ幼い魔王はすっかり大臣の言いなりになって…。」
「やけにべらべらとしゃべるんだな。」
 ツルギは、警戒するように言った。
「すまん。こんな話…。つい、今までの我慢が切れてしまったみたいだ。許してくれ。」
「いや、話を続けてくれ。」
 ツルギに促されて、ミノタウロスは再び口を開いた。
「…俺は嫌気がさして、森を歩いていた。そしてこちらへ迷い込み、人間にやられてしまった。もう、何もかも信じられなかったが、お前たちに、こうして助けてもらったというわけだ。」
「魔界が、そんなことになってたとはな…。」
 ツルギは、考え込むように腕を組んだ。
「だが、お前たちには関係ない話だ。やはり俺は、逃げるわけにはいかない。さあ、その浄化とやらで、俺を魔界へ帰してくれ。」
 ミノタウロスは、身を起こして言った。
「待て。お前一人で、何が出来る。こちらへ攻め込むって話を聞いて、黙っていられると思うか?」
「そうね。私たちにも、関係あることだわ。」
 ツルギの言葉に、ユリカも頷いた。
「僕も、及ばずながら、力になりたいです!」
 ヨロイも言った。
「そうだね。あたしたちの世界に攻め込むなんて、たまったもんじゃないよ。でも、どうしたらいいんだろう?魔界へ行って、その大臣を懲らしめる?魔界なんて、どうやって行くのよ?」
 スミレは腕組みして言った。
「とりあえず、魔物博士に聞いてみようぜ。」
 ツルギが提案した。
「そうね。それが良さそう。」
 話がまとまった。
「…とんでもないことに巻き込んだみたいで、すまないな…。」
 ミノタウロスは、申し訳なさそうにして言った。
「そんなことないわ。大事なことを知らせてくれてありがとう。しばらくは、ここにいて構わないから。魔物博士とも相談して、あなたの住めそうな場所を探してみる。」
 ユリカは微笑んだ。
「うう…。なんと礼を言ったらいいか…。かたじけない。俺の名は、ミノル。お前たちは…?」
 皆、自己紹介した。
「そうか。それではしばらくの間、よろしく頼む。そうだ、魔物博士どのにも、よろしくと伝えてくれ。」
「ああ。分かったよ。ゆっくり休んでな、ミノル。」
 ツルギたちは療養所をあとにした。
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