第38話 リセット癖

文字数 893文字

 自分には、リセット癖がある。ここで、もうこれだけやったんだから、もういいや、という。
 人間関係でもそうだと思う。ここで、リセットしよう、と。
 そうして自分はひとりになっていくと思う。

 ところで、昨日、ここのレターで少しだけやりとりした方が、課題文学の佳作になっているのを見て、喜んだ。すみません、書かせてください。正確にいえば、喜んだ自分に喜んだ。喜びも、ひとり二倍濃縮のめんつゆとなる。
 ところでまた、自分にとっての問題のようなものは、はたしてこのレターというものが、相手に喜ばれ、☆のやりとりなどはさておき、「理解」しあえ、またおたがいにとっての創作にプラスに転じ得るか、というところにある。
 些細でも嬉しいことがあれば、生活にも張りが出ようものだから、なるべく嬉しく楽しく、やりとりができればとは思う。
 が、ぼくの、ここで開示している「作品」は、えてして暗いのだ。重い、とも換言できると思う。重さこそ、にくむべきもので、軽やかであるほうがいいに決まっているのだ。
 だから、はたして、こんな「作者」である自分から、ファン・レターなるものをもらった先方は、ややこしい奴が来た、となりはしまいか。
 そう想像すると、はなはだ心もとない。明るく、前向きな文章を書けたなら、交流し易いだろう、と思えるからだ。
 すると、いきなり話が飛ぶことになる。さて自分は何のために、自分のために・もっといえば自分であるためにここに何か書いているわけだが、その自分はほんとうに何のために、書いているのかという、初期化したフロッピィのような気持ちになる。古い。

 昨日は、何となくヤバかった。リセット癖、これは強迫観念が根っこにあると思えるが、それがむくむく顔をあげ、おい、こんなこといつまで書いてても仕方ないだろう、やめちまえよ、といいだしたのだ。
 が、その気持ちさえもリセットできたかのようだった。素直に、「おめでとう!」とメール、いやさレターを書けたからだった。
 だがこの「何のために」、それこそ何のためになのだが、この何のためにのために、これからも何か書いていくのかな、とぼんやり思う寝不足の朝だった。
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