第7話:4Hクラブの思い出と清水の再就職に工場長の推薦状

文字数 1,571文字

 やがて空が、白々明けてきて午前5時、もう大丈夫でしょうと山内技術部長が言うと、消防車は、次々に帰って行った。清水が、何か手伝いますというと、じゃー、ここで異常がないか見ていてと言い、事務所に上がった。山内さんが車に乗り40分位して戻ってきて、車から工藤工場長と里村課長が降りてきた。

 里村課長が、これで、2回目の火事ですねと言い、もう1回、火事を起こしたら、ここを追い出されるかもしれません言った。里村さんは、地元出身で、パイプも太いが、この地区は、かなりの田舎で、噂話が広まるのが早く、特に悪い話には、尾ひれが付いて、大げざになるのが常だった。

 明日、地元に長い里村課長が、出来るだけ、工藤工場長共に、近所の有力者の家に謝り、に行くと告げた。その後、約1ヶ月は、再稼働できず、地元の消防署、警察署の実況見分が、行われ、今後、火災用起こさないという念書まで、書かされた。そして、火事を起こした1978年が終わり1979年が始まった。

 この年は、火災を二度と起こさないように、1日3回の乾燥を2回にして、万全を尽くす様になった。その頃、清水は、地元の4Hクラブ「農村の後継者の若者クラブ」に参加した。そして仲の良い若者が増えた。しかし、飲み会には出るが、生活環境、教育も違い、なかなか、なじむことが出来なかった。

 しかし、2人の友人ができ、バーベキューや農閑期の温泉旅行にも、一緒に出かけた。春秋の野球大会や、お祭りにも参加した。しかし、肝心の彼女は、できず、お見合い話が、数回、あった程度。1度、冷やかし半分で、お見合いを経験した。しかし、彼女には、既に、意中の地元の男性がいた。

 その男性が、貧農の家の息子のため、親に、言い出せないという話を聞いて、興ざめした。その後、2人は、夜逃げ同然の駆け落ち事件を起こし、都会へ出て行った。清水には、その後も、彼女が、できず、お見合い話が、数回あった程度。こんな時、工藤工場長が、将来のある若者が、こんな所で埋もれちゃ駄目だと言われた。

 良い会社を探し再就職するのが、君のためだと言った。私も、全面的に協力してやるといってくれ感動した。その後、新聞を眺めてると製薬企業で8人のプロパー募集の公告が目に入った。応募条件としては、大学の薬学部、化学科、経済学部卒業、または、短大、高専卒以上で、2年以上の社会経験のある者と書いてあった。

 だたし、採用後、入社研修として、医薬品の勉強期間が、約3ヶ月あると書いてあった。それを工藤工場長に見せると、良いじゃないか、医薬品企業と言えば、給料も高く、景気の良し悪しに左右されにくいと、言われていると話した。そこで、早速、応募して、提出すべき資料を作成した。

 この会社での勤務経歴を書き、工場長の印をもらった。すると、突然、工藤工場長が、私が、君の推薦状を書いてやろうかと言いだした。お願いできますかと清水が、言うと、わかったと言い、30分程で書いてくた。封筒に閉じて、そこに工場長の印を押してくれ推薦状を入れて提出しろと言ってくれた。

 その応募のための封書を、その会社に送った。約1週間後、筆記試験の受験日と面接の日程を書いた書類が送られてきた。工藤工場長が、この事は、会社に秘密にしておくと言ってくれた。そして有給休暇を取って、その会社を受験することにした。数日後、東京支社に出勤し、筆記試験、その後、東京支店長の面接を受けた。

 その数日後、1次試験合格の通知が届き、次回は、中京地区の工場で、社長面接の日程が書いてあった。再び有休を取り、出かけて、社長面接を受け社長に挨拶をすると、君か、工場長の推薦状を携えて受験したのは、と言った。ニコニコして、君は、我が社に対しての希望は、何かと聞かれ、働いた分の給料をちゃんといただければ、それで十分ですと答えた。
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